東京商工リサーチは8月18日、2021年度「賃上げに関するアンケート」調査の結果を発表した。それによると、2021年度に賃上げを実施した企業(一部予定含む)は前年度比12.9ポイント増の70.4%となった。2016年度以降で最低だった前年度(57.5%)から増加したものの、コロナ前の2019年度(80.89%)に比べて10.4ポイント低かった。
賃上げ率、「3%未満」が50.7%
産業別では、製造業が最も高く77.1%。次いで建設業が73.2%、卸売業が72.2%と続いた。一方、最も低かったのは金融・保険業の51.0%だった。
規模別では、大企業(資本金1億円以上)の実施率は76.6%に上った一方、中小企業は69.2%にとどまった。詳細をみると、大企業の建設業、製造業では80%を超えたのに対し、中小企業では80%超えはなく、製造業、建設業、卸売業の3産業が70%台となった。
賃上げを実施した企業に内容を聞くと、「定期昇給」が83.1%で最多。以下、「賞与(一時金)の増額」が37.7%、「ベースアップ」が30.3%、「新卒者の初任給の増額」が10.0%と続いた。
賃上げ率は、「2%以上3%未満」が27.2%、「1%以上2%未満」が20.7%と続き、「3%未満」が計50.7%を占めた。規模別にみると、「3%以上」は大企業が32.1%にとどまったのに対し、中小企業は51.4%と大企業を19.3ポイント上回った。「(中小企業は)元々、水準が低いことに加え、賃上げ後の給与水準が社員の定着と採用活動への影響が大きいことをうかがわせる」(同調査)。
調査期間は2021年8月2~11日、有効回答は9,760社。