ぷっくりとして形が愛らしい、そらまめ。鮮やかな緑色のヘルシーカラーで、「そらまめは体にいい」というイメージを持っている人もいるでしょう。

本記事ではそらまめの栄養成分と、その効能をご紹介。気になる「そらまめの皮の栄養」についても解説します。ほかにも、これらの栄養素を効率よくとるための調理法なども紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • そらまめの栄養成分や効能、おいしい食べ方について紹介します

    そらまめの栄養成分や効能、おいしい食べ方について紹介します

そらまめとは

そらまめ(空豆)はマメ科ソラマメ属の植物で、原産地は西南アジアから北アフリカ、および地中海沿岸と言われています。歴史の古い豆類で、エジプトでは4000年も前から栽培されていたそうです。日本へは、飛鳥時代に渡来したと考えられており、一般に栽培されるようになったのは江戸時代初期で、明治時代になると消費量も増加し、品種も増えていきました。

名前の由来は、さやが天を仰ぐように上に伸びていく姿からといわれています。出荷時期が4月から5月頃が最盛期なので、「四月豆」や「五月豆」と呼ぶ地域もあります。豆がさやの内側の白いワタのような繊維で包まれていることから「蚕豆」と漢字で表すこともあります。国内の主な産地は鹿児島県、千葉県、茨城県などです。

そらまめの旬は初夏

そらまめの旬は、4月から6月頃の春から初夏にかけて。同じ豆類の野菜のグリンピースやスナップエンドウなどもこの頃が旬で、枝豆はそのあとの夏が旬になります。そらまめの産地は鹿児島県が代表的で、千葉県や茨城県といった関東圏でも栽培されています。

  • そらまめの旬は初夏。短い旬を逃さないで楽しみましょう

そらまめの品種

濃い緑色のしっかりしたさやの中に黄緑色の豆が2~4個くらい入っています。スーパーや青果店で目にするのは「打越一寸」「陵西一寸」「河内一寸」という一寸系の品種です。ちなみに一寸は約3cm。そらまめの豆粒の大きさもこのくらいです。

打越一寸

張りのある豆肌と豊かな風味が特徴で、3粒さやの確率が高いです。草勢が強く、寒さにも比較的強いため、初心者にも作りやすい品種とされています。

陵西一寸

さやの色は濃緑で光沢があります。3粒さやが多くを占め、その粒もよくそろっており、味もよいです。

河内一寸

河内一寸は大阪の伝統野菜です。豆一粒がとても大きく、1つのさやに1~2粒のものが多いです。

このほか、香川県で作られている「さぬき長莢」は長いさやに小粒の豆が5~6粒入っています。赤い実の初姫という品種もあります。

また、そらまめは日本だけでなく、ヨーロッパでも親しまれている野菜です。フランスでは「フェーブ」、イタリアでは「ファーヴェ」と呼ばれています。イタリアでは生で食べることもあるそうです。

  • そらまめはふかふかのさやに守られています

そらまめの栄養成分と効能

それでは、そらまめ(未熟豆)の栄養成分(可食部100gあたり)についてみてみましょう(数字は七訂日本食品標準成分表より)。

  • エネルギー:108kcal
  • タンパク質:10.9g
  • 炭水化物:15.9g
  • コレステロール:0
  • 食物繊維:2.6g
  • ビタミンB1:0.3mg
  • ビタミンB2:0.2mg
  • ビタミンC:23mg
  • カリウム:440mg
  • カルシウム:22mg
  • マグネシウム:36mg
  • 鉄:2.3mg
  • アルギニン:1000mg
  • アスパラギン酸:1100mg
  • グルタミン酸:1700mg

豆類なので植物性たんぱく質が豊富で、アスパラギン酸やグルタミン酸といったアミノ酸類が多く含まれています。ほかにもカリウム、マグネシウムなどのミネラル、ビタミンB群やビタミンCなども含んでいます。以下に、これらの栄養素の主な効能をご紹介します。

【タンパク質】体の基礎となる大切な栄養素

そらまめのほか枝豆、グリンピースなどのマメ科の植物にはタンパク質が豊富です。タンパク質は三大栄養素のひとつで、体を構成するための大切な栄養素です。

【ビタミンB1・B2】疲労回復につなげる

そらまめにはビタミンB1、ビタミンB2が含まれています。ビタミンB1は糖質のエネルギー代謝にかかわっており、疲労回復を促す成分として広く知られています。ビタミンB2は脂質をエネルギーに変えて、皮膚の健康と身体の成長を助ける効果があると考えられています。

【葉酸】造血作用のあるビタミン

ビタミンB群の一種である葉酸は、造血作用のあるビタミンで、貧血を予防する効能があります。とくに妊娠中の方が摂取を推奨される栄養素です。

【ビタミンC 】抗酸化や免疫力アップにつなげる

ビタミンCはコラーゲンの合成にかかわるビタミンです。皮膚を健やかな状態に保つほか、老化の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用もあります。

【カリウム】高血圧やむくみを予防

カリウムは、体の余分なナトリウムを排出して高血圧を予防する効能があります。また、余分な水分の排出も促すため、むくみ予防に役立ちます。

【食物繊維】整腸作用。皮に多い

そらまめには不溶性の整腸作用も含まれています。腸の中で水分を含んで膨らみ、便を排出しやすい状態に。便秘の改善や予防につながります。

そらまめの栄養は皮にもあるの?

