ソニーからデジタル一眼カメラの新製品「ZV-E10」が発表されました。2020年に登場した「VLOGCAM ZV-1」のコンセプトを踏襲するような製品で、さまざまなスペックアップにより、さらにこだわった動画・写真表現が可能となっています。そんなZV-E10にひと足早く触れることができたので、ファーストインプレッションをお届けします。

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    ZV-E10

レンズ交換に対応した、新たな“Vlogカメラ”

まず、ZV-E10(ボディ単体:実売78,000円前後)はZV-1同様に、動画撮影に特化した“VLOGCAM”をうたう製品です。ほかのコンパクトデジカメやミラーレスカメラのラインナップに対し、より手軽に上質な動画撮影を可能としています。また、カメラをフィックス(固定)してトークするような、いわゆるVlog的な動画撮影に最適化されているのが特徴。前機種のZV-1は単体で運用できるコンパクトなモデルでしたが、ZV-E10はそれをさらに発展させたような形で、レンズ交換といった本格的なアプローチが多く追加されています。

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    既存の「ZV-1」(左)と、レンズ交換式の新機種「ZV-E10」(右)。レンズキットモデル(ZV-E10E)は「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」が付いて実売89,000円

手にしてみると、サイズ感はかなりコンパクト。本体にαのロゴが刻まれている通り、ミラーレスのαシリーズの一員として位置づけられる製品ですが、使用感はむしろコンデジのRXシリーズに近く、ZV-1とRXシリーズとαのAPS-C系を足して3で割ったような印象を受けました。

カラーバリエーションはブラックとホワイトが用意されており、ブラックのボディグリップはゴムっぽくホールドしやすい質感ですが、ホワイトはさらさらとした質感となっています。どちらも細かなドットパターンのエンボス加工が施されており、ZV-1よりグリップ自体が大型化していることもあって、しっかりと握ることができました。このあたりの扱いやすさは、よりシビアに使い込まれるであろう上位機種ならではといえるかもしれません。

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    ZV-E10のカラーはブラック(左手前)とホワイト(右奥)の2色

別売のシューティンググリップ「GP-VPT2BT」(直販12,901円)に載せてみるとこんな感じ。手ブレ補正機能もかなり優秀で、手持ちでも安定した動画撮影ができそうです(※)。前機種同様にコンパクトで相性も良く、卓上に設置したり、街歩きなどの撮影で使用したりと、屋内外を問わず活用できそうです。

※編注:ZV-E10本体に動画専用の電子手ブレ補正機能を搭載している

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    ZV-E10にシューティンググリップ「GP-VPT2BT」を装着したところ

180度回転させられるバリアングル液晶モニターも動きがスムーズで扱いやすく、自撮りはもちろん、目玉である動画撮影時にも真価を発揮してくれるでしょう。シューに取り付けられるウインドスクリーンが付属しているのもユニークで、こちらも屋外撮影などに役立ちそうです。

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    ZV-E10のバリアングル液晶モニターで自分撮りもしやすそう

コンパクトな“本格派”。背景ボケ調整、手ブレ補正も

ZV-1との最大の違いは、なんといってもレンズ交換に対応したこと。ソニーのデジタル一眼を扱ってきた人であれば、今までのEマウントのレンズ資産がそのまま使えるというのは大きなメリットです(センサーがAPS-Cサイズではありますが)。

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    ZV-E10はAPS-Cサイズの有効約2,420万画素CMOSセンサーを搭載

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    超望遠ズームレンズ「E 70-350mm F4.5-6.3 G OSS」も装着できてしまう

キットレンズ「E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS」は結構しっかりとした造りで、リングの回転も非常にスムーズ。狙ったところにピタリと合わせることができます。ZV-1には「RX100」シリーズのようなコントロールリングはありませんでしたが、やはり指でスイッチを傾けるのではなく、リングを回すほうが細かな操作に適しています。マニュアル操作でも充分に撮れるでしょう。

前機種に近いサイズ感でありながらレンズ交換にも対応したことで、カメラとして明らかに本格的な使い方ができるようになっています。逆に言えば、「よくわからないけどとにかくきれいに撮りたい!」という人はZV-1でいいかもしれませんが、より細かく自分好みに扱いたいという人はZV-E10がベスト。ZV-1が「コンデジの発展系」であるとするなら、ZV-E10は「より小型化したミラーレス」であるということが伝わってきます。

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    ZV-E10の背面・上面。Vlog撮影向けのボタンも備える

背景のボケ感などもメニューひとつで設定できて、デスクトップで気軽に自撮りしても背景をしっかりとぼかしてくれるので、簡単にハイクオリティな動画に仕上がります。センサーサイズがZV-1(1型)から大型化していることもあり、ボケ感自体も大きく向上しているのもポイント。ZV-1と比べても写りの仕上がりのアドバンテージは明らかです。

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    右のC1ボタンは「背景ボケ切り替え」ボタンとしても機能する

上述の通り手ブレ補正もかなり強力で、ワザと手を震えさせても大丈夫なほど。場面を選ばずに使える信頼感があります。ソニーならではのカリッとした映りも好印象で、写真・動画どちらも楽しく撮影できそう。4Kが気軽に撮れるのも嬉しいですね。

また、キットレンズだと被写体にかなり近づいて撮影できました。物撮り用途でも非常にありがたく、プライベートでのちょっとした写真撮影にも向いています。

「手のひらサイズの気軽な動画用コンデジ」という前機種同様のコンセプトらしい形にまとまりつつも、その性能や仕様はαのAPS-C系統の完成度を思わせます。僕のようなライター兼動画屋みたいな人間からしたら「もう、これ1台でいいかな……」なんて思ってしまうようなちょうど良い機種でした。個人の動画であっても求められる性能が年々上がっている昨今、気軽にハイクオリティな動画をビシッと決めて撮れるZV-E10は、動画撮影に関心のあるすべての人に魅力的なカメラとなりそうです。

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