京都市交通局は、来春の営業運転開始をめざす地下鉄烏丸線新型車両の外観・内装に京都の伝統産業素材・技法を活用する。このほど活用事例の第3弾として、西陣織と京友禅の飾付けを公開した。
地下鉄烏丸線では、現行車両20編成のうち9編成について、2021~2025年度にかけて新型車両に更新する予定。1編成目は今年7月に搬入され、2022年春の営業運転開始をめざし、現在は竹田車両基地にて最終段階の仕上げを行っているという。京都ならではの地下鉄として、新型車両の外観・内装デザインに京都の伝統産業素材・技法を活用しており、今回は内装デザインの西陣織と京友禅の飾付けを紹介している。
新型車両では、先頭車両の多目的スペース「おもいやりエリア」に設ける「立ち掛けシート」の構造を工夫し、伝統産業の素材を飾り付けるガラス張りのスペースを設け、新型車両全9編成の両先頭車にそれぞれ異なる素材(全18種類)を飾り付けるとのこと。西陣織と京友禅は、京都市指定の伝統産業74品目の中から新型車両の1編成目に飾り付ける素材として選定された。
1号車の飾付けに採用される西陣織は、染色した糸を使用して織る先染織物で、多色の糸により美しい模様を作れることが魅力のひとつ。西陣織工業組合が今回の素材提供に協力し、新しく取り組むタータンチェック柄のデザインを含む計8種類の西陣織の生地が飾り付けられる。
6号車の飾付けに採用される京友禅は、豊かな色彩とデザインに草花や器物を表現する友禅模様と呼ばれる文様が特徴。ていねいな手仕事による分業制も特徴であることから、「おもいやりエリア」において、1枚の白生地が京友禅として順番に仕上がっていく様子がわかるように、各工程における実物の生地と写真をセットにして飾り付けられる。
なお、これまで第1弾と第2弾で紹介された局章(金属工芸)、標記銘板(京象嵌)、釘隠し(金属工芸)、吊手(北山丸太・京くみひも)の4点について、新型車両の完成を記念し、営業運転に先立ち10月中旬頃から数量限定の受注生産で一般への販売を開始するとのこと。11月初旬頃からは、ふるさと納税返礼品としても出品を予定している。