「世界観」とは簡単に言うと「世界における人間などの存在をどのように捉えるかという考え方」です。世界における人間のあり方などを、統一的に解釈し、意義付けたものを指します。
この世界観という言葉、「この画家の世界観が好き」などとアート作品をはじめドラマや映画などに対して使われることが多くあります。この場合は「独創的な雰囲気やコンセプト」を指しています。用法は間違っていませんが、本来の意味とは違うことを知っておきましょう。
本記事では、勘違いされやすい世界観という言葉の意味について掘り下げます。類語や英語表現も紹介しますので、参考にしてください。
世界観の意味
世界観には主に2つの意味があります。
1.世界、および、そのなかで生きている人に対して、人間のあり方という点からみた統一的解釈、意義づけ。
言い換えれば、世界に生きる人間という存在の本質や価値などを、どう捉えるかという全体的な考え方のことです。これには個人個人の感情や宗教的・道徳的な考えなども加わり、人生観よりも壮大なテーマといえます。
2.創作物の状況設定や雰囲気
映画や小説、ドラマ、アート作品などに表現される、独創的な主張や雰囲気、コンセプトなどを指します。「あの監督の世界観は個性的だ」などと使います。「世界感」と漢字を間違えないよう注意しましょう。
世界観は人によって異なる
世界観とは、大きなスケールで人間ひいては世界のあり方を捉えることです。そこには生まれ育った環境や宗教、学問、道徳的な思考が大きく影響を与え、人によって捉え方はまったく異なるといってもいいでしょう。
家族や友人と、お互いの世界観について話し合うのも楽しいかもしれません。自分の世界観に固執せず、いろいろな人の話に耳を傾ければ、世界の捉え方や自分の生き方が変わるかもしれません。
世界観の使い方と例文
前述のとおり、世界観とは「世界において人間のあり方などをどう捉えるか」であり、また「創作物の状況設定や雰囲気」を指します。世界観という言葉の主な言い回しには次のようなものがあります。
- 世界観をもつ
- 世界観が変わる
- 世界観が広がる
など
ここからは、世界観を使った例文を見ていきましょう。
「彼は自分の世界観を持っているので素敵だと思います」
「先生の演説を聴いて私の世界観が変わりました」
「世界観を広げるために、必死に勉強をしています」
この例文における「世界観」は、「世界に対しての見方や考え方」の意味で使われています。
「明日から公開される映画は、監督の世界観を満喫できる内容になっています」
「彼の作品には、誰にも真似できない世界観がある」
上記の例文では、「文学や音楽などの芸術作品がもつ、独自の雰囲気や状況設定」の意味で使われています。
世界観の類語
ここからは、世界観の類語をご紹介していきます。
・人生観
「人生観」は「人生に対する見方や考え方」のことです。人生の意味や目的、価値などについての考え方で、個人個人の生き方に深く影響を及ぼします。
「私と彼とでは人生観がまるで違う」
「外国に住んだことで、私の人生観は変わった」
・価値観
「価値観」は、「物事を評価したり行動を決定したりする際に基準となるもの」です。その人がどのように生まれ育ったか、どのような人と付き合ってきたかなどが深く影響して形づくられます。
例えばある商品を手に入れるために「10000円払っても良い」という人がいれば、「1円たりと払いたくない」という人もいます。これが価値観の相違です。
「私と彼の価値観は正反対だ」
「彼女とは価値観の相違により、疎遠になった」
・宇宙観
「宇宙観」には大きく2つの意味があります。
- 宇宙に対する科学的な見方、考え方。天動説や地動説など。
- 宇宙や世界における人間の生き方に対する哲学的な見方、考え方。
2つ目は世界観の意味にも近いですね。世界観よりももっと壮大なニュアンスを伝えたいときは、宇宙観という言葉がぴったりです。
・理念
「理念」とは「ある物事について考える際に、こうあるべきとされる根本的な考え」を指します。「統一的な解釈、意義づけ」という意味を持つ「世界観」に通じる部分があります。
「彼は自分の理念に基づいて行動している」
「大きな批判を浴びたが、彼女は決して理念を曲げなかった」・信条
「信条」は「正しいと固く信じて、守っている事柄」のことです。世界観と同様に、人それぞれまったく異なる信条があると言っていいでしょう。
・思想
「思想」には「人生や社会に対する、ひとつのまとまった考えや意見」という意味があります。政治的や社会的な位置づけで捉えられることが多くあります。
「彼独自の思想なのだろうが、私には理解できない」
世界観の英語表現
「世界観」の英語表現は「world view」です。
- People have their own worldviews and opinions. (人にはそれぞれ世界観や意見があります)
世界観は広げることができる!
世界観とは「創作物の世界設定や雰囲気」の意味で使われることが多いですが、本来の意味は「ある人や集団が世界をどう見ているのか、どう捉えているのか」を表す言葉です。人生観や価値観などの類語だと考えると、イメージがわきやすいでしょう。
学校や会社などで自分と違う世界観をもつ人に出会えれば、新しい発見があり世界の見方も変わるかもしれません。