あなたの仕事は「0を1にする」仕事、それとも「1を10にする」仕事? あるいは「10を10に保つ」仕事でしょうか?
「10を10に保つ」人の重要性について語った、渡邉直太@ジェットコースター社長(@REXCOASTER)ツイートが多くの人の共感を呼んでいます。
仕事って「0を1にする人」「1を10にする人」「10を10に保つ人」の3パターンの役割があって「0を1」と「1を10」の人しか評価されないから職場で自信を失くす人が出てくるのですけど、「10を10」の人が居ないと仕事は回らないんですよ。(@REXCOASTERより引用)
評価されづらいけれど「10を10にする人」が居ないと仕事が回らない、というこの投稿に対して、リプライやリツイートは「首千切れそうなほど頷いた」「めっちゃわかって少し泣いた」「うちの上司にみせたい……」と共感の嵐。事務職や介護職、メンテナンスやIT業界の運用の仕事など、具体的な業種も挙げられています。
「10を10に保つって、意外と難しい」「世の中の大部分は10を10の人で回っている」など、「もっと10を10に保つ人に目を向けてほしい」という意見が多数寄せられています。
また「時代に合わせて10の中身が変わっていくので、それにちゃんと対応してるのもすごい」「10の維持には、常に11、12にする意識を持つことで、初めて結果としての10が担保される」といった声も。端から見れば「現状維持」に見えていても、現状を維持する仕事にもさまざまな試行錯誤や知識・スキルのアップデートが必要なのかもしれません。
「維持してくれる方がいるからこそ、新規事業創出の僕らが羽ばたける!」「事務員は会社では評価が低いけど、いなきゃ営業がとった仕事もキープできないわけで。お互い様」という声もあるように、「0→1」「1→10」「10→10」の3つの役割がそれぞれが支え合いながら、会社は回っていると言えるでしょう。
このツイートをした渡邉さんに、投稿の経緯についてうかがいました。
できて当然と言われがちだけど…投稿者に聞いてみた
――評価がされにくく、自信を持ちにくい「10を10に保つ」仕事の重要性を伝えるツイートですが、今回投稿されたきっかけをお教えください。
このツイートをする数時間前、知人の経営者が雇っているアルバイト従業員のことを「毎日同じ仕事しかできない奴」と蔑んでいたのを聞き、強く反論しました。その従業員が何か業務でミスをしたのならまだしも「毎日同じ業務をしっかりこなしている」のなら、「○○しかできない奴」という評価は間違いだと思ったからです。
――渡邉さんご自身も、似たような体験をされたことはあるのでしょうか。
現在は会社の経営者として人を雇う立場ですが、勤め人時代、毎日のように上司や店長に怒られていたことがあり、それを理不尽に感じて起業をした経緯があります。
特に新人アルバイトだった頃は、社員がきちんと仕事を教えてくれる訳でもないのに「できないこと」に対して怒られたりもしました。しかし経験を積んでできるようになっても誉められるわけでもなく、評価されるわけでもなく、ミスをしたときだけ怒られるという状況がありました。
――ミスにだけ目を向けられるのは辛い状況です。
ミスを指摘して改善することは大切ですが、「マジで使えないなぁ」「お前バカなの? 脳みそないの?」など、人格を否定するような言葉は必要ないはずです。
――「10を10に保つ」は、できて当然、ミスをしたらマイナス評価をされがちな仕事です。経営者という立場から、評価の際に気を付けていることはありますか?
一人の経営者として、「人を雇う」難しさは毎日感じており、管理職の方はとても大変だと思います。
ミスが起こったときの対応として、私は「怒る」と「叱る」は別物と考えていて、従業員に対しては「絶対に怒らない」と決めています。従業員にミスがあった場合はまず「何があったのか」を当事者にヒアリングして、「どのようにすればミスを防げたのか」を社内全員で考えます。責任を個人になすりつけることはありません。
また、ミスがあったことに対しては、当事者の従業員をきちんと「叱り」ますが、改善案を話し合う際は、ミスをした従業員を責める言葉は一切禁止にしています。
――「怒る・責める」と「叱る」の区別は大事ですよね。実際に、感情に流された上司や先輩・同僚から不必要な「怒り」をぶつけられた経験がある人は多いと思います。
「10を10に保つ」人の評価が難しいことは理解していますが、ミスがあったときに従業員・部下の人格まで否定している管理職が多いと思います。
「評価」って、給与面とか昇級とか、そんな大したことじゃなくてもいいんですよ。一緒に仕事している相手に、笑顔で「ありがとう」って毎日言うだけでもいいんです。「当たり前」に見えることを毎日業務として行ってくれていることに感謝を伝えるだけでもかなり変わると思います。
――最後に、こちらのツイートにはたくさんの方から反響が集まっています。
多くの反響をいただき驚いています。同時に、私が勤め人時代に感じていたことと同じことを感じている方がたくさんいることがわかりました。
職場は「肯定」よりも「否定」の方が多いと思います。私のこのツイートを見て、「救われた」や「涙が出た」とツイートしている方もいて、職場で毎日苦しい思いをしている方がたくさんいることを改めて知りました。
「10を10に保つ」人は、「0を1にする」人や「1を10にする」人に比べると目立たず、評価が「減点方式」であるため、仕事へのモチベーションを維持しにくいという側面があります。
上司や同僚から感謝やねぎらいの言葉があるだけでも、「自分の役割が理解されている」と感じ、よりポジティブに仕事に取り組めるようになるのではないでしょうか。
仕事って「0を1にする人」「1を10にする人」「10を10に保つ人」の3パターンの役割があって「0を1」と「1を10」の人しか評価されないから職場で自信を失くす人が出てくるのですけど、「10を10」の人が居ないと仕事は回らないんですよ。
— 渡邉 直太@ジェットコースター社長 (@REXCOASTER) July 29, 2021