有史以来、幾度となく繰り返されてきた戦争。第一次・第二次世界大戦、ベトナム戦争、湾岸戦争など、多くの戦争を題材とした映画が各国で制作されています。実話をベースにしたリアルなものから、戦時下の人間模様を描くヒューマンドラマまで種類もさまざまです。

今回は、おすすめの戦争映画作品を邦画・洋画それぞれテーマ別にご紹介します。また、マイナビニュース会員男女512人にアンケートを実施し、「感銘を受けた戦争映画のタイトル」とその理由を日本映画と洋画それぞれ聞いてみました。

  • 感銘を受けた戦争映画を一挙に紹介します

    感銘を受けた戦争映画を一挙に紹介します

戦争映画のおすすめ邦画24選

第二次世界大戦の終戦を迎えて約80年という時が過ぎ、今でこそ平和となった日本。過去には戦争の当事国であった日本では、戦争による多くの悲劇を経験し、戦争は決してあってはならないものだという意識が根付いています。戦争によって生み出された悲しみや怒り、葛藤など、リアルな感情を描いた、おすすめの日本の戦争映画24作品を順番にご紹介していきます。

日本を代表する戦争映画の名作5選

数ある日本の戦争映画の中でも、国内外からの評価が特に高い作品を紹介します。新旧・アニメ実写を問わずに、日本が生み出した心揺さぶる名作をそろえました。

1.『火垂るの墓』(1988年公開)

野坂昭如の直木賞受賞作をスタジオジブリ、高畑勲監督でアニメ映画化。終戦間際、父の出征中に空襲により母が入院し、清太と節子の兄妹は親類の家に身を寄せた。母が亡くなったのを機に叔母につらく当たられるようになった2人は防空壕での自炊生活を始めるが、暮らしは徐々に困窮してゆく……。

出演/辰巳努、白石綾乃、志乃原良子、山口朱美
監督/高畑勲
公開年/1988年

・「ショックで二度と観たくないと思わせる映画」(37歳男性)
・「これはもう涙なくしては観られない。すさまじい作品です。ずっと残して欲しい」(51歳男性)
・「幼い少女と兄との戦時中生活の悲しさが切なかったですね」(51歳男性)
・「戦争の悲しい現実、戦争の犠牲は弱者が背負わされている」(55歳男性)
・「戦争映画なのかは疑問だが、見ていて苦しくなるような映画だった」(60歳男性)
・「哀しく、かわいそうで痛ましかった。戦争が、戦争を起こす人が憎かった」(52歳女性)
・「子どもの頃に見たのですが、映像はずっと残っています。歴史の勉強をした後に思い出すと、ものすごく悲しい映画だったんだなと感じます」(37歳女性)
・「戦争は子どもたちを巻き込んで、何の罪もない子どもを死に追いやる。それが親戚なのでやりきれない。大人も生きるのに必死で、戦争の悲惨さを感じる」(59歳女性)
・「アニメなので子どもでも見られるし、戦争の悲惨さがよく伝わると思うから」(45歳男性)
・「何の罪もない人々が犠牲になった戦争のすさまじさを感じ、二度と同じことが起こってはいけないというメッセージが強く出ていた映画だと思ったから」(45歳女性)
・「空襲の恐ろしさや、銃後の人々の心が変わっていく様子が見てとれておもしろかった。主人公らの行動や言動に対して、年齢や経験によって見方が変わるのもおもしろい」(46歳男性)
・「自分の親が体験したであろう内容を知るのは貴重なことだと感じました」(50歳女性)
・「主人公の生き方が自由に生きるか、堅苦しくても生き残ることを重視するか、現代にも通ずることがあり考えさせられる」(38歳男性)
・「つらく、悲しく悲劇しか生まない戦争を上手に表現し、後世に残しておくべき映画だと感じました」(28歳女性)
・「アメリカを美化することも敵視することもなく、描かれている点が評価できる。またストーリーも戦争について考えさせられる内容であり、子どもから大人まで見るべき映画」(44歳男性)
・「原作もいいが、なんと言っても今は亡き高畑勲監督作品であり、不朽の名作であるから」(51歳男性)

2.『戦場のメリークリスマス』(1983年公開)

第二次世界大戦下、日本統治下にあるジャワ島奥地の日本軍捕虜収容所を舞台に、日本軍のエリート士官、粗暴な下士官、外国人捕虜たちが織りなす人間模様を描く。異文化間の相剋や、そこで生まれる友情や愛情、非情な運命などが語られている。異色のキャスティングや印象的な音楽も話題を呼んだ。

