藤井二冠は3年連続3回目の王将リーグ入りとなった
第71期ALSOK杯王将戦(主催:スポーツニッポン新聞社、毎日新聞社)の二次予選、▲稲葉陽八段-△藤井聡太二冠戦が8月16日に関西将棋会館で行われました。結果は106手で藤井二冠の勝利。前期陥落してしまった挑戦者決定リーグ戦に即復帰を決めました。
振り駒で先手番になった稲葉八段は角換わり早繰り銀を採用しました。6月に行われた順位戦B級1組で藤井二冠を破った際には角換わり腰掛け銀を用いていましたが、早繰り銀も稲葉八段の得意戦法です。
対する藤井二冠も早繰り銀を採用。戦型は相早繰り銀になりました。後手番での相早繰り銀は豊島将之竜王(叡王)とのタイトル戦でも2局(王位戦第2局、叡王戦第2局)用いている作戦です。
中央からの突破を目指す藤井二冠に対し、稲葉八段は飛車を6筋に配置して応戦します。藤井二冠は飛車を8筋から2筋に大転回し、竜を作ることに成功しますが、稲葉八段も相手の玉頭に成銀を作って難解な終盤戦を迎えました。
藤井二冠は8筋にと金を作り、稲葉玉を左右から挟撃します。しかし、この瞬間は稲葉玉は詰めろではありません。このチャンスを稲葉八段は見逃さずに、藤井玉目掛けて反撃していきました。
金取りに歩を叩き、その歩を足場にして角を打ち込んでいった稲葉八段。一気に攻守が逆転します。藤井玉絶体絶命か!?と思われましたが、藤井二冠は妙防を用意していました。
それは角の王手に対して、1手で逃げられる地点に2手掛けて逃げるというもの。この時間差脱出によって藤井玉は危機を脱しました。稲葉八段は馬2枚で迫っていきますが、その馬に働きかける藤井二冠の銀打ちが決め手。無理やり馬を1枚盤上から排除するのが好着想でした。
持ち駒を蓄えた藤井二冠は、いよいよ稲葉玉を寄せに行きます。竜を王手で攻防の地点に引き、稲葉八段の対応を問います。合駒をしても手数が伸びるだけで勝ち目のない稲葉八段は玉を引きましたが、これは即詰みコース。もちろん藤井二冠がそれを逃すはずもなく、しっかりと長手数の詰みに打ち取って勝利を収めました。
この勝利で藤井二冠は3年連続3回目の王将リーグ入りを決めました。前期は3勝3敗の指し分けながら順位の差でリーグ陥落となってしまいましたが、1期で即復帰です。
二次予選からリーグ入りできる3枠のうち、2枠はすでに藤井二冠と近藤誠也七段で決まっています。残り1枠は8月26日に行われる糸谷哲郎八段-八代弥七段戦の勝者です。
今期も豪華な王将リーグ。参加メンバーは以下の通りです。
永瀬拓矢王座
豊島将之竜王
羽生善治九段
広瀬章人八段
藤井聡太二冠
近藤誠也七段
糸谷八段―八代七段戦の勝者