メルクバイオファーマは8月19日、「妊活および不妊治療に関する意識と実態調査」の結果を発表した。調査は5月14日~18日、全国の20~40代男女3万名を対象にインターネットで行われた。
はじめに、「将来、子どもを授かりたいか?」を聞いたところ、昨年に引き続き、約半数が「子どもを授かりたい」(49.8%、昨年48.8%)と回答。他方、「不妊に悩んだ経験がある」という人は22.5%、「妊活経験がある」という人は25.0%となり、いずれも30代で多い傾向に。
さらに、「不妊治療の経験がある」人は9.7%。自身またはパートナーの不妊治療のために退職したことがあるかを聞くと、34.6%が「ある」と回答した。
一方、「治療を中断した」人は42.7%、「治療中断を検討した人」も含めると、半数近く(51.3%)が不妊治療の継続をためらっていることが明らかに。治療の継続をためらう理由を聞くと、「経済的負担」(34.8%)と「精神的負担」(34.5%)の2つが大きな要因であることがわかった。
今回の調査結果、および既存の不妊治療者数に関するデータをもとに、慶應義塾大学大学院経営管理研究科の岡田正大教授が「不妊治療による患者負担と社会的経済損」を算出した結果、不妊治療中の従業員のパフォーマンス低下による経済損失は、年間約1,260億円という結果に。
また、治療中に退職したことによる逸失年間賃金の総額は約2,126億円。退職者の後任を補填するために必要な費用は、年間約506億円と推計された。
次に、20~40代の有職者1,000名、不妊治療中の有職者300名、妊活中の有職者300名を対象に調査を行った。
妊活相談したときの職場の対応について聞いたところ、15.7%が「上司は何もしてくれない」、32.3%が「職場で妊活について全く見聞きしない」と回答。仕事と妊活を両立できるかを聞くと、不妊治療中の人の過半数が「両立できる」(53.3%)と回答した一方で、4人に1人は「できない」(24.3%)と感じていることが明らかに。
また、不妊治療中の人の35.7%、妊活中の人の32.3%が「妊活はキャリア形成にマイナスの影響がある」と考えており、具体的には、「収入減になる可能性」(45.7%)や、「昇進機会を失う」(32.7%)ことなどがあがった。