新型コロナウイルスワクチンのキャンセル待ちを希望する人と、余ったワクチンを自動でマッチングするシステム「VAMCS」(ヴァンクス)の試験運用が、大阪府や福岡県など一部の医療施設でスタートした。接種希望者は無料でシステムを利用できる。
医療系システムソリューションなどを手掛けるアルカディア・システムズが開発したもので、ワクチンを打つためにキャンセル待ちを希望する人と、ワクチンの余剰登録を行った医療施設をマッチングして“1本のワクチンも無駄にしない”ことを目指す。9月には全国展開する予定だ。
試験運用は8月17日現在、下記の7施設で行われている。
- 大阪・大阪市「横田クリニック」
- 大阪・吹田市「岸辺くすのき透析クリニック」
- 大阪・大正区「大正くすのきクリニック」
- 兵庫・尼崎市「中馬病院」
- 福岡・福岡市「医療情報健康財団」、「岡東ほばしらクリニック」
- 沖縄・宮古島市「下地診療所」
医療施設がワクチンの余剰登録をすると、キャンセル待ちの順番に自動でメールを送信。15分毎に次の人へとマッチングするまでメールを送り、そのときに医療施設に来院できる人をマッチングする。ワクチンは希釈後6時間で利用できなくなるため、すぐに応諾できる人をマッチングできるようにしているという。医療施設側では、自動マッチングの結果をリアルタイムで確認できるとのこと。
キャンセル待ち希望者が、余剰ワクチンがある医療施設とマッチングするまでの流れは以下の通り。
- VAMCSに登録し、個人情報を登録
- キャンセル待ちする施設の登録
一人当たり5施設まで登録可能 - マッチングメールへの応諾
有効期限内(メール到着から15分以内)にシステムに応諾の入力をすることで接種予約が完了 - 接種する医療施設でワクチン接種を受ける
医療施設では新型コロナウイルスワクチンが不足しているが、一般接種が進むにつれ、急なキャンセルが出てワクチンが余った場合、接種希望者の確保は難しい現状がある。また、キャンセル待ちを運用している施設も、電話連絡やキャンセル待ちの希望者リストの管理など業務負荷が高いといった課題があった。こうした中、アルカディアシステムズは協力施設の指導の下、VAMCSを開発。9月より本番運用を開始し、メールに加えてLINEでもお知らせを受け取れるようにする予定だ。
なお、VAMCSのネーミングは、英語表記の「Vaccines available matching circle system for COVID-19」から採ったという。