俳優の勝村政信が主演を務める、『ドクターX』シリーズのスピンオフドラマ『ドクターY~外科医・加地秀樹~』の最新作となる2時間スペシャルが、10月にテレビ朝日系列で放送されることが決定した。

  • 左から遠藤憲一、勝村政信、内田有紀=テレビ朝日提供

今年10月から2年ぶりの最新シリーズがスタートする米倉涼子主演『ドクターX~外科医・大門未知子~』に合わせ、群れを好み、金を愛し、腹腔鏡のスキルと要領の良さだけを武器に突き進む外科医……きょう7月21日に58歳の誕生日を迎えた勝村演じる加地秀樹が主役の『ドクターY』もカムバック。2016年に誕生し、19年の第4弾からは地上波プライム帯の2時間スペシャルドラマとなった『ドクターY』も、このたびの第6弾で6年目を迎える。

「腹腔鏡の魔術師」と崇められるほど腕はいいが、人としてはどこか残念、もとい非常に人間らしい加地。6年という歳月は無情にも加地の身体を蝕んでいたのか、最新作となる第6弾では“老いのビッグウェーブ”が容赦なく到来。帝都医科大学付属横浜分院で働く加地は、老いの本格化により得意の腹腔鏡オペでミスを連発し、離島にある分院の病院長ポスト打診という事実上の戦力外通告を突きつけられていた。しかも、彼女が莫大な資産を持つ余命6カ月の起業家に乗り換えていたことも判明する。

しかしその起業家が、最期までやり残したことをまっとうするべく入院を拒否し、加地を付き添いの主治医に指名。2人は行動を共にすることになるが、加地はふたたび医師として、男としてどん底から這い上がれるのか。

今回は『ドクターX』の主要キャラクター陣から、内田有紀と遠藤憲一が出演。内田演じるクールなフリーランス麻酔科医・城之内博美は登場早々、弱気な加地をビシッと叱咤激励。一方、遠藤演じるヘタレ外科医の海老名敬は、初のジャージ姿で炊き出しに並んでいて……?

3人のコメントは以下の通り。

■勝村政信

――『ドクターY』第6弾の放送が決まったときの心境は。

毎年、夏に撮影している『ドクターY』は、自分の中ではもう“夏の風物詩”。今年も『ドクターY』をやらせていただくことが決まり、本当にうれしかったです。シリーズ開始当初は配信用ドラマとして作られた作品だったこともあり、野原で暮らすように楽しく自由に撮影していましたが、いつしか地上波で2時間ドラマとして放送されるようになり、少しずつお家が建ってきたような感覚を覚えています。もともと非常に足腰が弱い『ドクターY』ですが(笑)、今回は作品の土台もよりシッカリと作っていただきました。その土台を軸に、「真面目になりすぎず、いかに壊すか」という使命のもと、ほかの2時間ドラマとはまた違う『ドクターY』らしさを模索しながら、自由に撮影させていただいてます。

――加地先生が自らの老いに直面し、苦闘するという物語について感想を。

『ドクターX』のキャラクターたちにはずいぶん前から老いの波が押し寄せていますが(笑)、どんな仕事場でも年齢を重ねてくると第一線から外れ、次世代を見守る立場になっていくじゃないですか。でも、お金のことしか考えず、地位や名誉には興味がなかった加地先生は、その立場を敢えて選んでこなかった……。そのしっぺ返しがついに来てしまうんです(笑)。しかも、自分の老化に気づいてなかったという! 実際、(大門)未知子さんがあまりにもスゴすぎて霞みがちだった加地先生たちも、本来はスーパードクター。今回は、もともとの実力と年齢の乖離が見られ始めるのですが、だからこそ大人の共感を呼ぶ“いい話”なんじゃないかなって思います。無理をせずに老いと肩を組み、どう一緒に歩いていくか――。そこが僕ら自身も含め、ご覧になる方々にも響く要素なんじゃないかなって思います。

――今回は内田有紀さんと遠藤憲一さんが特別出演するが。

有紀ちゃんも遠藤さんも本当に頼りになります。そういえば今回の撮影で、遠藤さんは「シリーズが始まって以来、初めて聴診器を使った」と言っていました(笑)。「垂れた聴診器をどうしたらいい? 耳からどうやって外したらいい?」と聞かれたので、つい「知らねぇよ!」と答えましたが……(笑)。そんな中でも、今回頑張ってくださって、ありがたかったです。

