永瀬王座は藤井聡太二冠-八代弥七段戦の勝者と挑戦権を争う
第34期竜王戦(主催:読売新聞社)決勝トーナメント準決勝、▲永瀬拓矢王座-△梶浦宏孝七段戦が7月28日に東京・将棋会館で行われました。結果は123手で永瀬王座が勝利。挑戦者決定三番勝負へと駒を進めました。
振り駒で先手番になった永瀬王座は、得意の角換わり早繰り銀を採用します。▲5六角と筋違い角を据えてから、玉を金銀3枚の矢倉囲いに入城して万全の態勢を築いて、仕掛けていきました。
金と角・桂の交換で駒損ながら、竜を敵陣に作った永瀬王座。玉の守りも堅く、優位に立ったように見えましたが、梶浦七段が打った△4一角が受けの好手でした。受け一方の角打ちですが、相手の竜を自陣から追い払うことに成功。一瞬の猶予を得て、反撃に転じます。
自玉上部から攻め込んでくる梶浦七段に対し、永瀬王座は丁寧な受けで応対。難解な形勢のまま、終盤に突入しました。
両者の玉が危険にさらされている最終盤、梶浦七段は残り時間27分の内21分を使って、最後の長考に入りました。そして指されたのは△7四歩でしたが、この手は相手玉への響きが薄かったようです。
△7四歩は銀取りですが、永瀬王座はそれを放置して▲6四桂と王手で桂を打ち込んでいきました。これが厳しい一着。△6一玉と逃げた手にも、▲5三桂と2枚目の桂打ちで追撃し、あっという間に梶浦玉を寄り形にしてしまいました。
梶浦七段の王手をかわした後、▲7四桂が最後の決め手。この手を見て梶浦七段は投了を告げました。持ち駒にあった3枚の桂がどれも素晴らしい働きを見せて、永瀬王座が勝利を収めました。
この勝利で永瀬王座は第28期竜王戦以来の挑決三番勝負進出です。前回は渡辺明棋王(当時)に1勝2敗で敗れ、挑戦権獲得とはなりませんでしたが、今回はどうなるでしょうか。
永瀬王座と挑戦権を争うことになるのは、藤井聡太二冠-八代弥七段戦の勝者です。その藤井二冠-八代七段戦は8月6日に行われます。