コロナ禍でオンライン講義を導入したという学校も多いでしょう。しかし、リアルな講義と違って受け身になってしまったり、質問がしづらいといったデメリットもあります。
そんなオンライン講義を思わず前のめりで受けたくなるような、ある機能を活用したアイデアが話題となっています。投稿したのは、特別支援教育と教育工学を専門とする兵庫教育大学の准教授・小川修史(おがっち)さん(@ogatti21)です。
大学のオンライン講義はカメラオフなので学生の顔が見えない。あまりに寂しかったので、チャット機能を活用することに。「なるほど」「マジでww」「88888」など敬語不要のルールにしたところ、チャットが異様に盛り上がり、「神授業!!」「お茶投げたいです!」と感想に書かれていて満更でもない件。(@ogatti21より引用)
この投稿に、13.9万件のいいね、2.9万件のリツイートと大きな反響が寄せられています(8月17日時点)。コメントも、「ユーザー(生徒)に合った供給の仕方ですね」「ノリノリで参加する生徒さんを見ても、先生の授業が面白いものなのだなあと思いました」「会社でこれやったら活発な意見出そうです」と、アイデアに共感する言葉が多数。
ちなみに「8888888」は拍手の「ぱちぱち」という音を表した称賛を込めた拍手という意味、「お茶投げたい」はライブ配信サービス「ツイキャス」で配信者を応援するアイテム「お茶」を送ること、応援や投げ銭をしたいという意味です。「お茶投げたいは草 それはもはや推し」といったコメントもあるように、ライブ配信に慣れている学生さんにとって、配信を見てコメントを送ることはごく自然なことかもしれません。
また特徴的なのが「敬語不要」のルール。「そのくらいフランクなほうが頭に入ってくるんだよなあ」「チャットって短い時間に打たなきゃいけないのに、敬語にすると考える時間も文も長くなる。敬語ではない方が楽だし発言しやすいですね」と、タメ語でコメントするメリットも注目されています。
「オンライン講義大嫌いだったけど、それなら好きになれそうwww 講義がめちゃくちゃ分かりやすい教授とか、モチベーション上げて貰いたいし喜んで貰いたいからチャットでめちゃくちゃ褒めたいな~」という感想もあるように、実際に講義を受けた学生さんからも好反応だったそうです。
伸びてきたので後日談ですが、「受け身な自分が前のめりになった」「チャットを見ながらメモを取れた」「他の人の意見や考え方を知れた」「聞くだけより断然集中できる」「発言しやすい」など、任意の授業アンケートにもかかわらず7割の学生が感想を書いてくれました。ちなみに、感想は全て敬語です。(@ogatti21より引用)
この授業のアイデアを投稿した小川さんに、詳しくお話を伺いました。
チャットのルール、なぜ敬語不要に?
――授業でのチャット活用は、ライブ配信に慣れている学生さんにとっては、意見を出しやすい方法ですね。チャットをするなかで、授業中でも「敬語不要で」というルールにされた経緯をお教えいただけますでしょうか。
チャットの場合、敬語にしてしまうと文面を考える時間を要します。また、考える時間が生じますと、投稿する際に「本当に投稿してよいだろうか?」という葛藤が生まれ、投稿を躊躇ってしまいます。授業を楽しいものにしたいという気持ちが学生にあれば、それは敬語でなくとも礼儀といえる。そう考え、敬語を不要にしてみました。
――「舐められないのか」という意見もありますが、普段から学生さんとのコミュニケーションで心掛けられていることはありますか?
普段から学生とはフラットな関係づくりを目指しています。フラットな関係づくりというと、「舐められる」「上下関係がなくなる」と思われがちなのですが、フラットにするのはあくまでコミュニケーション面であり、一方で指導者としての側面は譲らない。フラットな関係と教師と学生の関係、両方を共存させることで、話せる安心感を構築すると共に友達にならない関係性を築くことができます。
――今回のコメント機能を活用した授業、学生や教育関係の方に限らず大きな反響が寄せられています。
まさかこんなに反響が来るとは思っていませんでした。反響が多かった背景には、オンライン教育に対する不満が高いなか、オンライン教育の可能性を感じた部分が大きかったのではないでしょうか? オンライン教育は決してデメリットだけではありません。メリットについても感じていただければ嬉しいです。
まだ始まったばかりで課題も多いというオンライン授業もあるかもしれません。しかしコミュニケーションの取り方を考えたり、機能を活用することで、授業のモチベーションはガラッと変わりそうです。
大学のオンライン講義はカメラオフなので学生の顔が見えない。あまりに寂しかったので、チャット機能を活用することに。「なるほど」「マジでww」「88888」など敬語不要のルールにしたところ、チャットが異様に盛り上がり、「神授業!!」「お茶投げたいです!」と感想に書かれていて満更でもない件。
— 小川修史(おがっち)🌱教育や障害福祉を斜め135度からアプローチする研究者 (@ogatti21) August 9, 2021
伸びてきたので後日談ですが、「受け身な自分が前のめりになった」「チャットを見ながらメモを取れた」「他の人の意見や考え方を知れた」「聞くだけより断然集中できる」「発言しやすい」など、任意の授業アンケートにもかかわらず7割の学生が感想を書いてくれました。
— 小川修史(おがっち)🌱教育や障害福祉を斜め135度からアプローチする研究者 (@ogatti21) August 10, 2021
ちなみに、感想は全て敬語です。