出演/デヴィッド・ボウイ、トム・コンティ、坂本龍一、ビートたけし、ジャック・トンプソン
監督/大島渚
公開年/1983年

・「北野武と坂本龍一の演技がとても印象的でした」(66歳男性)
・「雰囲気が独特。坂本龍一とデヴィッド・ボウイのからみもおもしろい」(61歳男性)
・「坂本龍一の音楽とデヴィッド・ボウイ。日本人の全体主義と欧米人の個人主義というわかりやすい対立構造だけでないものも描かれていた」(60歳女性)
・「戦時下でのコミュニケーションとして、異文化、同性愛などを扱っており、当時高校生だった自分はショックだったことを覚えています」(52歳男性)
・「戦争映画というよりも、日本人観、ジェンダーといった人間性を問う作品で印象深い。キャスティングの意外性もおもしろかった」(57歳男性)
・「たけしさんの『メリークリスマス、ミスターローレンス』というセリフ、表情が忘れられません」(38歳女性)
・「ビートたけしのラストシーンは、ローレンスとの最後の別れで気丈にふるまうセリフがとても印象的で、その直後の坂本龍一の音楽が始まる絶妙なタイミングで、涙涙のラストシーンが最高に好きです。素晴らしい!」(53歳男性)

3.『男たちの大和/YAMATO』(2005年公開)

辺見じゅんの小説「決定版 男たちの大和」を原作に戦後60周年記念作品として制作された。1945年、東シナ海沖に沈没した戦艦大和の乗組員たちの人生を、現代に生きる女性の目を通して描く。全長190メートルに及ぶ大和の原寸大の巨大セットや、随所に挿入された太平洋戦争当時の実写映像も見どころとなっている。

出演/反町隆史、中村獅童、松山ケンイチ、鈴木京香、奥田瑛二
監督/佐藤純彌
公開年/2005年

・「臨場感や緊張感がひしひしと伝わってきた」(37歳男性)
・「松山ケンイチや反町隆史など、出演者の演技がとてもよかった」(61歳男性)
・「戦艦大和がどのようにして造られ戦争で使用されたのかなど、当時のことが再現されおもしろかった」(45歳男性)
・「反町隆史がカッコよかったから」(39歳男性)
・「戦艦大和の沈没に特化した映画はそれまで見た事がなかったが、ストーリー、配役、臨場感などすべてがよく感動した」(62歳男性)

4.『ビルマの竪琴』(1985年公開)

1956年の同名作品を、1985年に前作でも監督を務めた市川崑が自ら再映画化。英霊を鎮魂するためにビルマ(ミャンマー)の地で僧になった元日本兵の姿を描く。大戦末期、ビルマ戦線の日本軍は苦しい撤退を続けていた。現地で終戦を知った水島上等兵は多くの日本兵の遺体を目にし、彼らを弔うためビルマに残り僧になることを決意する。

出演/石坂浩二、中井貴一、渡辺篤史、北林谷栄、菅原文太
監督/市川崑
公開年/1985年

・「子どもの頃に見たのでとにかく悲しかったのと、戦争への怒りがこみあげてきたのしか覚えていません」(47歳女性)
・「子どもの頃に見た映画ですが、戦争を理解できた最初の作品だったからです」(45歳女性)
・「内容も素晴らしいですし、役者の方もよかったです。映画のなかで歌われている“埴生の宿”は、そのときは小学生だったのですが、今でもフルに歌えるくらい印象に残っています」(49歳男性)
・「中井貴一の演技がたまらなくよかった。『おーい水島、一緒に日本に帰ろう』のシーンがいまだに忘れられない。戦争映画の最高傑作だと思っております」(49歳男性)
・「現代日本映画のような軽薄さはないので」(37歳男性)

5.『永遠の0』(2013年公開)

百田尚樹の同名小説を岡田准一主演で山崎貴監督が映画化した1作。特攻によって戦死した宮部久蔵は、すぐれたパイロットだったが、一方で「海軍航空隊一の臆病者」とのそしりを受けていた。彼の孫であるフリーライターの佐伯慶子、司法浪人の健太郎の姉弟は、祖父の実像をたどり始める。