そらまめは一般的にさやから取り出し、さらに薄皮もむいて食べます。しかしこの皮には、不溶性食物繊維が多く含まれています。特に便秘の症状が気になっている人は皮ごと食べるのもおすすめです。鮮度のよいうちは皮もやわらかめで食べやすく感じるでしょう。

  • そらまめの皮にも栄養が含まれています

そらまめのカロリー

そらまめのカロリーは100gあたり108kcalです。平均的な大きさ1粒だと約4kcal。10粒食べても40kcalです。脂質も1粒あたり0.02gと少なく、高タンパク低カロリーとダイエットにはうってつけの食材です。また、最近注目されている糖質も、1粒あたり0.5gです。一日の推奨糖質摂取量は女性で270g、男性で330gなので、かなり低い数値です。

そらまめに含まれる食物繊維は、不溶性食物繊維です。不溶性食物繊維は、腸を刺激して運動を活発にするので、ダイエットの大敵である便秘の予防になります。

そらまめの選び方

さやを剥いた豆だけの状態で売っていることもありますが、スーパーや青果店ではさやのまま中身が見えない状態で販売されていることが多いので、おいしいそらまめの選び方をご紹介します。

■さやつきのものを選ぶ

そらまめは鮮度が落ちやすいので、できるだけさやつきの状態のものを購入しましょう。

■さやにつやがあり、弾力があるものを選ぶ

選ぶときはきれいな緑色のさやでつやがあり、全体が均一に膨らんで弾力があるものが良品です。新鮮なものはうっすら産毛がついているのでチェックしましょう。

■張りがないものは避ける

さやが黒ずんでいたり、張りのなかったりするものは避けた方が無難です。剥いたものを選ぶときには、豆の爪の黒い部分が濃い方が実が熟しています。

  • そらまめはできるだけさやに入ったものを選びましょう

そらまめの食べ方

そらまめ本来のおいしさを楽しむならば、塩茹でにするか、さやのままグリルで焼く方法がおすすめです。サラダや揚げ物、炒め物、煮物、スープなどは鮮やかな色も楽しめる調理法です。

そらまめのおいしい茹で方

塩茹でする場合、調理する直前にさやから取り出し、お歯黒部分(黒い爪のような部分)に包丁で切り込みを入れます。こうしておくと後で剥きやすくなります。ただし、栄養素が水に流れ出しやすくなるので、ゆですぎには注意が必要です。

多めの沸騰したお湯に、お湯に対して2%の塩を入れて1~2分茹でます。特有の香りが苦手な場合は、このときに酒を少々入れるといいですね。茹ですぎると食感が悪くなるので注意しましょう。茹で上がったら、ざるに取り自然に冷まします。水につけると水っぽくなるので、うちわなどであおいで冷ましましょう。

そらまめの栄養素を効率よくとる食べ方は?

そらまめに含まれるビタミンやミネラルは、加熱によって壊れたり水に流出したりしてしまいがち。ゆでる際はなるべく皮が付いた状態にするのがおすすめです。さやごと焼く、焼きそらまめもいいですね。

また、前述のとおり、そらまめの食物繊維は皮に多く含まれています。ミキサーで皮ごとすりつぶすなど、皮も一緒に食べる工夫をしてみてください。

そらまめの保存方法

そらまめは乾燥に弱いのでポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存します。収穫後3日で味が落ちると言われるほど鮮度が落ちやすいので、買ってきたら早めに調理します。豆をさやから出して空気に触れると鮮度が落ち始めるので、調理する直前にさやから出します。長期保存は冷凍がおすすめ。生のままか、1分ほど硬めに茹でて冷凍します。

  • そらまめの栄養素を効率よくとるなら焼きそらまめもおすすめ

そらまめはタンパク質、ビタミン、ミネラルが豊富

暑い季節のビールのお供といえば枝豆が定番ですが、ときには栄養価が高いそらまめを使ってみるのもいいでしょう。ヘルシーで栄養面にも優れ、何よりおいしいそらまめをさまざまな料理に使ってみてください。