早いペースで指し進める両対局者。1日目午前中から研究と研究がぶつかる中盤戦に突入
藤井聡太王位に豊島将之竜王が挑戦している将棋のタイトル戦、お~いお茶杯第62期王位戦七番勝負(主催:新聞三社連合)第3局が7月21、22日に兵庫県「中の坊瑞苑」で行われています。両者1勝1敗で迎えた本局を制し、一歩抜け出すのはどちらになるでしょうか。
21日の9時に始まった第3局は、藤井王位が先手番で、角換わりの将棋になりました。先手番角換わりと言えば、藤井王位のかつてのエース戦法です。ところが昨年7月9日に行われた第91期ヒューリック杯棋聖戦五番勝負第3局での敗戦を最後に、1年以上採用していませんでした。
通算成績で2勝7敗と負け越している豊島竜王相手に、あえて先手番角換わりをぶつけるということは相当な準備があるに違いありません。
33手目に藤井王位は▲9五歩と突いて玉側の端の位を取りました。この局面を藤井王位は過去に先手番で3局、後手番で2局経験しており、結果は全勝です。直近では、6月に行われた第6期叡王戦挑戦者決定戦の斎藤慎太郎八段戦で後手番を持って勝利しています。
豊島竜王が△5四銀と上がって迎えた35手目も作戦の岐路。右金を真っ直ぐ▲4八金と上がる手と、▲3八金とななめに上がる手の2つが公式戦で指されています。藤井王位自身もどちらも採用経験がありました。
藤井王位の選択は▲3八金。わずか1分の考慮で指したので、対局前の準備段階で決めていたのでしょう。そして39手目に▲4九飛と4筋に飛車を回った手が新手。過去の前例を離れました。両者共に持ち時間をあまり使わずに未知の局面を迎えています。両者の研究と研究がぶつかる戦いです。
藤井王位が4筋から仕掛けていったのに対し、豊島竜王も4筋に飛車を転回して応戦します。しばらくは藤井王位の攻め、豊島竜王の受けという構図で手が進んでいき、どこかで豊島竜王が反撃に転じるという展開になりそうです。
本日は持ち時間8時間の2日制対局の1日目です。18時を過ぎたタイミングで封じ手が行われ、決着は明日22日の夕方以降となる見込みです。