朗読劇 恋を読むin クリエ『逃げるは恥だが役に立つ』の合同取材会がこのほど行われ、立石俊樹、牧島輝が登場した。

  • 立石俊樹

    立石俊樹

  • 牧島輝

    牧島輝

同作は海野つなみによる同名人気コミックの朗読劇。原作は2015年に第39回講談社漫画賞8少女部門)を受賞し、翌年連続テレビドラマ化もされ大ヒットとなった。ラブストーリーの朗読劇シリーズ「恋を読む」第2弾として2019年に舞台化され、同シリーズ第4弾として再演となる。

院卒だけど内定ゼロ、派遣切りで無職になってしまった森山みくりが、恋愛経験ナシの独身サラリーマン・津崎平匡の家事代行として働き始めることから、契約結婚をすることになる……というストーリーの同作。平匡役には細谷佳正、太田基裕、戸塚祥太(A.B.C-Z)、立石俊樹、荒木宏文、みくり役には仙名彩世、桜井玲香、大原櫻子、花乃まりあ、城妃美伶、内田真礼が決定した。さらに平匡の同僚・風見涼太役に梅津瑞樹、立花裕大、有澤樟太郎、梅原裕一郎、水田航生、牧島輝、矢田悠祐、みくりの伯母・土屋百合役に壮一帆、シルビア・グラブ、友近、春野寿美礼、朴ロ美(※ロは王偏に路)が集い、8月11日~8月18日まで東京・日比谷シアタークリエにて様々な組み合わせで公演が行われる。

互いの印象に変化は?

今回は、8月16日の公演(14:00~/18:30~)で平匡を演じる立石と、風見を演じる牧島が取材に登場した。すでに共演経験もある2人は共に稽古に挑んでおり、牧島は「トシくん(立石)の稽古をしている姿を見てたんですけど、『ドキドキさせてくれるんじゃねーの!?』という感じで、新しい一面にドキドキしちゃったりして、ラブコメは素敵だなって体感できた」と、ラブコメにも目覚めた様子。

立石も牧島について「本人(牧島)にも伝えたんですけど、『風見、めっちゃいいじゃん!』って、シンプルに感情移入しちゃいました。恋愛もので共演するのは初めてなので、牧ちゃんの新しい一面、新しい表現方法に、胸を打たれました。初回で感動しました」と互いに讃え合う。「牧ちゃんとは2作品で一緒だったんですけど、どちらもタイプが違った。今までは強い役だったりど根性タイプだったり、逆に器用だけど少し気持ち悪さを感じるくらいの愛を表現する役だったり振り幅がけっこうあって、しかもそれを繊細に突き詰めて毎公演新鮮に表現できてるところがすごい魅力」と説明する。

逆に牧島は「いいところはたくさんあるんですけど、1ついつも思うのは、すごく純粋な方なので、それが作品に対していい影響が出る。舞台の上だけじゃなく、楽屋にいる時とか、プライベートな部分でトシくんの純粋さ、天然さに助けられていて、すごく尊敬できるいいところだなと思っております」と、よく知っている仲だからこその視点で語った。

初対面の時は「役同士で会話する機会がなかった」というが、「当時からガッツがあるし、負けず嫌いな面もあるし、役がどういう気持ちなのかとかしっかり演出の意図を汲み取っていた。僕はまだ、お芝居が駆け出しだったので、初対面からすごいなと思ってた」(立石)、「顔も綺麗でカッコいいし、背も高くて歌もうまいし、すごいなあと思ってたんですけど、距離が近くなるにつれ、とっても天然で愛らしいギャップがある方だと気付きました」(牧島)と互いの印象を表す。

そこからの成長について聞かれると、牧島は「トシくんは、コミュニケーションが上手になったな。ごめんなさい、偉そうなこと言って!」と明かし、立石は「その通りですね」と爆笑。牧島は「もともとスキルがある方だと思いますけど、たくさん現場を通して、人との付き合い方が上達しているというというか、スキルが上がっているなと思います」と評価し、立石は「面白いなあ」と笑い続ける。「トシくんは面白い方なんですけど、昔は隠してて、それを出せるようになってきてるのかな。どの現場でも愛されてるだろうなというのが、伝わってきます」という牧島の言葉に、立石は「嬉しいですね。舞台を通して人見知りがなくなったのは、大きいです」と喜び、逆に牧島について「いい意味で最初から変わらない。日々成長しているのはわかるけど、僕からしたらもう最初から色々やれていると思ってたので、ずっとその感じ」と語った。

そんな立石の天然エピソードについて、牧島は「今日1つあった。彼はこれから名古屋に行かなきゃいけないんです。でも移動日は、明日なんですよ。だけど今日、大きいキャリー持ってきてました。 荷物パンパンに詰めて、大きいキャリー引きずって来てました」と暴露。立石は「もうシンプルに、今日この後、移動するものだと思って来ました」と苦笑していた。

作品に感じた魅力は?

今回は朗読劇となるが、立石は「(演出の)三浦(直之)さんの構成の付け方や演出方法に触れて、とてもわかりやすかった。牧ちゃんのお芝居を客観的に見た時にもすごく心にくるものがあった」と稽古を振り返る。牧島も「ハグをするシーンも、直接ハグするわけじゃなくて、台本を一緒に持ってページをめくるのがとっても素敵だなと思って。実際にハグするのもいいと思うんですけど、よりドキドキする感じ。実際、春野さんと一緒にベージをめくった時、恋、しましたね」とニヤリ。「座って読むだけの朗読劇ではなくて、シーンによっては動いたり走ったり、臨場感がある作りになっているので、お客さんも一緒に見ていて楽しめるんじゃないかな」と期待する。立石も「"ムズキュン"というテーマにぴったりの演出方法だね。じれったさがあるのが魅力」と同意する。

一方で、同作には個性豊かなキャラが様々な視点を持っているという魅力もあり、牧島は「色んな解釈をする人たちがいて『こうあるべきだ』というものがないのが楽しい。『女の人だから家事しなきゃいけない』みたいな決めつけで進んでいかないし、理解がある男性たちにも、それを言っている女性陣にも好感が持てた。互いが互いを理解するために自分の意見を言い合うところが、気持ち良い」と、感想を述べる。「朗読では4人しか登場しないけど、漫画ではキャラの濃い人たちがもっといて、色々な愛の形がある。みんな自分の一本通った道があって、色んな人がいて面白い。色んな解釈があるのはすごく現代的で、魅力だなと思いました」と表した。

立石も「"契約結婚"というところだけでも身近にはいないし、個性豊かな人たちが出てきて、『まだまだ世界は広いな』と思いました」と、しみじみ。「自分が体験してることってまだまだちっぽけなことなんだな、ほんの一つに過ぎないんだな、と。『逃げ恥』のおかげで視野が広がったので、そういうことを考えに入れて生活できるんじゃないかな」と新たな世界が広がったことを示した。

写真提供:東宝演劇部