俳優の吉沢亮が主人公・渋沢栄一を演じている大河ドラマ『青天を衝け』(NHK総合 毎週日曜20:00~ほか)。22日放送の第25回「篤太夫、帰国する」では、岡田健史演じる、栄一の従弟・渋沢平九郎の最期が描かれる。このたび岡田がコメントを寄せた。

  • 『青天を衝け』渋沢平九郎役の岡田健史

平九郎は、尾高家の末っ子。偉大な兄たちの背中を追いかけ、姉の千代を心から慕い、文武両道で心優しい美青年に育つ。栄一のパリ行きに伴い、栄一の養子となるが、そのことがきっかけとなり幕府崩壊の動乱に巻き込まれていく。

これまで約1年間、平九郎を演じてきた岡田。「変化というか、新しく気づかされた事はあります。何かが変わったのではなく、新しく発見したものが追加されていった、という感覚です。実在の人物を演じることは膨大なエネルギーを要すると共に、こんなにも濃厚に生きる事が出来るのかという驚きもありました」と振り返る。

実在した人物を演じたのは今回が初めて。「先の展開やその最期がどのようになるか分かっているからこそ、簡単には演じることができないことに気づかされました」と言い、「もちろん、架空の人物を作るのも難しいのですが、それとは異なる大変さがあり、命を削るというか、まさに命がけで演じることができたという手応えを感じています」と語った。

そして、「平九郎の最期のシーンの撮影の時には自然と涙があふれていました。天国で渋沢平九郎さんが『お前に演じてもらって俺はうれしい』とか思ったりしてくれたかな、という思考にいたった結果なのですが、実在の人物の最期を演じることで『こういうふうな気持ちになるんだな』と新鮮な思いでした」と最期のシーンを演じたときの心境を明かした。

印象に残っているシーンは、第7回とのこと。「栄一と惇忠が漢詩を詠みながら藍売りの旅に出るのですが、出発前に剣道場でそれを聞いた平九郎が栄一に『へぇ。詩かぁ。いいなぁ』と平九郎がひと言こぼします。僕は純粋な憧れの対象である“兄ぃ”たちとの関係性を徐々にズームアップしていく事こそが、平九郎を演じる上での真骨頂であると考えていまし、平九郎の最期を演じるにあたっても、僕が考えたのは“兄ぃ”たちの事でした。“兄ぃ”たちを慕っている平九郎の中身を濃く作っていくために一番考えて、またその後のリズムを掴つかむことができたこともあって、そこが一番印象に残っています」。

また、「平九郎の根底には憧れと同時に、『いいなぁ、兄ぃたち』と言う自分にはできない事をやってしまう事へのコンプレックスもどこかあるのだと思います」と解釈。「僕自身も幼少期に上のお兄ちゃんたちに対して感じた事でもあるのですが、大人とは違い、幼少期に感じる歳の差というのは、非常に大きいものがあると思います。自分が持っているものと年上の人たちが持っているものの違いに対するコンプレックスというのはすごく大きいと思います」と話した。

最後に、視聴者に向けて「なんと言って良いか非常に難しいのですが、僕もこれまで自分が見て演じてきた平九郎の事を信じながら最期のシーンを迎えました。これまで『青天を衝け』をずっとご覧いただいている視聴者のみなさまにも、僕の事を信じて、平九郎の最期を見届けていただきたいです」とメッセージを送った。

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