――視聴者へメッセージを。

『ドクターY』は基本、『ドクターX』の箸休めとなっております。一回箸を休めた後、もっともっと美味しい高級料理を食べられますから(笑)! 軽~い気持ちでたくさんの方にご覧いただきたいです。

■内田有紀

――昨年に続き、『ドクターY』への出演は2度目。撮影の手応えは。

久しぶりに勝村(政信)さんや遠藤(憲一)さんとお会いしたのですが、お2人とも『ドクターX』とはまた違って、初日からすごくテンションが高めだったんです。「あれ? こんなにテンション高かったっけ(笑)?」と思いながらも、私もちょっとエンジンをかけないと……と奮い立ちました。とはいえ、城之内先生が『ドクターY』だからといってタガを外すと、ちょっと違うことになるので、いつでも『ドクターX』に戻れるようバランスを保ちながら、私自身としてはお2人に追いつけるよう頑張りました(笑)。と同時に、初日に撮影したのは『ドクターY』らしいコミカルな部分とシリアスな部分、ハートフルな部分があるシーンだったので、ますます今回の作品が楽しみになりました。

――今回は城之内先生が気弱になった加地先生にバシッと物申すが。

今回の城之内先生は、老化を目の当たりにして後ろ向きになっている加地先生に活を入れに来た感じなので、そういう意味でも面白かったです。(大門)未知子がちょっと乗り移ったように感じるセリフもあるので、2人分の強い女性パワーを出せるように演じようと考え、気合を入れて臨みました!

――改めて、加地先生の魅力とは。

加地先生は普段、お金になびいてしまったり、長いものに巻かれてしまったり……。ちょっと人として道徳心がどうなのかなって思うような先生(笑)。だけど、“医者としての本能”というのかな。いざ人が困っていると、ちゃんと向き合える器のある先生なんですよね。その本能が今回、序盤では眠ってしまっているのですが、実は“すごくいい人”! そこが加地先生の魅力だと思いますし、今回の『ドクターY』でもよく描かれているんじゃないかなって思います。

――視聴者へメッセージを。

年齢を重ねるにつれ、体力も記憶力も衰えてくるものですが、今回はそんな中でも加地先生が「心の中の炎を絶やさない」姿勢を体現してくれています。劇中では加地先生のスイッチが変わる瞬間に私も立ち会っているのですが、ぜひ城之内先生と同じような気持ちで見ていただければ、と思います。

■遠藤憲一

――『ドクターY』3度目の出演オファーの心境は。

今回の『ドクターY』では、以前より海老名のいろいろな面を描いてくれてるので、うれしかったです。といっても、海老名が見せる顔は『ドクターX』と一緒なんですけど(笑)。ただ、今回は髪もボサボサで、ジャージ姿なんですよ。今まではスーツ姿しか見せてなかったので、そこは新鮮なんじゃないかな。

――『ドクターY』の撮影ならではの楽しみは。

実はこれ、本人には言ってないんですけど……勝村(政信)くんはいつも『ドクターY』で新しい顔を見せてくれるんですよ。普段はギャグばかりやってる人ですけど、『ドクターY』の現場ではくだけながらも、「いいものを撮るぞ! 最終責任は自分が拾うぞ」という責任感がぽよんぽよんと漂ってくるんですよね。そんな勝村くんが演じる加地先生も、『ドクターX』では能力を少し抑えてるけど、『ドクターY』になると持ち前の力をポッと発揮する! そういう2種類の顔を見られるのが面白いし、楽しいですね。

――今回は内田有紀さんも一緒に特別出演となるが。

有紀ちゃんはあれだけの美貌の持ち主なのに、それを前面に出さず、人懐っこい人なんですよ。実際の年齢差はありますけど、同級生と久々に会ったような感覚になる人ですね。なにせ、オレにとって『ドクターX』シリーズは一番長くやっている作品。海老名という役はもちろん、作品と現場のテイストが好きなんでしょうね。だから、今後もシリーズが続く限り、海老名を演じ続けたい! 海老名が主役のスピンオフはプレッシャーがスゴそうだから、あんまりやりたくないけど(笑)。

――視聴者へメッセージを。

今回は、勝村くんも面白さと緊張感、ゆるい部分の加減を気に入ってましたし、また新たな『ドクターY』になりそうです。次につながるんだろうなと感じる終わり方ですし、これを見ると『ドクターX』最新シリーズが二度楽しめます。いや、これを見ないと『ドクターX』が分からないよ(笑)! ぜひご覧ください。