買ったばかりのネクタイ、早くも傷んでしまったのか糸が出たので切っちゃった。しかもなぜか形が崩れやすい……そんな事になる前に、岡山の縫製工場・笏本縫製の代表取締役であり、ネクタイ専門ブランドSHAKUNONEを手掛ける「しゃく社長」(笏本達宏さん)(@shakunone)のこちらの投稿をご覧ください。

絶対に切っちゃダメ。ネクタイからこんな糸が出ててもが無茶に引っぱったり切ったりしないで。これはスリップステッチ。結んだり解いたりする時の伸縮を補助するための余裕糸です。一本の糸で縫っているので、これを切るとバラけてしまいます。まじで大切なこだわりです。だから絶対に糸は切らないで。
(@shakunoneより引用)

  • (@shakunoneより引用)

この情報に、みなさん口を揃えて「知らなかった!!」とのこと。また、時すでに遅し。「告白します! 何回か切ったことあります。ほつれてると思って……」「僕も切ってました」「ぶちぶち切ってました」「この前、旦那の切ってもうた」という声も続々と。「わかるように書いておいてほしい、、」「最初から説明してほしかった」という意見も寄せられていました。

この状況に、投稿者の笏本さんも「こんだけ知らない人がいるってことは、販売店で説明をしてないってことですよねー」「あたりまえこそ丁寧に伝える! 僕も学べました」とコメント。さらに詳しく聞いてみました。

ツイ主さんに聞いてみた

―― 「ネクタイの糸」、こんなに重要な役割があることは知りませんでした。この糸が出てきたときは、どうすればよいでしょうか。

しゃく社長:少しだけ出ているのが正常な状態ですので、無理に引っ張ったりしないようにしてください。気になるようであれば見えないところに押し込んでも大丈夫です。

―― 知らずに切ってしまった場合の対処法は……。

しゃく社長:基本的にはこの糸はネクタイの生命線です。切らないころが絶対条件と言っても良いですが。万が一切ってしまったら、ギリギリの所で結び直してください。
ほつれ始めてしまった場合は、できるだけ早い段階で糸を玉結びしてほつれの防止にしてください。大切な人からのプレゼントだったり、お気に入りのネクタイで、どうしても復旧させたい場合は私たちプロの職人に相談をいただくことがおすすめです。

―― 「知らなかった!」と多くの反響が寄せられております。

しゃく社長:率直に、この情報が知られていなかったというよりも、私たち職人の声がこんなにも多くの方に届いたことに驚いています。ファッションは華やかな世界に感じる方もいらっしゃる方もいるかもしれませんが、私たち職人は普段表舞台に立つことはありません。私たちの声は届かないものだと思っていたこともありました。それでも発信を続けてきた中で、私たちの中での「あたり前」が、消費者の方にとっての「あたり前ではなかった」ということを知れました。小さな町工場の小さなこだわりが、情報として届けられてSNSの凄さを感じています。


「有益な情報をありがとうございます!」という感謝の声も多かった今回の投稿。せっかくのオシャレなネクタイも、形が崩れてしまっていては台無しです。今後はネクタイから糸が出ていても、「切っちゃだめだ……」と思い出したくなるネクタイ職人直伝のツイートでした。