ラッパーのRin音が、HuluとTikTokの共同プロジェクトによるコンテンツ『Once in a Blue Moon』(20日配信スタート)で、憧れである音楽プロデューサー/DJのtofubeatsと初対面を果たした。
現在も地元の福岡を拠点に活動するが、その背景には「居心地が良くて気が休まる」という環境に加え、昨今の音楽配信ツールの進化もあるようだ――。
■小学校ので撮影「エモーショナルな気持ちに」
――今回のオファーを受けたときの心境は、いかがでしたか?
憧れの人に会えるということで、すごくありがたい、うれしいお話しでした。それと、ドキュメンタリーの部分では結構自分について深く掘ってもらえたというか、普段話さないようなことも話せたと思うので、これを見てくれた人の中にはもしかすると音楽の聴き方が変わる人もいるのかなと思います。
――ドキュメンタリー部分は、かなり暑い中での撮影と伺いました。
はい、暑かったです(笑)。小学校での撮影だったんですけど、小学校は僕にとってわりと思い出深い場所なので、すごくエモーショナルな気持ちになりました。
――どういった部分が思い出深いのですか?
小学校のときに体験したことって、人間性や性格につながると思っていて。嫌な思いとか、うれしい思いとか、子供のときって素直に受け取るじゃないですか。だから、その素直な時期にもらった刺激というのはすごく大事だなって思うんです。
――実際にご自身の母校ではなくでも、通じるところがあるんですね。
そうですね。机とか教卓とか黒板とかって、今は目にしないけどあの頃ずっと見ていたものじゃないですか。あと、手洗い場の石鹸とか(笑)。そういうものがいろいろ思い出を呼び起こす引き金になって、感傷的になりましたね。
――ドキュメンタリーではインタビューを受けていますが、ご自身の中の新たな発見もありましたか?
僕は、あんまり思ったことをしゃべるのが得意な方ではないんです。話している相手の表情を見て、「こう言った方がいいな」と考えを変えて言っちゃうことってあるじゃないですか。そういうことがなくても表現できるのが音楽だから、僕は音楽が好きなのかなって改めて思いました。初心に戻った気持ちです。
■もっと音楽が触れやすいものに
――TikTokやYouTube、サブスクなど、配信でご自身の曲が拡散されるというのは、どのように受け止めていますか?
音楽の広まり方が手軽になって身近になったと思うので、誰にでもチャンスがあるっていうのは自分としてもありがたいことですし、音楽のやりがいも増えました。アーティストにとって新しいルートができたというのは、すごくいいことだと思います。こういうツールで自分の表現が認められて、それがうまくつながっていくというのはうれしいですし、また頑張ろうという気持ちになれますね。
――やはり、配信は可能性を感じるツールですか?
実は僕、全然TikTokを知らなくて(笑)、ファンの方に「『snow jam』がTikTokで使われてるよ」と言われて、そこからなんです。でも一時期、違法音楽サイトの問題がずっとあったけど、今はサブスクリプションを使ってる人の方が多くなりましたよね。いろんなアーティストが聴けるし、プレイリストもあるから出会いもあるし、そっちの方が便利だから結局みんなちゃんと移動してくれて、いい傾向だなと思います。高校生とかはお金がないじゃないですか。だから、TikTokやYouTubeで、僕の曲だけじゃなくて、もっと音楽が触れやすいものになってくれるとうれしいなと思います。
――現在も地元の福岡を拠点に活動されているそうですが、それもいろんな配信ツールがあるからできることなんですか?
だぶんそうだと思います。いろんな配信があっていろんな人に聴いてもらえるようになったので、東京にいなくてもいいっていうのもあります。あと、僕が単純に福岡が大好きなので、居心地が良くて気が休まるところにいるのが一番いいのかなと思います。