「ビミョー」は日常会話で使う言葉として浸透していますが、「微妙」は本来の意味とは異なる解釈で使われることが多い表現のひとつです。ビジネスシーンなどのあらたまった状況で使うのであれば、本来の意味を理解して使わなければ、相手に誤解を与えてしまうこともあります。
そこで、この記事では「微妙」の意味や使い方、類語や英語表現などを紹介。また、「絶妙」や「曖昧」など似たような状況で使われる表現との違いについても解説します。
微妙(びみょう)の意味とは? 絶妙・曖昧との違いも紹介
「微妙(びみょう)」は会話などでよく使われる表現ですが、もともとの意味はあまり知られていません。「微妙」には「ひとことでは表しがたいほど細かく複雑である様子」「趣が深く美しさや味わいがある様子」などの意味があります。
誤った使い方が浸透している
「微妙」は、本来の意味とは異なる意味での使い方が浸透しています。文化庁が行った「国語に関する世論調査」のアンケートでは、いいか悪いかの判断が付かない時に「微妙」を使う人が66%以上いました。
口語表現では「ビミョー」が使われることが多く、否定的な気分を遠回しに表す時に用いられます。
仏教と関連が深い言葉
「微妙」は仏教と縁が深い言葉で、仏教用語での読み方は「ミミョウ」です。「言葉ではいい尽くせないような、不思議で趣深く繊細であること」を表す語として用いられます。
絶妙(ぜつみょう)の意味
「微妙」と混同されやすい「絶妙(ぜつみょう)」の意味は「とても巧みで優れている様子」です。「微妙」は繊細さや複雑さ、細かさなどを表しますが、「絶妙」は優秀さを表します。
曖昧(あいまい)の意味
同じく「微妙」と混同されやすい「曖昧(あいまい)」の意味は「物ごとや態度がはっきりしない様子」「疑わしい様子」などです。前者が口語の「ビミョー」とほぼ同じ意味であり、口語表現で使われる「ビミョー」と「曖昧」は類語といえます。
微妙・絶妙・曖昧の使い分け
「微妙」と「絶妙」「曖昧」は使い方を混同しやすいので、注意しましょう。ここでは、「微妙」「絶妙」「曖昧」それぞれの具体的な使い方を紹介します。
微妙の使い方
「微妙」は、物ごとが複雑で繊細である様子を表す場合に「微妙さ」「微妙な」などのいい回しで使う表現です。「微妙な変化」など、前後のわずかな違いを表す場合に使いましょう。
絶妙の使い方
「絶妙」は優れたものを表す場合に使われる表現です。「絶妙な」「絶妙さ」などのいい回しでよく使われます。例えば「絶妙なバッティング」など、技術などがすばらしい様子を指す場合に用いられる表現です。
曖昧の使い方
「曖昧」は物ごとがはっきりしない様子を指して使われる表現で、「曖昧さ」「曖昧な」などのいい回しがあります。「曖昧な返事」「曖昧な態度」など、人の行動を表す言葉とともによく使われる表現です。
微妙・絶妙・曖昧の例文
「微妙」「絶妙」「曖昧」は日常会話で使われることがよくある表現です。ここでは、それぞれの具体的な使用例を紹介します。
微妙の例文
・彼女だけは微妙な変化を見逃さず、チャンスを取り逃さなかった
・彼の絵は微妙な筆遣いで繊細極まりない作品に仕上げられている
・判定には微妙さが求められたが、結果としてセーフとなった
・A国とB国の微妙な関係は周辺諸国をヒヤヒヤさせている
上記のように、複雑さや趣深さなどを表す場合に、「微妙」が使われます。
絶妙の例文
・彼は絶妙なバッティングでいつも観客を魅了している
・下町工場の熟練職人が持つ絶妙な技で、繊細な部品ができあがった
・彼女は美貌だけならず絶妙な演技にも定評があり、女優としてとても評価されている
・翻訳の絶妙さから彼女が担当した字幕は見応え抜群だ
このように「絶妙」は、すばらしい技術を指す場合に使われる表現です。
曖昧の例文
・A社に再度確認を取ろうとしましたが、曖昧な返事しかもらえませんでした
・彼は曖昧な態度を取り続けているが、それでもたくさんの女性に好かれている
・曖昧な答えを繰り返していたら、ついに相手にされなくなってしまった
・表現に曖昧さがあると伝わりにくいので、なくすよう改善すべきである
「曖昧」は、はっきりしない様子を表すいい回しです。上記の例を参考に使いましょう。
微妙・絶妙・曖昧の類語
「微妙」「絶妙」「曖昧」はそれぞれ意味が異なります。類語もそれぞれ違うので、確認しておきましょう。
微妙の類語
「微妙」の代表的な類語としては「デリケート」が挙げられます。「デリケート」は「精巧にできており、壊れやすい様子」や「微細な差のあるさま」を表しており、「微妙」と意味がほとんど同じです。
しかし外来語であり、あらたまったシーンでは使いにくい点には注意しておきましょう。
絶妙の類語
「絶妙」の類語は「見事」「優秀」などです。
「見事」の意味は「すばらしい様子」「巧みな様子」などがあります。「優秀」は「非常に優れている様子」という意味がある言葉です。どちらも「絶妙」に比べると幅広く使える表現で、「絶妙」を言い換える表現として使用できます。
曖昧の類語
「曖昧」の類語は「あやふや」「おぼろげ」「漠然」などです。
「あやふや」には「物ごとがはっきりしない様子」という意味があります。「おぼろげ」の意味は「はっきりせず不確かな様子」で、「漠然」の意味は「ぼんやりしてはっきりしない様子」です。いずれも「漠然」と似た状況で使われます。
微妙の英語表現
「微妙」の英語表現には「delicate」「ticklish」などがあります。
「delicate」は「繊細な」という意味がある形容詞です。「delicate brushwork(微妙な筆遣い)」などの使い方があります。
「ticklish」の意味は「扱いにくい」「デリケートな」などです。使い方としては「ticklish questions(微妙な問題)」などがあります。
微妙の中国語表現
日本語の「微妙」を中国語にした場合、同じ表記の「微妙」が使われます。中国語の「微妙」の意味は「奥深い」「関係や状況が複雑である」などで、日本語の「微妙」とほとんど変わりありません。
読み方は「wēimiào」で、日本語とは読み方が異なる点に注意してください。
微妙の韓国語表現
「微妙」を韓国語で表すと「미묘」です。日本語の「微妙」と発音が似ており、違和感なく使いやすい表現です。使い方例としては「微妙な三角関係(미묘한 삼각관계)」などがあります。
微妙は間違いやすい! 絶妙・曖昧との違いも理解して正しく使い分けましょう
「微妙」とは本来、「趣が深く繊細であること」を意味する言葉です。口語表現で使われる「ビミョー」のような「いいとも悪いとも判断しきれないどっちつかずの様子」という意味とは異なりますので、あらたまった場で使う時には注意してください。
また「微妙」には「絶妙」や「曖昧」など、似たような状況で使われる表現が多いです。それぞれの意味や違いを理解した上で使い分けましょう。