奨学金申請のために必要な書類のひとつがマイナンバー提出書です。学費や生活費の支援を行う奨学金を受け取るためには事前の準備が必要になります。しかし、どこでもらえるのか、また書き方はどうすればいいのでしょうか。
この記事ではマイナンバー提出書の書き方や取得方法を解説します。
マイナンバー提出書が必要な奨学金制度とは
マイナンバー提出書とは「日本学生支援機構の奨学金制度の申請にあたって、提出を求められる届出書」のことです。
日本学生支援機構がマイナンバー提出書の提出を求める目的は、奨学金の手続きに必要な家計を支える個人の所得に関する情報を行政機関間の情報連携で取得するためです。2018年9月以前はさまざまな所得の申告書や証明書の提出が必要でしたが、マイナンバー提出書の提出が義務付けられたことで、申請側の手間は少なくなりました。
また、奨学金制度とは「経済的な理由で修学が難しい学生に対して、必要な学費や生活費を貸付または給付する制度」のことです。入学前や在学中に申請して認められれば、一定額が支援されます。
日本学生支援機構の奨学金制度
マイナンバー提出書が必要な奨学金制度は日本学生支援機構が運営しています。日本学生支援機構(JASSO)は5つの団体と国の事業が統合して設立された独立行政法人です。奨学金貸与事業を行っていた日本育英会、そして日本国際教育協会、内外学生センター、国際学友会、関西国際学友会が合併して、現在のようになりました。
奨学金制度以外にも、学生生活に関する実態調査や留学生の支援などの幅広い事業を行っています。学生が安心して学べる環境の実現のために、奨学金制度が作られているわけです。
学校から配布されるマイナンバー提出書
マイナンバー提出書は進学予定の学校より、奨学金に関する案内とともに配布されます。「マイナンバー提出書のセット」の中に、マイナンバー提出書、提出用封筒、提出方法のご案内チラシが入っています。
マイナンバー提出書にはそれぞれの申込IDとパスワードが既に記載されています。後述のスカラネットから奨学金を申し込む際に必要です。
また、奨学金申請用のマイナンバー提出書は大学や日本学生支援機構のサイトからダウンロードはできないため、紛失した場合は日本学生支援機構へ連絡して、再度取り寄せましょう。
奨学金の種類
奨学金にはさまざまな種類があります。日本学生支援機構の中では、返済が必要な「貸与型」と返済義務のない「給付型」の2種類に大きくわかれます。
さらに、利子の有無や支給金額、申込資格などによって異なってくるため、自身のケースに合わせて情報を集めて、適切な奨学金を申請することが大切です。
また、日本学生支援機構のほかで奨学金制度を申請できる場合があります。基準を満たしていても採用されない場合があるため、諦めずにさまざまな奨学金制度を見てみましょう。それでは具体的な奨学金の種類を解説します。
予約採用と在学採用
奨学金は入学前に申請できる「予約採用」と在学中に申請できる「在学採用」という2種類の申請方法があります。両者ともに申請にあたって、マイナンバーカード提出書は必要です。それぞれ設けられた学力基準と家計基準により審査されます。
予約採用は高校3年生から卒業後2年目までの期間、進路が未定でも申請できます。例年は秋から冬の期間に受け取り決定の通知がされるため、入学前に経済的な心配を減らせるところがメリットです。ただし、奨学金の受け取りは入学後であるため、入学金などの費用は各自で用意しなくてはなりません。
一方で在学採用は入学後に行える申し込み手続きです。予約採用の基準を満たさなかった学生でも申請が可能で、在学採用によって奨学金が受け取れる場合があります。
貸与型と給付型
日本学生支援機構の奨学金制度には貸与型と給付型の2種類があります。その違いは卒業後の返還義務の有無です。
