「香り松茸、味しめじ」という言葉があるように、うまみをしっかり蓄えたしめじ。価格も比較的安定し、色々なアレンジがきくことから人気の食材です。

しめじは栄養の面でも、低カロリーな割にはβ-グルカンやオルニチンを含むうれしい食材。具体的にどのように体にいいのでしょうか。本記事ではしめじの栄養情報に加え、おいしいしめじの選び方、おすすめの保存方法などについても解説します。

  • しめじの種類

    しめじの栄養成分や効果効能、選び方や保存方法について紹介します

しめじの種類

そもそも「しめじ」は食用キノコの一種です。「占地」あるいは「湿地」とも書きます。占地は、土地一面にびっしりと生えることから、湿地は、湿った土地に生えることが由来と考えられています。和洋中のジャンルを問わず、炒め物から煮物、炊き込みご飯など、幅広く調理されます。

「しめじ」という名前がついているきのこはたくさんあり、中には「イッポンシメジ」といった毒きのこもあります。現在、食用として販売されているものの代表例は「ホンシメジ」と「ブナシメジ」です。

ホンシメジ

昔から山で採っていたホンシメジはハラタケ目キシメジ科シメジ属ホンシメジ。店頭で売られているシメジはハラタケ目シメジ科シロタモギタケ属ブナシメジで、科と属が違う別種のきのこです。

「香り松茸~」のくだりに出てきたのはホンシメジで、栽培が困難で天然物に限られるために、現在は松茸同様、高級品です。グアニル酸、グルタミン酸、アスパラギン酸などのうま味成分が豊富で、まさに「味しめじ」だとか。

ブナシメジ

店頭で目にするのはブナシメジです。歯ごたえがよく、幅広く料理されています。このブナシメジを品種改良したのが「白ブナシメジ」。ぶるっとした食感で、熱を加えても白く、料理が彩りよく仕上がります。ブナシメジよりもカサが大きく、灰褐色なのが「ハタケシメジ」です。傘が大きくボリュームがあり、歯ごたえを強く感じられます。

  • しめじの栄養成分

    ホンシメジは、店頭に並ぶ「ブナシメジ」とは別モノです

しめじの栄養とは

しめじの栄養素を、文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」で調べてみました(すべて可食部100gあたり)。

ブナシメジ

  • たんぱく質:2.7g
  • カリウム:380mg
  • 食物繊維:3.7g
  • ビタミンB1:0.16mg
  • ビタミンB2:0.16mg
  • ビタミンD:0.6mg

ホンシメジ

  • たんぱく質:2.5g
  • カリウム:310mg
  • 食物繊維:1.9g
  • ビタミンB1:0.07mg
  • ビタミンB2:0.28mg
  • ビタミンD:0.6mg

しめじにはビタミンB群、ビタミンD、食物繊維が含まれています。そのほかにも、注目したい栄養成分・オルニチンやβグルカンを含んでいます。

しめじの効果効能

ここからは、しめじの持つ栄養素の効果効能を解説していきます。

ビタミンB群

しめじに含まれるビタミンB1は、糖質の分解に働きかけるため、疲労の回復につなげる作用があります。ビタミンB2は脂質の代謝や、皮膚や粘膜などを健康に保ち、健康な肌や髪をつくるサポートをします。

ビタミンD

ビタミンDは、カルシウムの吸収を良くする働きをし、免疫力や新陳代謝の向上にも効果があると言われてます。体内でも生成されますが、限りがあるので食事によって補う必要があります。また、日光に当たることで紫外線により皮下で合成されます。

オルニチン

オルニチンは、アミノ酸の一種です。特に肝臓の働きを助け、疲労回復の効果が期待できます。解毒作用があるので二日酔い予防の効果も見込めます。しじみにも豊富に含まれていることがよく知られており、「お酒を飲んだ後にはしじみ汁」の由来とも考えられています。

グルカン

β-グルカンはキノコに多く含まれる食物繊維の一種で、しいたけやまいたけなどにも含まれています。摂取しても胃腸で消化・分解されず、腸内の免疫細胞に働きかけることで免疫力を高めるとも考えられています。現在でも多くの研究が進められており、サプリメントにも採用されることがある成分です。

