人気児童小説家・はやみねかおるによる、シリーズ累計200万部を超える人気推理小説シリーズを原作とした映画『都会(まち)のトム&ソーヤ』が、現在上映されている。サバイバル能力を持つ内藤内人、財閥の御曹司で学校一の秀才・竜王創也という凸凹中学生コンビが、天才ゲーム・クリエイター集団が仕掛けるリアルRPGゲームの謎に挑み、推理と冒険を繰り広げていくことになる。
同作で初の映画主演を務めるのが、映画『万引き家族』『約束のネバーランド』と、話題作への出演が相次ぐ城桧吏だ。演じる内人と同じ中学生ということもあり、共感する部分や性格的に似ている部分も多かったという。今回は城にインタビューし、初主演への思いについて話を聞いた。
■昔から読んでいた作品の主役に
——今回映画初主演となりましたが、最初にお話を聞いた時の感想を教えてください。
緊張もプレッシャーもあったのですが、楽しみでしたし、何より嬉しかったです。原作は小学校の時に図書室に置いてあって、絵がかわいくて気になって読み始めました。僕が演じた内人の性格と、僕自身の性格に似ているところがあると思ったし、昔から読んでいた本を原作とした映画に出させてもらうことで、自分が想像していたキャラクターをそのまま活かせたらなと思いました。
——『約束のネバーランド』公開の頃(2020年12月)と比べて、またぐっと大人っぽくなったのでは?
そうですか!? 自分ではあんまりわからないです(笑)
——今回演じた内人とは似ているということで、年齢も中学生同士ですが、どんなところに共感できましたか?
みんなを置いて行こうとする創也を止める内人には、共感します。大地も「あそこは、内人側だな」と言ってましたけど、友達思いだというところがいいなと。僕も友達が大事なので。
——謎解きの要素なども出てきましたが、頭脳派か、サバイバル派かというとどちらですか?
サバイバルです。ちょっと頭脳は……他の人にお任せで(笑)。謎解きも、プライベートで今までやったことがなかったのですが、今回挑戦してみて、向いてないというのはわかりました。1度、僕が悩んでたなぞなぞについて、大地に「これ、わかる?」と聞いたら、3秒でわかったんです。「うそでしょ、なんでわかんの!?」と驚いたら、「簡単だよ」と言われて。(豊嶋)花と玉井(詩織)さんにも見せたら、2人も3秒くらいで解いて、単純に自分がわからなかっただけだったみたいです。
——今後そういう謎解き系の番組に出たりすることもあるかもしれないですよね。
そうなったら、ちょっとピンチです。楽しそうだけど、すみっこの方で小さくなってるかも(笑)
——一方で、特に城さんは身体を使うシーンも多かったですね。
図書室のシーンで2階から飛び降りるところは、楽しかったです。もちろん撮影ではマットをたくさん敷いて安全になっていて、大地と花と3人で何度も飛び降りました。花は最初はビビっていたんですけど、どんどん楽しくなって、3人ともOKが出たのに「もっとやりたい!」と言っていました。
——創也役の酒井大地さんとは城さんが俳優の先輩という立場でバディを組んで、いかがでしたか?
先輩ではあったけど、大地と2人で支え合いながら頑張っていました。本当に、内人と創也みたいな関係だったと思います。撮影が始まる前に2人で台本の読み合わせをして、どう動けばいいかなとか、どう演技しようとか、よく話し合っていました。
でも撮影に入ると、現場を明るくするために、2人でみんなのことを笑わせていることの方が多かったです。初めての主演だからこそ、僕にできることは現場を盛り上げることかな、と思ったんです。初映画のキャストもたくさんいて「緊張する」と言っていたので、2人で現場を和ませようとしていました。でも最近思い返してみれば、僕が結構すべって、大地が笑わせたような気が……。大地は、なぜかすごく面白いんです。
■初めて知った言葉「座長」
——映画の現場もいろいろ経験されてきたと思うんですが、現場の居方が変わってきたとか、成長したと思うようなところはありましたか?
今回の場合は主役ということで、いつもと立場が違うという点でも、すごく色々な経験をさせていただきました。初めて知った言葉もあったし、毎日が勉強で。撮影途中で「座長」という言葉を知ったんです(笑)。自分のことだったんですけど「座長ってなんだ!?」とびっくりして、ひとつ賢くなりました。カメラの部品の名前も色々教えてもらったり、手伝わせてもらったり、いろいろな経験ができました。
——座長として現場を盛り上げようというのは、これまで出演した作品で学んだことでもあったんですか?
そうかもしれないです。『約束のネバーランド』の時は、浜辺(美波)さんが気遣って細かいところまで見てくださっていたりということがありました。だから、今回もよくみんなで人狼ゲームなどを通してコミュニケーションを取ったりしていました。
——ちなみに、先ほど頭脳派ではないとおっしゃってましたが、人狼ゲームは得意ですか?
人狼ゲームは心理戦なので、頭脳戦よりは得意かもしれないです。なぜかいつも最初に疑われるのは大地で(笑)。人狼率が多かったのかな? 最初に倒されることが多かったです。
——今後について「こんな役がやってみたい」という野望などはありますか?
アクションに挑戦したいというのは、ずっと変わらず思っています。あとは、ちょっと怖い役も演じてみたいです。ミステリアスというか、何を考えてるかわからないような役に挑戦してみたいと思います。
■城桧吏
2006年9月6日生まれ。東京都出身。第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞した『万引き家族』(18年)に主人公一家の長男・祥太役で出演し、世界中から注目を集める。
その後、NHK大河ドラマ『西郷どん』(18年)をはじめ、『グッド・ドクター』(18年)、『時効警察はじめました』(19年)、『ドクターⅩ~外科医・大門未知子~』(19年)など、話題のドラマに多数出演。2020年公開の映画『約束のネバーランド』では、メインキャストとして出演を果たした。本作が初の映画主演作となる。