出演/岡田准一、三浦春馬、井上真央、濱田岳、染谷将太
監督/山崎貴
公開年/2013年

・「特攻隊の悲しい気持ちを感じる映画であった」(47歳男性)
・「やさしい主人公が命がけで敵に特攻したときは涙が出た」(41歳男性)
・「死ぬとかじゃなく、帰還することを重んじた人の話は珍しかった」(29歳女性)
・「自分は戦争に行ったら生きて帰ることができるのか、考えさせられる」(48歳男性)
・「愛する人のために死んでいった人たち。孫が祖父のことを調べるうちに知っていく戦争の現実。あの時代に命の大切さを訴えた、宮部に感動した」(59歳女性)
・「『永遠の0』は、岡田准一の演技力が原作を上回った魅力を出している。戦時中の切ない感情が何とも言えない」(47歳男性)
・「この映画こそ、若い世代が見るべき映画だと思いました」(31歳男性)

実話に基づいて作られた作品4選

次にノンフィクション作品にスポットを当てた、実話をもとにした戦争映画をご紹介します。証言や書籍に基づいた作品で、丁寧に描かれた登場人物の心情描写などに特徴があります。

1.『日本のいちばん長い日』(1967年公開)

半藤一利のノンフィクション作品を、東宝創立35周年記念作品として映画化。御前会議にて日本の降伏を決定した1945年(昭和20年)8月14日正午から、玉音放送で国民へポツダム宣言受諾を知らせる8月15日正午までの24時間を描く。2015年には原田眞人監督によりリメイク版が制作された。

出演/笠智衆、宮口精二、山村聡、三船敏郎、小杉義男
監督/岡本喜八
公開年/1967年

・「終戦に向けての国内での動きがとてもよかった」(69歳男性)
・「指導者の苦悩がわかった」(50歳男性)
・「終戦に当たり、若い下士官の葛藤を鋭く描いた作品だから」(69歳男性)
・「陸軍、海軍の立ち位置の違いがおもしろい」(60歳男性)
・「戦争を終わらせるためにこんなに大変なことをしたんだと思ったから」(37歳男性)

2.『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』(2011年公開)

第二次世界大戦の引き金となった日本の真珠湾攻撃。その背景にあった一人の男の苦悩と葛藤を描く。日本とアメリカの武力の差を熟知し戦争に反対し続けた軍人・山本五十六は、なぜ真珠湾攻撃を画策したのか? 主演の役所広司ほか、柄本明、柳葉敏郎ら演技派俳優が脇を固めている。

出演/役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、阿部寛
監督/成島出
公開年/2011年

・「開戦から敗戦までの民意やメディアの移り変わりがよくわかって、とてもおもしろかったです。CGも迫力がありました」(49歳男性)

3.『東京裁判』(1983年公開)

第二次世界大戦の終結後に開かれた極東国際軍事裁判。裁判官にはアメリカをはじめとする連合国側が並び、元首相ら日本の戦争指導者たちに「平和に対する罪」などとして重い判決がくだった。アメリカ国防総省でひそかに保管されていた裁判の全貌を記した長大なフィルムをもとに制作された、277分にものぼるドキュメンタリー映画。

ナレーション/佐藤慶
監督/小林正樹
公開年/1983年

・「感動する名作でした」(32歳男性)
・「学校の歴史の授業で必ず取り上げるべき内容の映画だ」(62歳男性)
・「この40年前の映画を見た時、誰かが犠牲になるのは仕方がないと思い見ていました。戦勝国側に立ったドキュメンタリー映画です。それでもところどころ証言がさえぎられている場面もあり、当時としては致し方ないのかと思います。それでも歴史の重要なポイントになるので見てほしいです」(60歳男性)

4.『地雷を踏んだらサヨウナラ』(1999年公開)

1972年のカンボジア。フリージャーナリストの男は内戦が続く現地の写真を撮影していくうち、アンコールワットの魅力に心を奪われていく。密入国を果たした彼は「地雷を踏んだらサヨウナラ」と言葉を残し、ジャングルの中へと消えていった……。実在の日本人ジャーナリスト、一ノ瀬泰造の半生を浅野忠信主演で描いている。

出演/浅野忠信、ソン・ダラチャカン、川津祐介、市毛良枝、羽田美智子
監督/五十嵐匠
公開年/1999年

・「自分で選んで行った人の話だからかな」(55歳女性)
・「実際に起きたことに興味があったから」(42歳女性)

戦争に翻弄される子どもたちが登場する作品5選

戦争の被害を受けたのは、大人だけではありません。多くの子どもも巻き込まれ、過酷な体験をしました。戦争という悲劇に翻弄されながら生き抜こうとする、子どもたちの姿を描いた戦争映画をご紹介します。

1.『はだしのゲン』(2007年公開)

自身の被爆体験をもとにした、中沢啓治の自伝的漫画の映像化作品。1945年8月6日、広島で暮らす少年・中岡元(ゲン)は、原爆投下によって被爆する。気絶から目覚めた彼が目にしたのは破壊された街と焼けただれた死体の山、うめき声をあげる瀕死の人々の姿だった……。

