ソニーは、旅行やガジェット紹介の動画をYouTubeなどに投稿するVlog(ブイログ)コンテンツの撮影に特化したカメラの新製品として、APS-Cサイズのセンサーを搭載し、レンズを交換できる「VLOGCAM ZV-E10」を9月17日に発売する。価格はオープンプライス。店頭価格はボディ単体が78,000円前後、パワーズームレンズが付属するキットは89,000円前後を見込む。
VLOGCAM ZV-E10の店頭予想価格
- ボディ単体:78,000円前後
- レンズキット(E PZ 16-50mm F3.5-5.6 OSS):89,000円前後
Eマウントを採用し、有効約2,420万画素のAPS-C Exmor CMOSセンサーと画像処理エンジンのBIONZ Xを搭載。手持ち撮影でも効果を発揮する動画専用の電子手ブレ補正機能、高い集音性能とノイズリダクション機能を備えた3つのカプセルマイクを備え、Vlog撮影に特化したさまざまな機能も装備している。
HLG方式の4K HDR撮影や、S-Log3/S-Log2撮影、フルHD/120fpsのハイスピード撮影に対応するなど“プロレベル”の動画性能を備え、動画撮影時もファストハイブリッドAFや人物の瞳にAFをあわせるリアルタイム瞳AF、被写体を高精度で自動追尾するリアルタイムトラッキングAFが利用できるため、「構図や録音などに集中できる」とする。多彩なEマウントレンズを組み合わせての静止画撮影も可能だ。カラーはブラックとホワイトの2色を用意する。
Vlog撮影に特化した新機軸「VLOGCAMシリーズ」のカメラとして、ソニーはレンズ一体型のコンパクトな「VLOGCAM ZV-1」を2020年に発売。スマートフォンにはない高画質性能を備え、気軽に持ち歩いて撮影したいVlogger(Vlog撮影者)にとって最適なモデルとして訴求してきた。ZV-1は“機動性にこだわる人向けのコンパクトモデル”として引き続き販売しつつ、動画・写真の表現力にこだわれるレンズ交換式「ZV-E10」を新たに市場投入する。
同社では、動画投稿者や動画投稿に興味を持つ人が増えてきていることから、カメラ業界における新規需要創造の中心は“動画”にあると見ている。予算10万円程度で動画投稿用のカメラを探している層の需要を取り込むべく、ZV-E10を導入し、カメラ業界の活性化にもつなげたい考えだ。
Vlog撮影に特化したZV-E10の特徴
ZV-E10の外観は、APS-Cセンサーを搭載したミラーレスカメラ「α6400」(2019年発売、実売12万800円前後)と似ているが、本体サイズは一回り小さい115.2×44.8×64.2mm(幅×奥行き×高さ)で、バッテリーとメモリーカードを含む重さは343gと軽量に仕上げている(α6400の本体サイズ/重さは、120×59.7×66.9mm/403g)。
また、α6400の背面液晶モニターはチルト式だが、ZV-E10はバリアングルで自由度が高く、自撮りやハイアングル、ローアングルの撮影を手軽に行えるとする。タッチ操作にも対応する。電子ビューファインダーは非搭載。
Vlog用の特徴的な機能として、背景のボケ具合を簡単に切り替えられるボタンを上面に搭載。また、商品レビュー動画用にスムーズなAFのトランジションを実現する「商品レビュー用設定」ボタンや、静止画撮影モードと動画撮影モード、スロー&クイックモードを素早く切り替えられるボタンを背面に装備している。
ほかにも、ひと目で撮影中であることがわかるように、カメラボディ前面にレコーディングランプを配置し、さらに液晶モニターのライブビューにも赤いフレームを表示。赤く目立たせたRECボタンや、8段階でズーミング速度を調節できるズームレバーをカメラ上面に配した。液晶モニターの開閉で電源オン/オフが連動する機能も搭載。握りやすいグリップも備えた。
記録メディアスロットは1基で、Class10以上のSDHC/SDXCメモリーカードが利用できる。バッテリーは、ミラーレスα6000番台で採用されてきた「NP-FW50」で、最大80分の動画撮影、または440枚の静止画撮影が可能。さらに、USB Type-CケーブルでZV-E10にモバイルバッテリーをつないでカメラを充電したり、給電したりすることもできる。
基本的な動画/静止画の撮影性能は、α6400と共通する部分が多い。位相差AFポイントは425点で、世界最速という0.02秒のAF性能を実現し、素早く動く被写体も瞬時に捉えられるとする。AF/AE追従時は最高約11コマ/秒の高速連写が可能で、最大約116枚の連続撮影が行える。常用ISO感度は最高32000、拡張ISO感度は最高51200まで対応。暗所や薄暗い場所での高感度撮影時にもノイズを抑制し、高画質な撮影ができるという。
ZV-E10をPCや対応スマホにUSB接続するだけで、カメラの映像・音声をPCに伝送し、ライブストリーミング配信できるようにするUSBストリーミングにも対応。USB Video Class(UVC)、USB Audio Class(UAC)をサポートし、ライブストリーミング配信で利用可能なWebカメラとして使える。
また、ワイヤレス機能も備え、スマホアプリ「Imaging Edge Mobile」と連携して写真(RAWデータを含む)や動画をPCレスで転送したり、ライブビュー撮影や各種編集を行うこともできる。