『仮面ライダーゼロワン』のスピンオフVシネクスト『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』の完成披露上映会が8月12日、東京・新宿バルト9にて催された。

  • 左から、中山咲月、山口大地、砂川脩弥、中川大輔、岡田龍太郎、井桁弘恵、鶴嶋乃愛、桜木那智、筧昌也監督

『ゼロワンOthers 仮面ライダーバルカン&バルキリー』とは、特撮テレビドラマ『仮面ライダーゼロワン』(2019年)の“その後”を描いた東映Vシネクスト『ゼロワンOthers 仮面ライダー滅亡迅雷』(2021年)の続編にして『ゼロワン』最終章にあたる。本作では、仮面ライダーゼロワン/飛電或人(演:高橋文哉)とは異なる立場から、人類とヒューマギアのために命を懸けて戦う2人の仮面ライダー、仮面ライダーバルカン/不破諫(演:岡田龍太郎)と仮面ライダーバルキリー/刃唯阿(演:井桁弘恵)にスポットが当てられた。

上映が終了したばかりで、映画の感動と興奮が冷めやらぬ観客の迎える中、本作の主要な出演者と筧昌也監督がステージに現れた。

仮面ライダーバルカン/不破諌を演じた岡田龍太郎は「意志(ゆめ)を貫くってのも、楽じゃねえな……」と、不破の名セリフとともに挨拶。今回の完成披露については「やっと届いたか、という感じです。実はこの作品、撮影したのが1年近くも前。そこからずっとあたためていて、今ようやくみなさんの元に届けることができました。僕たちは本当にこの日を待ち望んでいました。『滅亡迅雷』から『バルカン&バルキリー』へと無事つなぐことができて、嬉しいです」と映画完成から公開に向けての喜びをしみじみと語った。

また本作には、岡田自身が提案したシーンがあったという。それは不破がオートバイに乗って現場に急行するというくだりだった。これについて岡田は「今までの不破は、なぜか車より先に走ってくるとか、森から走って出てくるとか、そんなのばっかりでした。今回は王道の仮面ライダー作品だと思ったので、ライダーといえばバイクですから、カッコよくライドさせてくださいと監督にお願いしました」と、仮面ライダーらしいオートバイ搭乗シーンを入れてほしいと要望を出し、それが見事OKになったことを熱っぽく話した。

今回の舞台挨拶ではキャストの衣装が全員「役衣装」なのだが、それは仮面ライダーバルキリー/刃唯阿を演じた井桁弘恵の提案によるものだったという。井桁はこれについて「みんなこの衣装がしっくりくると思うし、来てくださったお客さんも喜んでくださるかと」と語り、客席からの大きな拍手を受けていた。映画の公開については「テレビシリーズが始まって2年になろうとしているこの時期まで、どれだけの方が待っていてくれるだろうと不安もありましたが、今日こうやってみなさんのお顔が見られて、ホッとしました」と、『ゼロワン』テレビシリーズ終了後もスピンオフ作品を大勢のファンから待望されていたことを実感し、笑顔を見せた。

映画で初登場するバルキリーの新フォーム「ジャスティスサーバル」を見たときの印象としては「今までのラッシングチーターを見慣れ過ぎていて、ジャスティスサーバルを見たときはウワッすごいと思って、圧倒されちゃったんですけど、戦っている姿を見ているとバルキリーらしさを残しつつ、さらに強くなっていく力強さもあって、お気に入りのフォームがひとつふえて嬉しかったです」と、新フォームの強さに強い興味を示すことになった。

飛電インテリジェンスの秘書型ヒューマギア・イズ役の鶴嶋乃愛は、久しぶりにイズに扮した感想を問われて「昨年の秋、この作品の撮影が終わって以来イズの衣装を着ていなかったので、嬉しいというか、今は楽しい」と率直な思いを語った。また「この衣装を着て、耳のパーツをつけると、AI(ヒューマギア)っぽくしないと……」と精神面からイズに戻ってしまうことを明かした。

2020年の映画『劇場版 仮面ライダーゼロワン REAL×TIME』から1年後、という時間設定については「新しくなったイズちゃんから1年、或人との関係もまた新たに出来上がっていく中、或人にいろいろなことを教えられつつ、他の人とも関わっていくんだろうなと思いながら演じました」と、再生・再学習を経てふたたび「あのころのイズ」に戻っていくような、繊細な芝居をこなしたと自信のほどを話した。