  • しめじのカロリー

    しめじの主な栄養成分はβ-グルカンやオルニチン

しめじのカロリー

続いて、しめじのカロリーに着目してみましょう。

ブナシメジ

  • 18kcal
  • 水分:90.8g

ホンシメジ

  • 12kcal
  • 水分:93.6g

食物繊維豊富でダイエットにおすすめ

しめじは100gあたりのカロリーが低く、ほとんどが水分です。さらに、食物繊維を多く含んでいます。食物繊維が多い食材は食べると満腹感が得られるので、食べすぎの予防になります。

また、しめじの食物繊維の多くは不溶性食物繊維で、保水性が高く、腸内で水分を吸収して膨らみ、便を出やすい状態にします。不溶性食物繊維は体内の毒素を排出してくれるデトックス効果も期待できるそうです。

  • しめじの選び方と保存方法

    しめじの栄養成分には、お腹の調子を整えてくれる作用も

しめじの選び方と保存方法

店頭で山のように積み上げられていることが多いしめじ。その中からおいしいしめじを見分ける方法をご紹介します。3つのポイントをチェックすれば、簡単においしいしめじを手に取ることができますよ。

おいしいしめじの選び方

1:カサが開きすぎていない

カサはしっかりと締まりの良いものを選びます。色の濃淡は味にあまり影響しないので、色より形をよく見るようにしましょう。

2:弾力があり、株がばらけていない

新鮮なしめじは、軸がしっかりしていて全体的に弾力があります。鮮度が落ちにくいのは、一株にしっかりとまとまっているもの。柔らかく、シワがあるものは避けたほうがよいでしょう。

3:軸がほどよい太さになっている

軸はほどよい太さで根元までしっかりしているものを選びます。ハリがあるほうが、食感を楽しめます。

  • おいしく保存するポイント

    しめじを選ぶ際は、カサの開き具合に注意して

おいしく保存するポイント

しめじだけなく、きのこ類は洗わずに保存します。洗うと香りやうまみ成分が流れ出してしまうだけでなく、水分がきのこの内部に入り込んで料理の出来上がりが水っぽくなってしまいます。このようにきのこの保存には水分が大敵です。

ただし、買ってきたままのパックに入れた状態で長時間置いておくと、風通しが悪くなり劣化が進んでしまいます。しめじのおいしさをできるだけ守る保存のポイントを、シーン別に以下にまとめました。

冷蔵庫保存する場合

パックから出したしめじをラップで包み、ジッパー付き保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。

使いかけを冷蔵庫で保存

使いかけのしめじの水分をキッチンペーパーで拭き取り、石づきを残したまま、ラップで包みます。あとは丸ごとの保存法と同じで、シッパー付き保存袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存します。

冷凍保存の場合

石づきをカットし、食べやすい大きさの小房にほぐします。冷凍用の保存袋に入れて密閉した状態で冷凍庫に保存します。なるべく袋の中を平たくすると、均等に冷凍できて味や食感のばらつきを防げます。使うときは、解凍せずに凍ったまま使います。

冷凍保存すると3週間ほど保存可能です。冷凍するとしめじの細胞壁が壊れ、旨味成分が出やすくなるため旨味がアップするとされています。しめじ以外でも、ほとんどのきのこで冷凍保存はできますが、エリンギだけは、シャキシャキとした特有の歯ごたえがなくなってしまうので避けたほうがいいでしょう。

しめじは洗う? 洗わない?

しめじ自体はそれほど大きくなく、包丁を使わずにほぐすだけで簡単に使える食材です。店頭に並ぶしめじは一般的に、ポットに詰めたおがくずなどに菌を植え付けて、室内で育てる菌床栽培です。そのため、土や外気のほこりなどが付くことがほとんどないため、洗わなくても使うことができます。

もし気になるのなら、さっと水にくぐらせる程度か、キッチンペーパーで汚れをふきとる程度でOKです。

  • しめじを使ったレシピを試してみよう

    しめじは冷凍することでより旨味が増します

しめじを使ったレシピを試してみよう

しめじは低カロリーながら、β-グルカンという食物繊維の一種やオルニチンなどの栄養成分も含む食材。価格も安定して手に入れやすいところもうれしいですよね。

しめじは冷凍すると旨味がアップするともいわれるので、使いきれない場合は今回ご紹介した方法を参考に、冷凍してみてください。凍ったまま味噌汁やスープ、炒め物に使えて便利ですよ。

ぜひしめじを使ったレシピを試して、健康を目指してみてはいかがでしょうか。