敗れた佐藤九段は連敗スタートに
第80期A級順位戦(主催:朝日新聞社、毎日新聞社)の2回戦、▲斎藤慎太郎八段(1位、1勝0敗)-△佐藤康光九段(6位、0勝1敗)戦が7月29日に関西将棋会館で行われました。両者が一分将棋に突入した激闘を177手で制したのは斎藤八段。終局時刻は日付が変わった1時22分でした。
佐藤九段は角道を閉じてから三間飛車に飛車を振り、玉をミレニアムに囲う現代調の作戦を採用。対する斎藤八段は金銀4枚の松尾流穴熊を構築して対抗します。
両者玉をガチガチに囲った後、先に動いていったのは佐藤九段。1筋の歩を突き捨ててから△8五歩~△9五歩と相手の囲いの上部から仕掛けていき、激しい玉頭戦へと突入しました。
守り駒のはがし合いでリードを奪ったのは斎藤八段でした。▲9三桂と王手で敵陣の急所にくさびを入れて攻めの拠点を作ると、それを生かして厳しく攻めていきました。
しかし佐藤九段は金銀を自玉付近に次々と投入し、簡単には倒れません。さらには馬も引き付けて徹底抗戦。手数は100手を優に超え、時刻も日付が変わる大激戦です。
相手の頑強な受けに手を焼きながらも、斎藤八段はじわじわと相手玉を追い詰めていきました。4回8五の地点に▲8五桂と桂を打って相手の守り駒をはがしていき、最後は佐藤玉を即詰みに打ち取って勝利を収めました。
前期、初参加のA級で8勝1敗の好成績を残していきなり名人挑戦者になった斎藤八段ですが、名人戦では渡辺明名人に1勝4敗で敗れ苦杯を喫しました。再出発となった今期も2連勝と絶好のスタートを切ることに成功しています。
対照的に、佐藤九段は苦しい2連敗スタート。挑戦権争いに踏みとどまるためにも、残留争いに巻き込まれないためにも、早く初日が欲しいところです。