貸与型の奨学金を受け取った場合、返還しなくてはなりません。貸与型は無利子の「第一種」と利子がつく「第二種」の2種類にわかれます。第一種の方が条件は厳しく、特に優れた学生で経済的に修学が難しい場合に申請可能です。一方で第二種は在学中は無利子で卒業後の返済金額に利子がつきますが、第一種よりも条件は緩やかです。
給付型の奨学金には返済義務がありません。ただし、学力基準と収入基準などの条件が貸与型よりも厳しく細かく決められています。家庭の経済状況や本人の学力を踏まえて、どちらを選ぶのか慎重に検討しましょう。
日本学生支援機構以外の制度
日本学生支援機構以外にも、大学や地方自治体、そのほかの団体による奨学金制度が対象になる場合があります。
また、入試で優秀な成績を修めた学生には特別に「特待生制度」を設けている大学があるため、事前に確認しましょう。特待生に選ばれると、授業料や入学金などの費用を全額免除や減額できるケースがあります。
マイナンバー提出書の書き方
奨学金の申請にはマイナンバー提出書の作成が必要です。申請するためには大切な書類であるため、必要な項目を埋めていきましょう。
万が一、記入を間違えた場合は二重線で消して、余白部分に正しい内容を書けば訂正印は必要ありません。それでは表面と裏面にわけて書き方を解説します。
マイナンバー提出書の表面
申込者本人と生計維持者(1)と(2)の必要事項を記入します。氏名、記入日、マイナンバー、生年月日、現住所、電話番号、学校名、続柄、押印する欄などがあります。
押印は本人と生計維持者それぞれ別の印鑑を使用しなくてなりません。署名の訂正のみ、訂正印が必要です。
マイナンバー提出書の裏面
裏面には申込者本人と生計維持者(1)と(2)の番号確認書類のコピーをそれぞれ貼り付けます。マイナンバーカードの裏面や通知カードなどが番号確認書類です。サイズが大きい場合は貼り付けずに提出用封筒に同封します。
マイナンバー提出書の提出手順
マイナンバー提出書を提出する前に行わなければならないことがあります。順番に提出の手順をみていきましょう。
提出必要書類の準備
マイナンバー提出書を前述の書き方に沿って記入したら、次に番号確認書類と身元確認書類の準備が必要です。
番号確認書類は申込者本人と生計維持者のマイナンバーを確認するための書類です。マイナンバーカードのマイナンバーが記載された裏面、通知カードのコピー、またはマイナンバー入りの住民票の原本が番号確認書類として認められています。
身元確認書類は申込者本人の身分を証明する書類です。マイナンバーカードの表面、運転免許証、パスポート、在留カード、障害者手帳、療育手帳、小型船舶操縦免許証、写真付き学生証、特別永住者証明書などのコピーは1点のみで認められています。健康保険証、写真なしの学生証、在学証明書、年金手帳、戸籍謄本または抄本、住民票の写しなどはいずれか2点のコピーが必要です。
スカラネットから申し込み
マイナンバー提出書に記載されている「申込ID・パスワード」を使って、スカラネットのサイトから奨学金の申し込みを行います。学校から交付された識別番号も使用して手順に沿って進めます。
マイナンバー提出書と必要書類の郵送
書類とスカラネットの申し込みが完了したら、緑色の提出用封筒に「マイナンバー提出書」「番号確認書類」「身元確認書類」を入れて、ポストではなく窓口から簡易書留で郵送します。
注意点として、マイナンバー提出書の提出期限はスカラネットの申し込みから1週間以内です。期限に間に合わない場合に連絡する必要はありませんが、日本学生機構から提出依頼の連絡が来る場合があります。
マイナンバー提出書は日本学生支援機構に提出しよう
今回はマイナンバー提出書の書き方や取得方法を解説しました。マイナンバー提出書は進学先から配布され、必要書類とともに日本学生支援機構に提出することが必要です。
日本学生支援機構の奨学金やそのほかの奨学金を含めて、学生を経済的に支援するさまざまな仕組みがあります。本人の状況を踏まえて、適切な申請をしていきましょう。