戦型は矢倉。両者玉を囲わずに開戦する急戦調の将棋になった
第34期竜王戦(主催:読売新聞社)決勝トーナメント準決勝、▲八代弥七段(2組2位)-△藤井聡太二冠(2組1位)戦が8月6日に関西将棋会館で行われています。今期ランキング戦2組決勝と同じカードとなった本局を制し、永瀬拓矢王座との挑戦者決定三番勝負に進出するのはどちらになるでしょうか。
振り駒で先手になったのは八代七段。八代七段は得意戦法の矢倉を採用します。藤井二冠は第92期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局でも用いた急戦策を用いました。
その棋聖戦第3局と同一局面で迎えた21手目、渡辺明名人が▲4六銀と上がっていた局面で、八代七段は▲6九玉と玉を寄りました。この玉寄りは守りの金銀に近づくというメリットがある一方、相手の攻め駒に近づくというデメリットもあります。
この▲6九玉を見た藤井二冠は△8五歩と突きました。戦場に近づいてきた相手玉を目標にして、最も攻撃力の高い飛車を働かせるのは理にかなっています。棋聖戦第3局では△7二飛と寄っていたので、これで全く別の将棋となりました。
八代七段は玉を寄った後は攻撃にシフト。早繰り銀に構え、3筋の歩を交換していきます。対する藤井二冠も居玉のまま角を飛び出して強気に応戦。角交換が行われ、もはや玉を囲うような展開にはならなさそうです。盤上全体を広く使った激しい戦いが繰り広げられるでしょう。
持ち時間が5時間の本局は、本日夜に決着する見込みです。棋聖戦、王位戦、叡王戦と3つのタイトル戦を連続で戦っている藤井二冠が、竜王戦でもタイトル挑戦に近づくのか。それとも八代七段がランキング戦でのリベンジを果たして、初の挑決進出を決めるのか。注目です。