NHKの連続テレビ小説『おかえりモネ』(総合 毎週月~土曜8:00~ほか ※土曜は1週間の振り返り)で、清原果耶演じるヒロインのモネこと永浦百音の上司・朝岡覚役を好演している西島秀俊。脚本を手掛けているのは、西島主演の人気ドラマで映画も待機中の『きのう何食べた?』シリーズで知られる安達奈緒子氏だ。8月19日に放送された第69回では、西島と『きのう何食べた?』で恋人役を演じた内野聖陽との胸アツなシーンが登場。同シーンへの熱い思いを西島が語った。

  • 『おかえりモネ』朝岡覚役の西島秀俊(奥)と永浦耕治役の内野聖陽

気象キャスターとして順風満帆なキャリアを積んできた朝岡だが、本当にやりたかったのはスポーツ気象だった。そんな朝岡の下でモネたちは、車椅子マラソンの選手、鮫島祐希(菅原小春)をサポートしていき、「チームサメジマ」として無事に彼女をパラリンピック強化指定選手へと導いた。

西島は気象予報士という仕事の奥深さについて「僕自身も今回この役をいただいて、いろいろ勉強させてもらうなかで、気象情報というものが、実は知らないうちに普段の生活と密着しているんだなと思いました」としみじみ語る。

「気象予報士の仕事って、ただ天気予報を伝えるというだけの仕事をイメージしていたのですが、実はそれだけではなくて。スポーツ気象では、例えばラグビーの試合で、この日のこの会場ではこういう風が吹くから、こういう作戦が良いのではないかと考えたりするんです。劇中で登場する車椅子マラソンもそうですし、ほかには、スーパーの品揃えや、(荒天などで)通行止めにするかしないかとか、気象の影響を受けていることがたくさんあります」

朝岡といえば、百音を気象予報士の道へと導き、彼女がウェザーエキスパーツに入社してからは、良き上司としてここぞという時に絶妙なフォローを入れてきた。ところが今や朝岡はキャスターを辞めて新たな気象予報のあり方を模索しようとしている。

第59回では、朝岡がなぜスポーツ気象にこだわるのか、その理由が明かされた。朝岡は大学駅伝の選手だったが、真冬なのに予想外の暑さで熱中症となり、母校のたすきをつなげなかったことに涙をのんだらしい。朝岡自身も「リベンジ」という言葉を口にしていたが、いわばスポーツ気象を極めることは、彼自身の人生における雪辱戦でもあったようだ。

そして、19日に放送された第69回では、内野演じる百音の父親・耕治がウェザーエキスパーツを訪れて朝岡と出会い、世間話をするうちに、土地とそこに暮らす人びとについての考えを耕治に打ち明けることに。朝岡が抱える後悔や悩みを聞いた耕治も、自分が一度亀島を飛び出して、また戻ってきたという自身の経験を語り始める。

これまでの朝岡は、基本的にはトラブルが発生しても、冷静な対処をしてきたし、人に対して弱みを見せるタイプではなかった。ところが今回初めて、自分の胸の内でくすぶっていた苦悩を、耕治の前でぶちまけたのだ。

『きのう何食べた?』で内野は、西島演じる筧史朗と同棲している恋人・矢吹賢二役を演じ、一途に筧史朗を愛するヒロインぶりが大いに反響を呼んだ。同シリーズを通して、厚い信頼関係を築いた内野が、別の役とはいえ、『おかえりモネ』においても、非常に重要なシーンで西島の渾身の芝居を受け止めるというのは、なんとも心憎い。

「朝岡が傷ついて混乱して、どうにもならなくなって、自分の気持ちを吐露するシーンに、内野さんがいてくれるわけです。僕個人としても、内野さんがそこにいてくださることは、すごく頼りになりました。そういうシーンを書いてくださった安達先生にもすごく感謝してます」と語っていた西島。

まさに、西島と内野という勝手知ったる俳優同士が織りなすシーンだったからこそ、視聴者の心を大いに揺さぶったに違いない。また、朝岡が今後、どのようにして気象情報を届けていきたいかという展望が、百音にどんな影響を与えていくのかも大いに気になる。

■西島秀俊(にしじま・ひでとし)
1971年3月29日生まれ、東京都出身。朝の連続テレビ小説は『純情きらり』(06)、『とと姉ちゃん』(16)と本作を合わせて3作目の出演となる。『居酒屋ゆうれい』(94)で映画初出演。主な出演映画に『散り椿』(18)、『空母いぶき』(19)、『任侠学園』(19)、『名探偵ピカチュウ(日本語吹替版)』(19)、『劇場版 奥様は、取り扱い注意』など。主演映画『ドライブ・マイ・カー』が8月20日公開。その後も劇場版『きのう何食べた?』や『シン・ウルトラマン』が公開待機中。

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