日本テレビ系ドキュメンタリー番組『NNNドキュメント’21』(毎週日曜24:55~)では、広島平和公園でガイドをするアメリカ人に密着した『メアリーが伝えるヒロシマ~アメリカ人ピースガイド~』(広島テレビ制作)を、きょう15日に放送する。

  • メアリーさん(左)と祖母=広島テレビ提供

平和公園でガイドをするアメリカ人のメアリー・ポピオさん(29)は、2016年に広島に移り住み、平和活動に取り組むNPO法人に所属した。共に活動するのは広島の被爆3世や、イギリス人などの若者たちだ。原爆投下から76年、国と人種の違いを超えて被爆者の心を発信し、核なき世界を目指すが、最初は葛藤があった。

原爆を投下した国に生まれた自分に何ができるのか。背中を押したのは被爆者の言葉だった。「メアリー、世界に被爆者の心を発信してほしい」…米国人だからこそ、できることがあると思った。

取り組むのは平和公園でのガイドに加え、中学生や高校生に向けた平和学習のプログラム。コロナ禍となったこの1年はオンラインを活用した。日本や世界の学生に被爆証言を届ける。そしてVRやARの技術も活用して、新たな平和発信の形を模索している。

今年、メアリーさんはアメリカの実家に帰郷した。原爆を肯定した祖父は去年亡くなった。メアリーさんは母と共に、祖母に会いに行くことにした。原爆投下についてどう考えるか知りたかった。祖母が覚えていたのは終戦して喜ぶ人々の姿。母は冷戦で核の脅威にさらされていた。

家族は口をそろえて、「メアリーの活動で原爆を知り核兵器について考えるようになった」と言う。メアリーさんは「核なき世界の一歩は『知ることから』」と信じる――。

戦争を知らない世代だからこそ、 アメリカ人だからこそできることがある。メアリーさんは今日も世界に向け、ヒロシマの発信を続けている。