税金関連のニュースでたびたび出てくる「血税」という表現。正しい意味を理解していますか? 本記事では、血税の意味や由来、正しい使い方をご紹介します。
また、血税の類語や言い換え、英語表現、「血税一揆」についてもあわせて解説するので、ぜひ参考にしてください。
血税とは
「血税」の読み方は「けつぜい」です。ここでは、血税の意味や由来、血税という言葉から派生した「血税一揆」について解説します。
■血税の意味と由来
血税はふたつの意味を持つ言葉です。戦前と戦後では違う意味で使われています。
・意味1:兵役義務のこと
・意味2:負担が重い税金。血がにじむような努力をして(血を搾り取るような思いをして)納める税金
血税の由来は1872年(明治5年)に発布された「太政官告諭※」の一節から来ています。
「太政官告諭」では、兵役義務のことを血税と称しています。しかし、現代は兵役義務がなくなった影響で、2番目の「負担が重い税金」の意味で使われています。
「負担が重い税金」としての使い方は誤用という意見もありますが、政治家の不祥事や官公庁による税金の無駄遣いなどのニュースでよくみられるようになりました。
※国民皆兵の理想を掲げ兵役について明らかにしたもの
■明治6年から「血税一揆」も起こった
1872年(明治5年)に発布された「太政官告諭」の翌年1873年(明治6年)には、徴兵令が公布されました。徴兵令が公布された年に集中的に発生したのが「血税一揆」です。現在判明している限り、西日本を中心に19件起こったとされています。
・兵役義務には免役条項が存在した
兵役義務は満20歳以上の男子に3年間課せられたものです。しかし、官吏や海陸軍生徒、戸主※1、嗣子(しし)※2、270円の代人料を上納できる者など免役条項も存在しました。
・免役条項に該当しない人々による一揆
「血税一揆」は兵役義務が士族にとっては兵権喪失につながること、一般農民の労働力を奪われること、一般農民の次男・三男が免役条項に該当せず逃れられないことなどにより、兵役義務の負担に反対する行動として起こりました。
・「血が抜かれる」という勘違いで起こったという説もある
「太政官告諭」での血税は「戦役で血を流すこと」という意味合いを持ち、国民が負担する必要がある兵役義務のことです。しかし、血を抜かれる意味と勘違いされ、一揆のきっかけになったという説もあります。
※1 家の主人。家長
※2 親の跡を継ぐ子。跡取り
血税の類語・言い換え
血税の類語や言い換えをご紹介します。血税と似た意味を持つ言葉には以下のようなものがあります。
重税(じゅうぜい)
酷税(こくぜい)
苛税(かぜい)
いずれも、負担の大きい税という意味です。
現代では、下記のような言い方で表現されることもあります。
税負担
国民の血と汗と涙の結晶
血税の正しい使い方・例文
血税の正しい使い方を、下記の例文を通して確認してください。
- 今度の選挙では国民の血税を正しく使う政治家に投票したい
- 血税で私腹を肥やした政治家が逮捕された
- 国民の血税を無駄にした政策に怒りを覚える
- 血税一揆は1872年(明治5年)の「太政官告諭」にあった血税という言葉からその名がつけられた一揆である
血税の英語表現
血税を英語で表すとどのような表現になるのか、次の英文を参考にしてください。
意味: あの政策は「血税の無駄遣いだったのではないか? 」と話題になっている
意味: 日本の未来のために血税を納めている
意味: 血税で私腹を肥やした政治家が逮捕された
意味: 血税一揆は「血を抜かれる」という勘違いから引き起こった説もある
血税の意味を理解して使いましょう
血税は「兵役義務」や「血がにじむような努力をして納める税金」という意味を持っています。
もともとは、1872年(明治5年)に発布した「太政官告諭」の一節が由来になる言葉ですが、兵役義務がなくなった現代では「血がにじむような努力をして納める税金」という意味で使われています。
血税の類語や言い換え、英語表現もあわせて確認し、理解しておきましょう。