「外向的」(がいこうてき)は心理学用語が語源となっている言葉で、人の性質を表す言葉として知られています。同じ読みをする「外交的」と混同されやすく、使う上で注意が必要です。
この記事では、「外向的」の意味や語源、対義語「内向的」の意味や、外向的・内向的な人の特徴を紹介します。また、「外向的」の類語や英語表現についてもまとめました。
外向的(がいこうてき)とは
外向的は、「興味や関心など、気持ちが自分以外の物ごとに向かう様子」という意味がある言葉です。具体的には、他人に対して積極的に話しかける、気さくな性格の人を指して「外向的な人だ」と表現します。
心理学用語が語源となっている
外向的の語源となっているのは、心理学用語の「外向性」です。スイスの精神科医であるユングが、深層から発する心的エネルギーである「リビドー」が外に向かって働くタイプを外向性と呼びました。
外向性タイプは周囲の客観的な事象をもとに自分の態度を決定します。考え方は能動的ですが、判断は総合的に行うのが特徴です。外向性タイプにありがちな神経症は、ヒステリー(実際には病気ではないのに体や精神に何らかの症状があらわれるもの)があげられます。
外向的の対義語は「内向的」
外向的の対義語である「内向的」には「自分の興味や関心が自身の内面にばかり向かう様子」という意味があります。
内向的は外向的と同様心理学用語がもとになっていて、語源は「内向性」です。内向性とは、興味や関心が自分以外ではなく自身に向けられる性格のことを指します。控え目で決断を迷いやすく、実行力が乏しいのが特徴です。
「外交的」との誤用に注意
外向的とよく誤用しやすいのが「外交的」です。外交的とは「外交」に接尾辞の「的」が付いた表現で、「外交」には「外国・外部との交渉や交際」という意味があります。
「外向」が興味や関心を表す場合に使われるのに対し、「外交」は仕事の受注などによく使われます。注意して使い分けましょう。
外向的・内向的な人の特徴
「外向的」も「内向的」も人が持つ興味の方向性を表す表現です。そこで、外向的な人や内向的な人にはどのような特徴があるのかを見ていきましょう。
外向的な人の特徴とは
外向的な人には、下記のような特徴があります。
- 初対面の人とでも気兼ねなくコミュニケーションを図れる
- 人と一緒に働いたり意見をやり取りしたりするのが苦にならない
- 同僚とプライベートに関して会話をしがち
- 人と会うのが好き
- ミーティングで自分の計画を説明する機会が多い
- 人を信頼しやすい
- リスクをよく冒すが報われないこともある
など
人に興味が向きやすくコミュニケーション能力が高い反面、自分の能力を超えて仕事を引き受けてしまうこともあるのが、外向的な人の特徴です。
内向的な人の特徴
内向的な人には、下記のような特徴があります。
- 職場の人との会話は必要最低限で、雑談を好まない
- 仕事上のやり取りは簡潔に行う
- 1人で仕事をするのを好む
- 人に相談するより頭で考えて仕事する
- 問題解決能力が高い
- 新しいスキルを身に付けることに積極的である
- 通常はリスクが少ない行動を好む
- 大勢で集まるより、少人数で親密な会話をするのが好き
など
内向的な人は、問題解決能力やスキルアップなど内面に向き合うことに積極的な反面、人間関係を築くのが苦手という一面もあります。
両面的な正確の人もいる
全ての人が外向的・内向的のどちらかにはっきりと分類できるわけではなく、外向的・内向的両方の特徴を持ち合わせた両向的な性格の人もいます。
両向的な性格の人は、人との付き合いを楽しめる側面もあれば、自分1人の時間も同じように楽しめるのが特徴です。
人口の3分の2が両向的な性格だという説もあり、両方の特徴を備えた人は多いと考えられています。
外向的の類語・言い換え表現
外向的には似た意味を持つ言葉が多いので、一緒に覚えておきましょう。ここでは外向的の代表的な類語表現を例文とあわせて紹介します。
オープンな
「オープン」を形容動詞として使う場合、「隠しごとがない様子」「開放的な」などの意味があります。英語の「open」をカタカナで表現した言葉であり、「隠しだてしない」などの意味がある言葉です。
・彼はオープンな性格で友達が多い
・彼は外向的で友達が多い
開けっ広げ
「開けっ広げ」には「心の中や物ごとを包み隠すことなく、明らかにすることやその様子」という意味があります。「外向的」の特徴をそのまま表した言葉ですので、言い換え表現として使えます。
・Aさんは開けっ広げな性格で、初対面の人とでもすぐに仲良くなれる
・Aさんは外向的で、初対面の人とでもすぐに仲良くなれる
自由な
「自由」は、「自分の気持ちのままに振る舞う様子」という意味の言葉です。コミュニケーション能力が高い、外向的な人の様子を表して、「自由な~」と表現することがあります。
・彼女は大勢の前でも自由な発言をする
・彼女は外向的なので大勢の前での発言にも臆しない
外向きの
「外向き」とは「外へ向いていること」という意味です。「外向きの性格」という表現は「外向的」そのものですので、そのまま言い換えられます。
・Bさんは外向きの性格なので、営業が天職だ
・Bさんは外向的なので、営業が天職だ
外向的の英語表現
仕事などで英語を使う機会があるなら、「外向的」の英語表現も押さえておきましょう。ここでは、「外向的」の代表的な英語表現を紹介します。
outgoing
「outgoing」は、「外向的な」「社交性に富んだ」などの意味がある英語の形容詞です。下記のように「外向的」の英語表現として使われます。
・She is outgoing.(彼女は外向的だ)
・He is more outgoing than his brothers.(彼は彼の兄弟たちよりも外向的だ)
extroverted
「extroverted」は英語の形容詞で、「外向型の」「外向的な」という意味です。性格や人を表す言葉に付いて「外向的」の英語表現として使われます。
・an extroverted person(外向的な人)
・particularly extroverted personality(とくに外向的な性格)
内向的の英語表現は「introverted」
外向的の対義語である「内向的」の英語表現は「introverted」です。「introverted」は英語の形容詞で、「内向的な」「内向性の」といった意味があります。
・She is introverted.(彼女は内向的だ)
・introverted personality(内向的な性格)
外向的は外交的との混同に注意! 正確な意味を理解して使おう
「外向的」の語源は心理学用語で、人の特徴を表す言葉として使われています。外向的とは「興味や関心が自分以外の物ごとに向かう」ことで、内向的とは「興味や関心が自分の内面に向かう」ことです。外向的は「外交的」と漢字を間違えやすいので、注意しましょう。
また外向的は、「オープンな」や「開けっ広げ」など、いくつかの言葉で言い換えられますので、状況に応じて使い分けてください。
この記事で紹介してきた「外向的」の意味や特徴などを参考に、人と関わる時や自己分析などに役立ててみてはいかがでしょうか。