対局場を急遽「和多屋別荘」から「関西将棋会館」に移しての対局となった

藤井聡太王位に豊島将之竜王が挑戦している、お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負(主催:新聞三社連合)第3局が8月18、19日に関西将棋会館で行われています。ここまで2勝の藤井王位が突き放すのか、1勝の豊島竜王が追い付くのか。注目です。


お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負の勝敗表

佐賀県「和多屋別荘」で行われる予定だった第4局。ところが大雨の影響により、直前で対局場が関西将棋会館に変更になりました。

この事態に両対局者がコメントを発表。藤井王位は「この度の九州豪雨で被災された方々にお見舞い申し上げます。この状況では対局場の変更はやむを得ない判断だと思います。このような状況ではありますが、変わらず全力を尽くして良い将棋を指せればと思います」。

豊島竜王は「豪雨災害で被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。対局場所の変更は、村上市長はじめ嬉野市の皆様と和多屋様が大変な準備をしてくださっていただけに胸が痛いです。『対局者の安全を最大限配慮した結果での判断だった』とのこと、お気遣い感謝致します。一日も早く市民の皆様の安心した暮らしが戻りますようお祈りしております。第4局、目の前の局面に集中して良い将棋を指せればと思います」と、両対局者とも被災者を気遣いつつ、盤上に集中する決意を述べました。

豊島竜王が先手番の本局は、相掛かりの戦型になりました。両者が並行して戦っている叡王戦五番勝負の対局も含め、直近5局(王位第2・3局、叡王第1・2・3局)は全て角換わりでした。相掛かりは王位戦第1局以来の登場です。

両者飛車先の歩を交換した局面で豊島竜王が新手を披露します。それは▲2二角成と角交換をする手。豊島竜王としては、この研究手を指したいがための相掛かり採用だったのでしょう。敗れてしまうと後がなくなる重要な第4局に渾身の研究をぶつけてきました。

先手の飛車は2六、後手の飛車は8六という、不安定なポジションにいます。角を持ち合うと技がかかりそうな局面です。豊島竜王が角交換後に▲8八銀と上がって飛車成りを防いだ手に対し、藤井王位は長考に沈みました。

たっぷりと66分考え、藤井王位は△4四角と飛車取りに角を打っていきました。先に持ち駒の角を手放すだけに決断の一手です。豊島竜王も▲8七歩と打って、対局開始から30手も進行しないうちに、先後どちらの飛車にも取りがかかりました。

藤井王位は飛車を取り合うことはせずに、飛車を引き揚げました。先手がまだ角を手持ちにしているのに対し、後手はすでに盤上に設置しています。この違いが本局のポイントとなりそうです。

先手としては4四の角を働きの弱い駒にできれば、持ち駒の角の価値がより高まって優位に立つことができます。後手としては1一~9九のラインという、一番角が働くポジションに先着できたのは主張点です。この角の利きを生かして端などから手を作れるかどうかが焦点となります。

本日は18時に封じ手が行われ、決着は明日の夕方から夜になる見込みです。

対局開始時の藤井王位(右)と豊島竜王(提供:日本将棋連盟)
対局開始時の藤井王位(右)と豊島竜王(提供:日本将棋連盟)