東京2020組織委員会は20日、東京2020パラリンピック聖火リレーの集火式を迎賓館赤坂離宮で実施。橋本聖子会長らが大会の成功に向けて決意を述べた。東京2020パラリンピックは8月24日に開会式を迎える。
■大会の成功を祈念して
東京2020パラリンピック聖火は8月12日より全国各地で採火がスタートすると、開催都市・東京を目指して人から人へと、その炎をつないできた。この日、迎賓館に用意されたステージには47の燃え盛る聖火トーチが集結、ここにパラリンピック発祥の地であるイギリスのストーク・マンデビルで興した炎が加わり、最後は大きな聖火台に集火された。
はじめに、東京2020組織委員会 会長の橋本聖子氏は「舞台はいよいよパラリンピックへと移ります。東京は世界で初めて2回目の夏季パラリンピックを開催する都市となりました。多様性と調和を実現する大きな契機となる大会でもあります。聖火リレーのコンセプトは『Share Your Light / あなたは、きっと、誰かの光だ。』です。あなたを支えてくれる人が必ずいる。そして、あなたも必ず誰かを支えています。そのような人と人との結びつき、絆を深く心に刻みながら、8月24日にこの聖火が国立競技場に到着することを祈念しています」と挨拶。
そして、政府代表として登壇した菅義偉内閣総理大臣は「本日の集火式で生まれた聖火が、人々の希望をつなぎ、開会式に運ばれます。この希望の光の下で世界のパラアスリートが全力を尽くす、その姿を通じて皆様と感動を分かち合えることを心より楽しみにしています。前回の東京大会は、初めてパラリンピックの名称が使われ、障がい者のスポーツに光が当たるきっかけとなりました。今回の大会には史上最多の4,400人の選手が参加予定です。果てしない努力と挑戦によって、大きな壁を乗り越えてきたパラアスリートたちです。その全力を尽くす姿は、世界の人々に夢と感動、勇気をもたらすに違いありません。障がいのある方もない方も、お年寄りも若者も助け合って共に生きる共生社会を目指し、心のバリアフリーの精神を世界中に発信していく最高の機会となります」。最後は、大会の成功のために感染対策を徹底し、選手が安心できる最高の舞台を整えていく、と決意を述べた。
続いて、開催都市を代表して東京都知事の小池百合子氏は「私たちの未来を明るく照らす聖火を、このあと、都内で実施する聖火リレーで開会式までしっかりとつないでまいります。パラリンピックの成功に向けてこれまでオールジャパンで準備を進めてきました。本日の集火式で誕生するパラリンピック聖火は、日本中の熱意が結集したもの。全国でパラアスリートの熱い戦いを期待する思いが膨らんでいることを実感します。東京都はIPC、国、組織委員会などすべての皆様と協力して、大会の成功に全力を尽くしていきます。そして2度目のパラリンピック開催というレガシーを持続可能な都市の発展、サステナブル・リカバリーにつなげてまいります」とした。
このあと、IPC代表のアンドリュー・パーソンズ会長は「歴史的なパラリンピック大会に向けて、聖火リレーはShare Your Light以上のことをしていると思います。史上最多4,400名のパラアスリートが一堂に会して人間の多様性を祝うことで、私たちがこの1年8カ月間で体験した暗いトンネルの先に、光があることを示しています。大会はパンデミックという困難のなかにあっても、人類が進歩し続けられることを証明しています。大会における選手たちのパフォーマンスは、障がいに対する偏見を覆す可能性を秘めています。世界人口の15%を占める12億人の障がい者の生活を、スポーツを通じて変えていくことができます。彼女ら彼らが完全に受け入れられることで、彼女ら彼らもきっと誰かの光となることができるのです」と述べた。
■石原さとみさんらもコメント
ここで東京2020聖火リレーの公式アンバサダーの3名も、各々の思いを言葉にした。射撃の元パラリンピック日本代表の田口亜希さんは「今回は自国開催ということで、全国各地で多くの人々が聖火を運ぶ姿を目にしてきました。たくさんの人たちの思いがこもっている、だからスタジアムの聖火台まで運ばれたときに温かい気持ちになるんだ、と思いました。あの火が、世界から集まったアスリートの背中を押してくれることでしょう。8月24日に聖火が国立競技場に到着するのを楽しみに待っています」。
女優の石原さとみさんは「パラリンピックの聖火ランナーの皆さんに、様々な思いをうかがいました。ある方は、自分の病気を説明することでお互いの違いを認め合うことができ、心に寄り添うことで一生涯の友人ができました、その感謝の思いを込めて走りたいとおっしゃっていました。また別の方は、障がいがあってもたくさんの可能性があるんだ、ということをアピールしたいと。そして今年になって自分の足で歩けなくなってしまった方は、この聖火リレーは私の新たな挑戦への灯火だ、と話していました。皆さんの様々な困難に立ち向かう姿勢、前向きな言葉、熱い思いに本当に胸が熱くなります。聖火リレーをご覧になる多くの方にも、温かいものを感じ取ってもらえたら嬉しいなと思います」。
柔道家の野村忠宏さんは「私が住む奈良県で行われた採火式では、特別支援学校の生徒さん10名が一所懸命に火を起こして採火してくれました。そのように全国で採火された聖火がいま、ここに集まったのを間近にして心が燃えるような、そして晴れやかな気持ちになっています。大会が無事に成功することを祈りながら、選手の皆さんを応援していきたいと思います」。
なお東京都内では21日より、この誕生したばかりの炎を聖火ランナーがつないでいく予定。集火式の最後には、サンドウィッチマンの伊達みきおさん、富澤たけしさんがランタンに移された聖火を持ち、迎賓館から次の出発地まで運ぶデモを行った。