ZAIAエンタープライズ・サウザー課課長、仮面ライダーサウザー/天津垓を演じる桜木那智も今回の役衣装について「久しぶりすぎて緊張し、指輪をどっちの指に着けたらよかったかなとか、ちょっと混乱しました」と、苦笑いを浮かべながら緊張感があったことを打ち明けた。本作での天津垓の出番はそれほど多くないのだが、それだけに桜木は「観ている方々に強い印象を残したいと思って、ああいう感じになりました」とインパクト抜群のシーンがあることをほのめかした。

仮面ライダー迅/迅を演じる中川大輔は「前回の『仮面ライダー滅亡迅雷』が“絶望的”な終わり方をしたので、そこから数ヶ月『バルカン&バルキリー』まで引っ張っていたのがすごく申し訳なかったです。僕ら(滅亡迅雷.net)なりに出した答えを、早く観てほしいという思いがずっとあったので、今回ようやくみなさんに観ていただけてホッとしています」と、『仮面ライダー滅亡迅雷』と『バルカン&バルキリー』の2作を通して初めて貫くことのできるメッセージ性を強調した。

仮面ライダー滅/滅を演じる砂川脩弥は、本作が『仮面ライダーゼロワン』の物語の「完結編」であることについて「役者としては、ひとつの作品を乗り越えた嬉しさがある。しかし、もう滅として出演できなくなる……終わるのかと寂しい気持ちにもなる」と、作品をやり遂げた達成感と、これで自分の役と別れる寂しさの両方があると打ち明けた。

仮面ライダー雷/雷を演じる山口大地は、『仮面ライダー滅亡迅雷』から続く本作『バルカン&バルキリー』のストーリーについて「不破諫と刃唯阿の2人には信頼もありますし、僕ら滅亡迅雷4人の意志をどう扱ってくれるのかな、と思いながら観ていました。不破の最後の戦いを観ていると、これで『ゼロワン』の物語が本当に終わるんだなあと感じました」と『ゼロワン』完結に際して、満足そうな表情を浮かべながら感想を述べた。

仮面ライダー亡/亡を演じる中山咲月は「前作『滅亡迅雷』でみなさんモヤモヤした気持ちで過ごされたと思いますが、自分も同じような気持ちで、後編『バルカン&バルキリー』をずっと楽しみにしていました。滅亡迅雷.netの意志を唯阿と諫がちゃんとつないでくれた……と感じられたことがとても嬉しかったですし、作品をファンのみなさんに届けることができたという喜びを感じました」と、視聴者目線で『滅亡迅雷』から『バルカン&バルキリー』の物語を楽しみ、作品を心から愛するファンに向けて自信をもって届けられると、目を輝かせた。

本作および『仮面ライダー滅亡迅雷』のメガホンを取った筧昌也監督は、『滅亡迅雷』の衝撃的なラストシーンから今回の『バルカン&バルキリー』公開まで、ファンの方々が約5ヶ月間も待っていたことについて「よくぞみなさん、『滅亡迅雷』のあのラストから5ヶ月も耐えてくださいました。脚本・高橋悠也さんのファンに対する“試練”の与えかたはすごいですよね。監督の僕がシナリオを読んでビックリした感情を、あますところなく届けたいと思ったのが『滅亡迅雷』でした。あの“試練”を描けたことによって『バルカン&バルキリー』のすばらしい終わり方に着地できたのかなと思っています」と、自身も脚本と監督で参加した『仮面ライダーゼロワン』のラストエピソードを最高の形で作り上げることができたと、改めてキャスト陣と演出人、脚本の高橋悠也氏たちの思いを汲みつつ語った。

最後にマイクを手にした井桁は「今日、実際にみなさんとお会いして同じ時間を共有することができ、幸せでした。公開日(8月27日)まではもうちょっとあるんですけど、その日までみなさんで『ゼロワン』完結編である『バルカン&バルキリー』を盛り上げてもらえたら嬉しいです」と、客席のファンたちに熱き応援を呼びかけた。

岡田は「不破諫は最後まで不破諫だったと思います。いまはすごいカオスな時代ですけど、こういうときに励ましてくれるのが、みんなの心の中にあるヒーロー像だと思います。『バルカン&バルキリー』が少しでも、そういう苦しい状況に力添えできる作品になっていれば」と劇中の不破諫そのままに、しっかりした眼差しでファンの方々に向き合い、強い意志を感じさせる言葉でイベントをしめくくった。

『ゼロワンOthers仮面ライダーバルカン&バルキリー』は2021年8月27日より新宿バルト9ほかで期間限定上映を開始。Blu-ray&DVDソフトは、2021年11月10日に東映ビデオから発売される。

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