「満更でもない(まんざらでもない)」の意味をご存知でしょうか。

はっきりと嬉しい気持ちを言及するのが照れくさいような状況で「満更でもない」という表現が使われることがありますよね。

この記事では、「満更でもない」の意味や使い方を解説。また、類語や英語表現も紹介します。

  • 「満更でもない」とは

    「満更でもない」の使い方や類語・対義語などを紹介する記事です

「満更でもない(まんざらでもない)」の意味とは

「満更でもない(まんざらでもない)」とは、「必ずしもだめだという訳ではない」という体裁をとって、「悪くない」「むしろいい」という意味で使われる慣用句です。似た使い方としては「満更でもなさそうだ」「満更捨てたものでもない」「満更嫌でもなさそうだ」などがあります。

内心では嬉しい様子を表す表現として、後ろに否定の言葉を伴って使われます。

「満更」は当て字

「満更でもない」で使われている「満更」には、「必ずしも」という意味があります。先に述べた否定的な意味を和らげる場合や、逆に肯定する場合に使われる表現です。

漢字は当て字であり、とくに意味はありません。漢字で「満更でもない」と書かれるよりは平仮名で「まんざらでもない」と書かれることが多い言葉でもあります。

「満更でもない(まんざらでもない)」の語源ははっきりしていない

辞書によると、「満更でもない」は近世で使われるようになった表現で、漢字は当て字が使われています。語源ははっきりとはわかっていない言葉です。

「真更(まさら)」が変化したという説もありますが、「真更」という言葉がないことから、根拠がありません。

  • 「満更でもない」とは

    「満更でもない」とは「悪くない」「むしろいい」などを意味する表現です

「満更でもない(まんざらでもない)」の使い方

「満更でもない」という表現は遠回しな表現であり、ストレートな表現が苦手な人でも使いやすい言い回しです。ビジネスシーンで使われることも多いので、社会人ならぜひ活用できるようになりましょう。

ここでは、「満更でもない」の使い方や使用例を紹介します。

後ろに名詞をつなげて使うのが一般的

通常動詞は文章の最後に使われることが多いですが、「満更でもない」は文章の最後に使うことはあまりなく、「満更でもない顔」「満更でもない様子」などのように、後ろに名詞をつなげて使うことが多いです。

それぞれ、「そう悪くは思っていない顔」「そう悪くない様子」などの意味として使われます。

「満更でもある」とはいわない

「満更でもない」や「満更○○でもない」などの否定形での表現が一般的で、先に紹介した例文のようによく使われます。しかし、「満更でもある」のような、肯定形では使われません。

「満更」を用いる場合は後ろに打ち消しの言葉を伴う点を覚えておきましょう。

「満更でもない(まんざらでもない)」の例文

ここでは、「満更でもない」の例文をご紹介します。

  • 彼はいつも冷静で表情を崩さないが、部長に褒められた時には満更でもない顔をしていた

  • Aさんに頼みごとをした時には面倒くさそうだったが、実際行動に移している時には満更でもない様子だった

  • 彼女はBさんのことを苦手だといっていたが、先日話していた様子をみる限りでは満更でもない様子だった

  • 彼からアプローチされて本当は満更でもない気持ちだったが、返事をしないままでいたら諦められてしまった

  • Aさんは口では「困ったな」と言っていたものの、後輩からのアプローチを受けて満更でもない様子だ

  • いつも忙しいとこぼしてばかりの彼女だったが、満更でもない表情をしていた

「満更でもない」は上記のように、ネガティブな表現を打ち消してポジティブな表現として使われます。ビジネスシーンでも使いやすいので覚えておきましょう。

  • 「満更でもない」の使い方例文

    「満更」は「満更でもない」のように否定の言葉をつなげて使われます

「満更でもない(まんざらでもない)」の類語・言い換え表現

ここでは、「満更でもない」の類語をご紹介します。

悪い気はしない

「満更でもない」の類語には、「悪くない」「悪い気はしない」などがあります。

「悪くない」は「非常にいい訳ではなく、どちらかというといい」状態を表す表現です。「彼は冷静さを崩さないように振る舞おうとしていたが、悪くないと感じていることを隠しきれない様子だった」などのように使われます。

「悪い気はしない」の意味は「あるものを見聞きして、嫌な気持ちにならず、むしろ少し気分がよくなる」様子のことです。「彼は頼みごとをされても悪い気はしないようだった」などの使い方があります。

嬉しい

恋愛の場面で、「彼はAさんからのアプローチに満更でもない様子だ」というのは、「彼はAさんからのアプローチを受けて(顔には出していないが)嬉しそうだ」といったニュアンスになります。

不満そうに見えて実は嬉しかったり喜んでいたりすることを「満更でもない」と表現するため、「嬉しい」とほぼ同義だと考えられます。

  • 類語・言い換え例

    「満更でもない」の類語には「悪い気はしない」などがあります

「満更でもない」の英語表現

日常会話やビジネスにおいて、英語を使って人と関わる機会があるなら、「満更でもない」の英語表現も覚えておくと便利です。ここでは、「満更でもない」や「満更」の英語表現を紹介します。

not all bad

「not all bad」は「満更でもない」を表す英語表現です。動詞との組み合わせで少し言い回しが変わることがあるものの、使いやすい表現として覚えておきましょう。

・I think that life is not all bad.(私は人生満更でもないなと思った)
・He didn't seem all bad about the compliment from the director.(彼は部長から褒められて満更でもない様子だった)

look pleased

「嬉しそうに見える」という意味の「look pleased」も、「満更でもない」をストレートに表した英語表現といえるでしょう。

・She looked pleased with the boy.(彼女は彼のことを満更でもないようだった)
・You look pleased today.(君は今日満更でもなさそうだね)

  • 「満更でもない」の英語表現

    「満更でもない」の英語表現は「not all bad」を覚えておきましょう

「満更でもない」の意味は「悪い気がしない」

「満更でもない」とは、「完全にだめという訳ではない」という表現を使って、むしろいいことを表しています。「満更」は当て字であり語源もよくわかっていないことから、平仮名で「まんざらでもない」と書くことが多いです。

「満更でもない様子」「満更でもない顔」などと名詞を続けるケースが多く、ビジネスシーンで使用しても問題ない表現となっています。この記事で紹介した例文を参考に、使い方を覚えておきましょう。