ビジネスパーソンが“今読むべき本”を厳選し、要約してそのエッセンスを伝える「flier(フライヤー)」。最新のトレンドを学んだり、読みたい本を見つけたりするためのツールとして、累計約80万人のユーザーに活用されています。
この記事では、flierを利用する意識の高いビジネスパーソンの中でも特に、20代~30代のユーザーが今、リアルに読んでいる本とその傾向を紹介します。同世代のビジネスパーソンは今、どんな本を読んでいるのでしょうか? なぜその本が選ばれたのでしょうか? 気になった本があれば、ぜひチェックしてみてくださいね!
「ストレスを溜めない人」になるには?
7月、20代~30代に一番読まれたのは、『ストレスの9割はコントロールできる』(鎌田敏、明日香出版社)でした。
朝目覚めた瞬間から疲れている、イライラすることが増えた、人と会うのが億劫になった……あなたにも、こうした症状がでていないでしょうか。これらは実は、身体からの「小さな悲鳴」。
身体からの小さな悲鳴は、日常のちょっとした行動や気持ちの中に紛れているもの。常に心と身体の声に耳を傾け、早めにキャッチしてケアしてあげなければ、取り返しのつかない事態を引き起こすかもしれません。
本書では、ストレスサインを見逃さないために知っておきたいことや、ストレスを溜めない思考法、ストレスを溜めない行動習慣などが紹介されます。特に何かと忙しい20代~30代には、「コントロールできることに集中する」という行動習慣が参考になるでしょう。
まずは、モヤモヤ・イライラしていることを紙に書いて「見える化」します。そして、紙に書き出したモヤモヤ・イライラを「コントロールできるストレス」と「コントロールできないストレス」に仕分けてみましょう。そして、コントロールできることだけに目を向けるようにするのです。自分でコントロールできないものにとらわれなくなり、気持ちが少しラクになるでしょう。
環境が変わることも多く、仕事や家事・育児、人間関係など、なにかとストレスがかかりがちな20代~30代。もし身体からの「小さな悲鳴」に気づいているなら、一刻も早く、本書を手に取っていただきたいと思います。
たった一つのルールで、年間300時間を節約できる
2位は、『トヨタの会議は30分』(山本大平、すばる舎)でした。
「この会議、本当に必要なのかな?」「会議に出席している時間を削って、他の仕事を進めたい」……そう感じたことがあるなら、ぜひ本書を参考に、社内改革を進めてみてはいかがでしょうか。
著者が新卒で入社したトヨタ自動車では、会議の時間はたった30分間。直接的に意見を出し合い、議論を重ね、素早い意思決定を行っていました。
一方、多くの企業では、会議といえば1時間と決まっているのではないでしょうか。しかし、「会議は必ず30分間」という決まりをつくってみたらどうでしょう。年間で600回会議があったとすると、1年あたり、300時間が節約できることになります。逆に言えば、30分間で終わる会議に1時間かけているなら、年間300時間もの時間を無駄に費やしているということです。
トヨタでは、会議にかけられる時間が限られている分、無駄な世間話や議論が行われることがありません。会議が始まるとすぐ、議題を確認して議論を進めます。議論が白熱した場合は必要なだけ延長可能ですが、それも30分間まで。それ以上かかる場合は、別の会議を設定するのがルールです。
また会議の最後には、次回の打ち合わせ内容を決めることが徹底されています。すると次の会議では、前回の会議以後にそれぞれがアクションした結果の情報交換から始まり、その後の意見交換がより有意義なものとなるからです。
本書は、トヨタの会議術のほかにも、1分でOKがもらえる資料づくりや理不尽な相手に対応する方法など、すぐに役立つノウハウが満載の一冊となっています。特に、まだ自分の仕事の進め方が固まっていない、20代~30代のビジネスパーソンにおすすめです。
あっという間に年末がやってくるのはなぜ?
3位は、『人生の短さについて 他2篇』(セネカ、中澤務訳、光文社)でした。セネカは、紀元前1年に生まれた、ストア派の哲学者です。セネカの名前は知っていても、難しそうに思えて、その著書は読んだことがないという方も多いでしょう。
そんな方にこそ、本書をおすすめします。タイトルにある「人生について」は、セネカが知人に宛てた手紙。その中でセネカは、短い人生を有意義に過ごす方法をアドバイスしています。今に通じる、意外と身近なテーマだと思いませんか?
今の時代を生きる私たちは、かつてないほど多忙な人生を生きています。朝から晩まで仕事や用事に追われ、ゆったり過ごす時間もなく、気づけばまた年末がやってくる――そんな日々を嘆いている方も多いでしょう。老後の生活を楽しみに、今はただひたすらに走り続けているという方もいるかもしれません。
セネカはそんな私たちに、「人生を短くしているのはわれわれだ」といいます。私たちに与えられた時間は決して短いわけではなく、私たちが時間を浪費しているだけなのだと。そして、老後の生活を楽しみにしていても、そんなに長生きする保証はどこにもないとも指摘します。
セネカの指摘は、日々忙しく生きる私たちをドキッとさせます。ですが、生き方を見直すなら、早ければ早いほうがいいはず。これからの人生をより健康的に、より楽しく、より有意義に生きていくためにどうすればいいのか――立ち止まって考えるためのきっかけを与えてくれる一冊です。
ビジネス書から、ビジネスのヒントを得よう
今回も、現在の自分の姿と向き合い、さらなる成長を遂げようとするビジネスパーソンの姿が見えるようなランキングとなりました。
本の要約サービスflierには、他にも、ビジネススキルを磨きたいときや自分とじっくり向き合いたいときに役立つ書籍が多くそろっています。7月のランキングでは、『どうしても頑張れない人たち』(宮口幸治、新潮社)や『習慣超大全』(BJ・フォッグ、須川綾子訳、ダイヤモンド社)、『Day1<デイ・ワン>』(ジャスパー・チャン、PHP研究所)などがベスト10にランクインしたほか、『スピノザ入門[改訂新版]』(ピエール=フランソワ・モロー、松田克進訳、樋口善郎訳、白水社)などといった名著も注目を集めています!
来月はどのような本が注目を集めるのか、楽しみにしていただければ幸いです。