帝国データバンクは8月11日、「新型コロナウイルス感染症に対する企業の見解」に関する調査結果を発表した。調査は7月15日~31日、全国の企業1万992社を対象に行われた。
新型コロナウイルス感染症により自社の業績にどのような影響があるか尋ねたところ、69.3%の企業が「マイナスの影響がある」(「既にマイナスの影響がある」と「今後マイナスの影響がある」の合計)と回答。前月から2.6ポイント減少し、最初の緊急事態宣言発出前の2020年2月以来1年5カ月ぶりに6割台となった。
一方で、「プラスの影響がある」(「既にプラスの影響がある」と「今後プラスの影響がある」の合計)と回答した企業は5.6%と横ばいに。「影響はない」(20.1%)は2割台と最も高くなった。
業種別にみると、「マイナスの影響がある」と見込む企業は、「飲食店」(90.9%)が最も高く、次いで「医薬品・日用雑貨品小売」(90.0%)、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(89.9%)、「旅館・ホテル」(87.8%)、「出版・印刷」(84.5%)と続いた。
他方、「プラスの影響がある」と見込む企業は、「飲食料品小売」と「教育サービス」がともに16.7%で最も高く、以下、「各種商品小売」(15.9%)、「娯楽サービス」(14.7%)、「繊維・繊維製品・服飾品小売」(12.5%)が上位に並んだ。
次に、新型コロナウイルスワクチンに関して、接種を希望する従業員の状況を自社で把握しているか尋ねたところ、任意接種などのため「把握していない」企業は28.8%。「把握している」(「希望者はほとんど接種した」「希望者はある程度接種した」「希望者もあまり接種していない」の合計)と回答した企業は66.7%で、規模別にみると、「大企業」が60.3%、「中小企業」が68.0%となり、そのうち「小規模企業」が73.5%と、企業規模によって把握状況に差異がみられた。
企業からは、「朝礼などで積極的にワクチン接種を受けるよう啓蒙している」(工業用プラスチック製品加工、茨城県)、「ワクチン接種者は有休などを取得するので、現状では把握している」(一般貨物自動車運送、愛知県)などといった声があがっている一方で、「基礎疾患や持病のある人に対し、ワクチンがどの程度有効なのか、また接種しない方が良いのか、もう少しわかりやすく説明してほしい」(金属加工機部品製造、埼玉県)といった意見も。また、「ワクチンの職場接種を検討していたが受付が停止されたため計画が頓挫した」(ビルメンテナンス、沖縄県)といった声もあった。