テレビ東京の人気バラエティ番組『家、ついて行ってイイですか?』(毎週水曜21:00〜)がまさかのドラマ化となり、ドラマ『家、ついて行ってイイですか?』(8月14日スタート 毎週土曜23:25〜)として放送される。「タクシー代をお支払いするので、家、ついて行ってイイですか?」と番組ディレクターがお願いし、同意を得られた人の住居を訪問してインタビューする番組で、話題を呼んだ回で語られた実際のエピソードを俳優陣が演じることになる。
主演の竜星涼は番組ディレクター・玉岡直人を演じ、ドラマ演出を補佐した本家のディレクター・上野氏らと二人三脚でドラマ化に挑んだ。カメラも持って回し、番組出演者役のゲスト俳優とも実際のインタビューのようなやりとりで、普通のドラマとはまた違う作品に。今回は竜星にインタビューし、撮影についての話を聞いた。
■本当にディレクターのように立ち回る
——テレビ局のディレクターを演じられましたが、竜星さんもテレビの世界に入って驚いたこととか、変わったことなどはありましたか?
逆に変わってないところなんですが、未だに自分がテレビで見ていた方たちにお仕事でお会いすると、不思議な感覚になります(笑)。なんだか、現実感がないんですよね。
——今回で言ったら、例えばゲストの研ナオコさんなどにもそのような感覚はありましたか?
研さんご本人にも、言いました(笑)。僕もバカ殿世代で、研さんのネタもすごく見てましたし、親の影響もあって歌も聞いていて。いろいろとご縁を感じながら、楽しみにしていた撮影でした。
——そういった先輩方と、普通の撮り方とは違うドラマを作っていったそうですね。
取材の本編を見せる作りになっているので、家に上がらせてもらって取材をしているところは、僕がほとんど出ないんです。本当に僕が撮った映像も使われていますし、番組の上野ディレクターがリアルに本家を撮るように進行している真後ろで、僕が声のお芝居をしていく進め方もしていました。生っぽく撮るということも意識して、あまり流れを固めずにその場で起きたものを大事にしていたし、アドリブも入りつつ、脱線したら僕がディレクターとして修正して、という形でした。ゲストで来る方達もびっくりしていましたが、逆に「なんかいいね、おもしろいね」と言ってくださったし、俳優としても演じるのは楽しいんじゃないかなと思いました。
一応台本もあるんですが、インタビューの中では新しい質問を振ったり、それに答えていただいたりということもたくさんありました。印象に残ってるのは、研ナオコさんがご主人の話をしている中で、僕が「ご主人は何のお仕事なさってるんですか?」と質問をしたら、「知らん!」と答えてくださったことで、それが絶妙に面白くて。残念ながら本編ではその部分は使われなかったんですが、知ってて冗談を言っているようにも見えるし、本当に知らないようにも見えるし、でもその返しが臨機応変に出てくる瞬発力が、さすがだなと。びっくりするような返しも楽しみながら、自由にやりとりができたので、そういった本家に近い生っぽさ、演技以上のものが出ているような気がします。
■もし自分が声をかけられたら…
——実際の『家、ついて行ってイイですか?』のディレクターさんには、どのような印象を持ちましたか?
実際に番組の上野ディレクターとずっと一緒にいたのですが、すごくラフにお話をしてくださる方だなという印象でした。ドラマ班の方達が上野さんのやり方を見て「そうやってるんだあ、なるほど!」と感心してると、すごく嬉しそうにしていたところにも、人間性が出ていて素敵なんです。バラエティでは当たり前にやってることなのかもしれないけど、僕らは「すごい!」「『家、ついて-』っぽいですね!」「あの画角ですね!」と喜んでたので、上野さんは嬉しそうにしていて、人の良さが出ていました(笑)
——やっぱり、そういう人間性がないとあの番組は作れないのでしょうか?
そうなのかもしれません。あとはディレクターさんによってもいろんなタイプがあるみたいで、ぐいぐいカメラアングルに入って行く人がいたり、話を聞き出すのに得意な対象者の傾向があったり、それぞれみたいなんですけど、中でも探究心や情熱みたいものはみなさん共通しているんじゃないかな。ドラマでもそういう部分が出せたら面白いんじゃないかと、リアリティを大事にしましたし、いい意味でのヒヤヒヤ感は楽しんでもらえるんじゃないかなと思います。
——もし本当にディレクターとしてインタビューをする企画などがあったら、いかがですか?
めちゃくちゃやりたいです! 今回ドラマという意外なところから人を取材するという経験をしてみてすごく楽しかったですし、お仕事だからこそ聞けることもあると思うんです。それによって、相手をより知ることもできるので、やってみたいという気持ちは大きくなりました。
——ちなみに、ご自身が「家、ついて行ってイイですか?」と声をかけられたらどうすると思いますか?
もし自分がこの仕事をしていなかったら、テレビに出られるという喜びがあって、ノリで「いいですよ」と言ってしまうかもしれないです。僕自身、昔スカウトされた時も、最初は「誰か芸能人に会えるんじゃないか?」という気持ちもあったので(笑)。ちょっとでもテレビに出られるとなったら、嬉しくなってしまうかもしれません。
——逆に、今の役者としての自分に対して「家、ついて行ってイイですか?」と言われたらどうですか?
断ります!(笑) まだまだ下積みなので、もっと人生を歩んでからの方が、旨味が出るかなと思います。
■竜星涼
1993年3月24日生まれ、東京都出身。2010年にドラマ『素直になれなくて』で俳優デビュー。『獣電戦隊キョウリュウジャー』(13年)でドラマ初主演を務めて以来、幅広く活躍。主な出演作に『君と100回目の恋』(17年)、『先生! 、、、好きになってもいいですか?』(17年)、『ぐらんぶる』『弱虫ペダル』『リスタートはただいまのあとで 』(20年)、ドラマ『アンナチュラル』『昭和元禄落語心中』(18年)、『同期のサクラ』(19年)、『テセウスの船』『35歳の少女』(20年)、『レンアイ漫画家』(21年)、舞台『修羅天魔~髑髏城の七人 Season極~』(18年)、『大地』(20年)など。2022年にはNHK連続テレビ小説『ちむどんどん』に出演する。
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