5歳で芸能活動を開始し、天才子役として名を馳せた鈴木梨央も、いまや16歳。最近はNHK『ひきこもり先生』で壮絶ないイジメを受けた不登校児役、カンテレ・フジテレビ『青のSP(スクールポリス)―学校内警察・嶋田隆平―』で教師を加害者に仕立て上げた女子高生役などの難役に挑戦し、改めて演技力を見せつけた。声優としても多くの作品に参加しており、『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』(8月13日公開)ではおてんばな女の子・ルルを演じた。少しずつ大人の階段を登ってきた鈴木にインタビュー。子役からの過渡期を振り返りつつ、女優業への飽くなき情熱を語ってくれた。

  • 鈴木梨央

『映画おしりたんてい スフーレ島のひみつ』は児童書が原作で、NHK Eテレでテレビアニメとしても人気を博す「おしりたんてい」シリーズの劇場用アニメ第3弾。主人公は、おしりのような顔をしたジェントルマンな名探偵で、スマートかつ鮮やかな推理で事件を解決に導く。本作は、夏休みのファミリー映画として『深海のサバイバル!』と同時上映される。

スフーレ島に住むおてんばな女の子・ルル役を演じた鈴木は、「幼少期から『おしりたんてい』の絵本を読んでいましたが、まさか自分が劇場版に参加できるなんて思ってなかったので、本当にうれしかったです。脚本を読んだ時もドキドキハラハラしたし、すごく感動もできたので、収録が待ち遠しかったです」と喜びを語る。

声優としても抜群の安定感を誇る鈴木は、テレビアニメ『どろろ』(19)どろろ役やアニメ映画『ちいさな英雄-カニとタマゴと透明人間』(18)カニーノ役を務めたほか、洋画の吹き替えも数多く演じてきた。声優業の楽しさは「キャラクターに合わせて、声をガラッと変えられるところ」だという。

「画のテンションや表情に合わせて自分の声をのせられるので、常に新鮮な気持ちを味わいながら演じさせていただいています。今回のルルは小さな女の子なので、当時の幼かった自分のことを思い出しながら、元気に明るく演じていきました」

島の外の世界に憧れているルルは、とんでもない行動に出るが、鈴木はルルとの共通点について「すごく好奇心旺盛なところ」を挙げる。「例えば最近で言うと、マラソンをしたいという気持ちがいきなり降って湧いてきたので、お友達を誘って出たりしました。とにかく思い立ったらすぐ行動に移してしまうところがルルと似ているかなと」

かなりアクティブな性格に思えるが、幼少期の鈴木はまったく真逆でおとなしい子だったとか。「人見知りかつ泣き虫で、人と話すのも苦手でした。おそらく今のお仕事と出会ってから、変わっていったのではないかと」

引っ込み思案だった鈴木だが、連ドラ『Mother』(10)を観て芦田愛菜に憧れ、芦田の所属するジョビィキッズプロダクションのオーディションを受けたことをきっかけに芸能界入りを果たした。

「母と一緒に『Mother』を観て、芦田愛菜ちゃんの演技に感動しました。自分と同い年なのにすごい!と思い、私もこの世界に入りたいと思ったのですが、自分の口から何かをやりたいと言ったのは初めてだったらしく、母もすごく驚いたそうです。必死にお願いしたら母も私の気持ちを受け入れてくれて、『頑張るんだよ』と応援してくれました。それでいざやってみて、お芝居が大好きになりました」

その後、NHK大河ドラマ『八重の桜』(13)で綾瀬はるか演じる主人公・八重の幼少期を演じて脚光を浴び、人気子役となっていったが、今でもオーディションでは、すごく緊張して震えてしまうそう。

「以前、オーディションで覚えていった台詞が、頭から飛んじゃったこともありますが、そういう時は深呼吸してやり直すようにします。常にプレッシャーは感じますが、やっぱり私は負けず嫌いなので、『絶対に受かりたい』という気持ちは誰よりも強いと思います」