「相まって(あいまって)」という表現は論文などに使われますが、日常会話ではなかなか耳にすることのない言葉です。そのため、ざっくりとした意味でしか理解していないという方も多いのではないでしょうか。
本記事では「相まって」の意味や文法、正しい使い方を解説。また、類語や英語表現についてもまとめました。
「相まって」の意味は?
「相まって」とは、「2つ以上の要素が作用し合うこと、またそれによって相乗効果が起きること」をいい、読み方は「あいまって」です。
「相まって」の正しい漢字は?
パソコンやスマートフォンで「相まって」と打つと、予測変換で「合間って」や「相待って」という漢字がでてくることがありますが、どちらも間違いです。これらの漢字の「あいまって」という言葉は存在しないので、誤字の間違いには気をつけましょう。正確には「相俟って」と書きます。
「相俟って」の「相」は「お互いに」「一緒に」という意味があり、「俟」には「待ち受ける」「頼りにする」という意味があります。この2つの漢字が合わさり「お互いを頼りにする」となり、上記に述べた「相まって」の意味をもつようになりました。
「相まって」は「相まつ」が派生したもの?
「相まって」の原形は、「相まつ」で、「相」という言葉と「俟つ」という言葉が連語としてくっついたものです。他の一般的な動詞と同じように「―る」を語尾につけて、「相まる」が「相まって」の動詞の終止形だと勘違いしている方もいるかもしれませんが、「相まつ」が終止形となります。「相まる」という言葉は存在ないので、注意しましょう。
「相まって」の正しい使い方は?
「相まって」はどのようなシチュエーションで、どう使用するのが正しいのでしょうか。ここでは、「相まって」の正しい使い方を紹介します。
「相まって」はカジュアルな言葉ではない
「相まって」は日常会話で使われるカジュアルな言葉ではありません。どちらかというと論文やメディアなどで使われ、フォーマルで堅い表現といえます。
「2つのものが融合することによって相乗効果が起き、いい結果が現れる」という意味合いで使われるので、基本的に「相まった」結果はポジティブなことが多いです。
稀にネガティブな表現としても使用可能
しかし、「相まって」は稀にネガティブな表現として使用されることがあります。
それは、ネガティブなものと、ネガティブなものが「相まって」さらにネガティブな結果を引き起こしてしまった場合です。以下は「相まって」を使ったネガティブな表現の例文です。
「経営者としての知識不足と景気の悪さが相まって、会社が倒産してしまいました。」
「地震の被害と大雨の被害が相まって、家が完全に倒壊してしまいました。」
「花粉症と偏頭痛が相まって、ベッドから起き上がれないほどの体調不良です。」
「相まって」の文法と例
「相まって」は、「名詞+と(が)相まって」という形で使用されるのが一般的です。実際に「相まって」を文中や会話内で使用する際には、以下のように2つの名詞を並列させて使いましょう。
「○○と△△が相まって」
「○○が△△と相まって」
「○○と△△とが相まって」
具体的な「相まって」を使った例文を紹介します。
「レモンの酸っぱさとイチゴの甘さが相まって、とてもフルーティーかつ爽やかな味になっています。」
「メロディーと彼女の歌声が相まって、素敵な曲に仕上がりました。」
「ウグイスの鳴き声と水のせせらぎが相まって、とても癒されます。」
「真っ暗な夜空と白く明るい月が相まって、ロマンチックな雰囲気になりました。」
「相まって」の類語は?
「相まって」を言い換える際どのような言葉があるのでしょうか。いくつか類語を紹介します。
相乗効果で(によって)
「相乗効果で(によって)」の「相乗効果」とは、「2つ以上の要因が融合することによって、それぞれの要因が持っていた個々の力以上の結果が現れること」です。
「相まって」と同様に、「相乗効果」も2つの要素が合わさって大きな結果となるので、そのまま置き換えて使用できます。「○○と△△の相乗効果で」というように、2つの要素を並列させて使用しましょう。
シナジーを起こして(によって)
「シナジーを起こして(によって)」の「シナジー」は、英単語の「synergy」から来ている言葉で、「筋肉の共動作用」や「薬品の相乗効果」といった意味があります。
広義でみると「2つ以上のものを掛け合わせている」という点で共通しているため、「相まって」と同じような意味で使用できます。
重なりあって
「重なりあって」とは、「一方が他方の上に乗っているさま」「互いに重なっている様子」のことをいいます。
先に紹介した他の類語や「相まって」と比較すると物理的なニュアンスが強い言葉で、2つの要素が用いられているものの、「うまく混ぜ合わさっている」のではなく「乗っかっている状態」であるといえます。
そのため、2つの要素が完全に溶け込んでいない場合には「重なりあって」、融合している場合には「相まって」や「相乗効果」を使うとよいでしょう。
「相まって」を英語で表現すると?
「相まって」の英語表現はいくつかありますが、ここでは「combined with」や「coupled with」を紹介します。
combined with
「combined with」は、「相まって」の直訳で、「結合する」「結びつける」という意味の「combine」に「with」が組み合わさった熟語となっています。
Superman's amazing power combined with his ability to fly made him almost invincible.(スーパーマンの驚異的なパワーと空を飛ぶ能力が相まって、無敵のような存在でした。)
coupled with
「coupled with」も、「combined with」同様「相まって」の直訳として利用できる熟語です。2つとも全く同じ意味なので、どちらを使っても問題ありませんが、「combined with」の方がよく使われている印象です。
In most cases pure talent isn't enough to succeed. It needs to be coupled with some real effort.(ほとんどの場合、純粋な才能だけでは成功しません。それなりの努力が相まつ必要があるのです。)
「相まって」はカジュアルな場面ではあまり使わない
「相まって」は、「2つの要素が融合することで、相乗効果として大きな結果が生じる」という意味の言葉で、漢字では「相俟って」と書きます。「合間って」や「相待って」という漢字は使わないので注意しましょう。
また、「相まって」はポジティブな結果が生じた時に使うことが多い言葉ですが、稀にネガティブな結果にも使われます。
日常会話の中ではほとんど使う機会がないですが、ビジネスシーンでは使う機会もあるので、「相まって」の意味や使い方を正しく理解しておきましょう。