ビジネスシーンなどで当たり前のように使っている言葉も、実はその意味を正しく理解できていないということがありますよね。「一概に」もその1つではないでしょうか。
今回は「一概に」の正しい意味や使い方などを詳しくご紹介。あいまいな理解をこの機会にクリアにして、ビジネスシーンでも堂々と使いこなしましょう。
「一概に」とは?
「一概」の読み方は「いちがい」です。「一概」のみの言葉の意味は、「自分の考えを曲げずに無理に押し通す」です。
この「一概」に「に」が付き副詞となった「一概に」は、多くの場合そのあとに打ち消しの語を伴います。日常生活では「一概」という言葉単体よりも、この「一概に」という副詞を使うことが圧倒的に多いといえます。
「一概に」の意味
「一概に」という言葉の意味は「細かい違いを気にせず一様に扱うさま」です。「一概に~とは言えない」など、打ち消しの言葉を伴って使うことがほとんどです。このような場合には「すべてがそうではない」「全部がそうというわけではない」という意味になります。
「一概に」の例文
ここからは「一概に」と「一概に~でない」を使った例文をご紹介します。
・売り上げ不振を、デザインが悪いからだと一概に決めつけるのはいかがなものか。
・個人差があるため、この施策が有効であるとは一概には言えない。
・好き嫌いがありますので一概に決めることはできませんが、この映画は現代を代表する作品です。
「一概に~ではない」と打ち消し語を伴う表現の場合は、「すべてがそうではない」と柔らかく断りを入れたいときに使われます。ビジネスシーンでもよく聞く表現です。
「一概に」をビジネスシーンで使いこなすには
ビジネスシーンでもよく使われる「一概に」という言葉。ここからは「一概に」を使いこなすためのポイントを紹介します。
やんわりと主張したいとき
上司や顧客と意見と交わすときは、何かと気を遣うものです。しかし気を遣うからといって黙り込むのは避けたいところ。
「一概には申し上げられませんが」などの言葉を添えてから自分の意見を述べると、「私はこう思うけれど、これだけが正しいとは思っていません」と言葉のニュアンスを和らげて伝えることができます。
控え目に反論したいとき
反論したいときも同じです。「しかし」と切り出してしまうと、相手の意見を拒絶しているような印象になってしまいます。
やんわりと自分の主張を切り出したいときも、「一概には言えませんが、~ということも言えると思います」などとすれば、相手も聞く耳を持ってくれるかもしれません。
「一概に」の類語
まずは「一概に」の類語から紹介し、続いて「一概に~でない」と同じ意味の表現を紹介します。
おしなべて
「おしなべて」とは漢字で「押し並べて」と書きます。「全体的に、一様に」を意味する副詞です。「この店の味はおしなべて評価が高い」などと使います。
ひとくちに
「ひとくちに」も同様で、「手短にまとめて言うと」を意味する副詞です。「彼の作品はひとくちに言えば素晴らしいということだ」などと使います。
必ずしも~でない
「一概に~でない」と同じ意味の表現に、「必ずしも~というわけではない」があります。「お金をたくさん持っているからといって、必ずしも幸せというわけではない」などと使います。
あながち~でない
「あながち」も同様で、「全面的にそうだとは言いきれない」という話し手の気持ちを表すときに使います。「子供の言うことだからといって、あながち間違いだとは言えない」などと使います。
「一概に~でない」の対義語
続いては対義語についてご紹介します。「一概に~ない」をすべてがそうとは言い切れないこと、つまり「例外がある」とした場合には以下の表現が対義語と言えるでしょう。
御多分に洩れず(ごたぶんにもれず)
「御多分に洩れず」は「世間一般と同じように、例外なく」という意味です。「弊社は御多分に洩れず人材不足だ」などと使います。例外があることを示唆する「一概に~でない」とは反対の意味を指す表現と言えます。
例にもれず・例外なく
「例にもれず・例外なく」も「一概に~でない」とは反対の意味を指す表現です。「例にもれず、この日も若者でごった返した」などと使います。
一般的に
「一般的に」という言葉も、「世間に広く行き渡った様子」を指すため「一概に~でない」とは反対の意味を指す表現と言えるでしょう。
「一概に」の英語表現
「一概に」はビジネスシーンでよく使う言葉のため、英語表現もぜひ知っておきたいところです。
not necessarily
「not necessarily」は「必然的に~というわけではない」という意味です。「not always」とも言います。
- She isn’t necessarily right.(一概に彼女が正しいとは言い切れない)
cannot be said
「cannot be said~」は「~とは言えない」という意味です。
- It cannot be said as a true.(一概に正しいとは言えない)
that depends
「that depends」には「時と場合による」という意味があります。この表現を付け加えることで、「時と場合によりますが」と補足することができます。
「一概に」は打ち消し語を伴って使うことが多い
「一概に」という言葉を見てきました。「一概に」の意味は「総じて、全体的にまとめると」ですが、「一概に~でない」などのように打ち消す言葉を伴って使われることが多々あります。
ビジネスシーンにおいても、例えば上司や顧客の意見に反論したいとき「しかし」と切り出すより「一概にそうとは言えないのではないでしょうか」とした方がスマートです。