京都鉄道博物館は8月6~18日、今年度に引退するJR西日本所属の配給車クル144形・クモル145形の特別展示を実施する。展示初日の8月6日に報道公開が行われ、クル144形・クモル145形の入線シーンをはじめ、運転台や荷台などが公開された。

  • DE10形の後押しでクル144形・クモル145形が館内へ

クル144形・クモル145形は国鉄時代に活躍した通勤形電車101系からの改造車。101系自体は1950~1960年代に製造され、今回展示される「クル144-15」「クモル145-1015」は1981(昭和56)年に配給車へ改造されたという。当初は高槻電車区(当時)に配属され、現在は吹田総合車両所京都支所の所属となっている。配給車はかつてJR東日本などでも見られたが、現存する車両は「クル144-15」「クモル145-1015」の2両のみとなっている。

もともと配給車は車両工場間、もしくは車両工場と車両基地の間で車両の部品等を輸送する役割を担っていた。その役割はトラック輸送に切り替わり、近年は車両基地内でレールの錆び防止を目的とした整備運転や入換作業に従事していた。クル144形・クモル145形の引退が決定したことで、JRグループから配給車が消えることになる。

報道公開が行われた8月6日、クル144形・クモル145形は14時30分頃、DE10形の後押しで入線してきた。車体の青色は写真で見るより一層深みのある色に感じられる。運転台は国鉄時代の通勤形電車の面影が色濃く、一方で方向幕はJR西日本の他の車両と同じ黒幕である。車体前面にオリジナルヘッドマークも掲げられた。

  • クル144形の前面

  • クモル145形の前面

  • オリジナルヘッドマークが掲出された

  • クル144形のパンタグラフ

  • クモル145形の荷台

  • クモル145形の車内に置かれた直角のボックスシート

荷台に上がってみると、想像以上に広く感じる。大きな部品でも十分に対応していたことだろう。部品が転がらないようにするためか、出っ張りも見られた。

クモル145形の車内も公開。控室に113系で見られたような直角のボックスシートが置かれてあり、国鉄時代にタイムスリップしたかのように思える。運転台は基本的に一般の通勤形電車と変わらないが、ドアがないため、戸閉知らせ灯は省略されていた。

  • 運転台。ドアがないため、戸閉知らせ灯が省略されている

クル144形・クモル145形の特別展示は、京都鉄道博物館の本館1階「車両のしくみ / 車両工場」エリアにて行われる。8月18日までの展示期間中、8月7日の13時30分からパンタグラフ上昇シーンを公開するほか、8月7・8日の13時・15時に幕回しと双頭連結器の実演、8月8日の11時・14時に配給物積み下ろし実演が行われる予定となっている。

展示最終日となる8月18日は、14時から「お別れセレモニー」を開催。出線シーンを見学できる。その他、車両貸切見学やグッズ付き入館券の販売も行うとのこと。