今回は、ビックカメラ新宿西口店のオーディオコーナーを訪ねました。オーディオ関連では完全ワイヤレスイヤホンの人気が目立っていますが、あえてそこを外し、周辺のオーディオ系のヒットグッズにスポットを当てた最近の売れ筋トレンドを見ていきたいと思います。

オーディオコーナー主任の久留飛慧氏は「リモートワーク用に適したイヤホンやマイク、おうち時間を充実させるスピーカーなどが売れていますね。売り場全体としては、売れ行きが上向いている印象があります」といいます。

  • ビックカメラ新宿西口店 3階オーディオコーナー。主任の久留飛慧(くるびさとる)氏に案内してもらった

コロナ禍の長期化もあり、リモートワークや巣ごもりに適したオーディオ環境を追求するニーズが高まっているようです。下記の「コロナ禍のオーディオ系グッズのトレンド×3」を踏まえて、売れ筋モデルを見ていきましょう。

<コロナ禍のオーディオ系グッズのトレンド×3>

  • 水回りでの音楽再生需要の高まりもあり、持ち運べるBluetoothスピーカーが売れている。
  • テレワーク需要で音質の良いマイクを求める層が増えている。
  • 音楽プレーヤーの中心はスマホ。専用プレーヤーはコロナ禍も落ち着いたまま。

※本文と写真で掲載している価格は、2021年7月20日13:00時点のもの。日々変動しているので、参考程度に見てください。

スピーカー系:30~40代の夫婦に人気の「BALMUDA The Speaker」

コロナ禍で伸びている製品のひとつがBluetoothスピーカーです。なかでも30~40代を中心に注目されているのは、バルミューダの360度スピーカー「BALMUDA The Speaker」とのこと。暖かみのあるLEDライトを中央に3本据えるレトロなデザインを採用し、音楽に合わせて光が揺らぐ仕様になっています。価格は35,200円。

「リビングや寝室を暗めにして雰囲気のある音楽を流す、というシーンにぴったりですね。デモ機を熱心に眺めるご夫婦をよく見かけます」

  • バルミューダ「BALMUDA The Speaker」

スピーカー系:アウトドアも浴室もいける「FLIP 5」

幅広い年齢層に支持されているのは、JBLの「FLIP 5」といいます。IPX7等級の防水性能を持つBluetoothスピーカーで、フル充電なら12時間以上再生可能です。価格は9,080円以下でした。

「アウトドア需要が大きいモデルですが、防水性の高さからお風呂などの水回りで楽しみたい、という方が増えています。アウトドアでもソロキャンプ需要の高まりから、お供に買っていく方もいらっしゃいますね。使い道の広さが購入層の幅の広さにつながっているのかもしれません」

  • JBL「FLIP 5」

  • カラーバリエーション

マイク系:配信用に安定人気の「AT2020」&「MV88」

マイクで人気があるのは、オーディオテクニカの単一指向型モデル「AT2020」と、iPhoneとの連係を前提としたSHUREの「MV88」とのこと。価格は、それぞれ11,850円と18,800円となります。

自宅などに固定して使うなら「AT2020」が定番で選ばれ、「MV88」は出先で高音質を追求したり、ビデオ撮影と組み合わせて使うニーズで需要があるそうです。「ここまでのマイクを求めるのは、ゲーム実況や音楽演奏などでの配信を目的としている10~20代の方が多いですね。ただ、リモート会議などで音が悪いと指摘されたのを機に興味を持つ30~40代の方もいます」

  • オーディオテクニカ「AT2020」(左)

  • SHURE「MV88」

マイク系:在宅で伸びる骨伝導ヘッドセット「OPENCOMM」

リモートワーク用途でとりわけ伸びているのが骨伝導イヤホンです。なかでも、AfterShokzのヘッドセット「OPENCOMM」が目立って売れているそうです。骨伝導イヤホンにノイズキャンセリング機能を備えたムーブマイクを搭載しているのが特徴で、価格は19,900円となります。

「ナチュラルに外音取り込みしながらリモートのやりとりができるので、家の中の様子も気にしながら仕事ができると好評です。ジャンル全体でまだまだ伸びていると感じます」

  • AfterShokz「OPENCOMM」

  • 用途別に展示されている骨伝導イヤホン

プレーヤー系:無風のなかで安定して売れる「ウォークマンS」

音楽プレーヤーは、コロナ禍でも需要に変動がないそうです。「いまはスマホで音楽を聴くのが主流になっているので、買いに来られるのは以前からのスタイルを続ける人や、スマホのバッテリーやメモリーを気にする人などに限られますね」とのこと。

いわば無風のなかで定番人気となっているのが、ソニーの「ウォークマンS NW-S313」です。ウォークマンシリーズのエントリーモデルの小容量(4GB)タイプで、価格は12,130円でした。

「1万円ちょっとで買えて、パソコンからも録音ケーブル経由でも音楽が取り込めます。必要最低限のスペックで、従来の取り込み方もできるというところがポイントですね」

  • ソニー「ウォークマンS NW-S313」

プレーヤー系:子どもの“スマホ前”需要もある「iPod touch」

ウォークマンと近い需要で売れているのは、アップルの現行唯一の音楽プレーヤー「iPod touch」です。特に人気がある32GBモデルの価格は23,969円でした。

「やはり、昔からiPodで音楽を聴いてきた人に求められています。いまでも『iPod nanoありますか?』と聞かれることもありますし、iPadシリーズが根強く支持されている印象がありますね。ただ、全体で見れば、やはりiPhoneに切り替えている人が多いと思います」

そのなかでも、子どもに買い与えるという需要だけは新たに伸びているそうです。「SIMカードは使えませんが、中身はiOSなので、スマホを渡す前の機種として子どもにプレゼントする方は多くいらっしゃいますね」

  • アップル「iPod touch」