ミュージカル『ドッグファイト』の取材会がこのほど行われ、昆夏美がリモートで取材に応じた。
同作は1991年に上映されたリバー・フェニックス主演の映画を2012年にオフ・ブロードウェイでミュージカル化した作品で、 2015年、2017年と日本でも上演されている。今回は初演・再演に続き屋良朝幸が主演を務め、東京・日比谷シアタークリエで9月より上演される。
物語延田井は、ベトナム戦争出征前のアメリカ・サンフランシスコ。訓練期間を終えた新米兵士・エディ(屋良朝幸)、ボーランド(藤岡正明)、バーンスタイン(大久保祥太郎)の3人が、出征前の最後の夜に、一番イケていない女の子をパーティーに連れてきた者が賞金を得るという最低のゲーム「ドッグ・ファイト」に参加する。昆が演じるのはウェイトレスのローズで、主役のエディはローズをパーティーに誘うが、ローズの純朴さ、心の優しさに触れ心苦しさを感じ始める……という展開だ。
主演の屋良とは『ロカビリー☆ジャック』(19年)でも共演している昆は、「私が初めて共演させていただいた時の役柄も外見にあまり自信がない女の子で、実は屋良さんに恋をしていて……というちょっと今回と似ている役だったので、屋良さんからは『昆ちゃんは俺と共演するといつも、自信がない女の子の役だよね』という話にもなりました」と明かす。一方で、今回演じるローズについては「自信はないけれど、弱々しくはない。内面から出ている芯の強さだったり、優しさだったりというのがある子だと思います」と分析。
さらに「ローズは自分の殻に閉じこもって食堂から出られなかったところから、どんな理由であれパーティーに誘われて外に行く決心をするとか、どんなパーティーかを知って泣くだけじゃなく一言申してから帰るとか、再度誘われたら自分がどういう人間か証明するために出かけるとか、自分で1つずつ切り拓いて強く成長していく女の子だと思うんです。すごく勇気づけられるし、お客様にも『自分も頑張ろう』と思っていただけたらいいなと思っています」と、演じる役の魅力を表した。
また、作品にちなみ「人生において1番戦ったこと」について聞かれると、昆は「1度自分が降板したことがありまして……」と、2016年の『ミス・サイゴン』を声帯結節で休演したことについて触れる。「そこで1回挫折を味わい、2020年に行われる再演に向けてモチベーションを持って生きてきたんですけど、コロナの影響でなくなってしまって……自分の思いと起こる出来事のギャップを埋めること、その中で精神を保つことが、戦いでした」と振り返る。『ミス・サイゴン』は2022年の公演も決定しており、昆も改めて出演する予定。「1回挫折して、そこから頑張ろうと思ったものがまた蓋される。コロナだから戦った、ということよりも、この5年間じわじわ自分と向き合ってきたのが、"戦った"ことだなと思います」と語った。
東京公演は東京・日比谷シアタークリエで9月17日~10月4日、愛知公演は日本特殊陶業市民会館 ビレッジホールにて10月6日、大阪公演は梅田芸術劇場シアター・ドラマシティにて10月21日~10月24日。