出演/小林廉、中井貴一、石田ゆり子、中尾明慶、小野明日香
監督/西浦正記、村上正典
公開年/2007年

・「原爆の恐ろしさがわかった」(58歳男性)
・「戦争がいかに恐ろしいか考えさせられた」(68歳女性)
・「子どもが見てもわかりやすく作られている」(34歳男性)
・「戦争の生々しさがよく伝わってきて、戦争は二度と起こしてはいけないと感じることができました」(45歳男性)
・「著者の中沢さんの実体験を基にして描かれているから。同意で『火垂るの墓』も素晴らしい」(40歳女性)

2.『この世界の片隅に』(2016年公開)

こうの史代の同名漫画を劇場アニメ化した作品。昭和19年、広島市で生まれ育ったすずは18歳で呉へと嫁ぎ、義父母や小姑・径子、姪の晴美に囲まれた新生活が始まる。厳しい戦況のなかでも懸命に日々を送っていたすずたちだが、空襲により晴美がすずの目の前で命を落としてしまう……。

出演/のん、細谷佳正、稲葉菜月、尾身美詞、小野大輔
監督/片渕須直
公開年/2016年

・「戦争そのものより、戦時下の日常が描かれているのがよかった」(61歳男性)
・「戦争の悲惨な場面より、その時代の庶民の視点、生活などの描写がとてもよかった」(58歳男性)
・「当時を徹底的に検証した街並みが美しい。最後は、未来にちょっと希望が持てる終わり方でよかった」(63歳男性)
・「他の戦争映画は残酷過ぎて、見た後に憂鬱な気分になっていたが、この映画は内容もよかったが、前向きな気分にもなれたから」(48歳女性)
・「やわらかい絵柄だが、内容はとても悲しく、厳しい。娘を失った母が、付き添っていた義理の妹を責めるシーンはひどいとは思うが……人間は弱いから、責める人がいれば救われるからだとも思う。自分の責任にするとやりきれないから。自分もそうすると思う。悲しいが……」(59歳女性)

3.『ひめゆりの塔』(1982年公開)

戦争に青春を奪われた沖縄の少女たちの物語。戦時中の昭和20年、米軍の侵略が進む沖縄。軍に病院配属を命じられた女学生たちは、慣れぬ手つきで壕を掘り、そこへ運び込まれる傷ついた兵士たちの看護任務にあたる。しかし米軍の銃弾は、少女たちの身にも容赦なく降りそそぎ……。

出演/栗原小巻、古手川祐子、大場久美子、斉藤とも子、蜷川有紀
監督/今井正
公開年/1982年

・「一番の激戦地がよくわかる映画だから」(35歳男性)
・「情緒豊かで悲しいけど考えさせられる映画なので」(57歳男性)
・「沖縄の激戦で、こんなことがあったのかと、とても悲しくなりました」(56歳男性)

4.『さとうきび畑の唄』(2003年公開)

沖縄・那覇で写真館を営む男とその家族の幸せな暮らしを、戦争が徐々にむしばんでいく様子を描いたドラマ。息子たちは戦地へ、娘も従軍看護婦として病院への派遣が決まっていくなか、父から子へ伝えたいこととは? TBSスペシャルドラマとして制作された本作は、家族を守ろうとする父親を明石家さんまが演じ、最高視聴率32.2%を記録した。

出演/明石家さんま、黒木瞳、坂口憲二、仲間由紀恵、上戸彩
監督/福澤克雄
公開年/2003年

・「明石家さんまさんの迫真の演技に胸を打たれました」(53歳男性)
・「キャスト、脚本がよかった」(55歳男性)
・「ストーリーがリアルに描かれていてのめり込めた」(36歳男性)

5.『二十四の瞳』(1987年公開)

1954年にも映画化された壺井栄の小説「二十四の瞳」をふたたび映画化した1987年版。1928年(昭和3年)、香川県の小豆島にある岬の分教場に新任の女教師・大石先生が赴任してくる。軍国主義の強まりに一時は退職した先生だったが戦後復職し、かつての教え子たちと再会する。

出演/田中裕子、武田鉄矢、紺野美沙子、川野太郎、松村達雄
監督/朝間義隆
公開年/1987年

・「戦争はしてはいけないと、あらためて思った」(42歳女性)
・「子どもの目を通じて戦争の悲惨さを伝えている」(59歳男性)
・「若い命の尊さ、恐怖、そんななかで指導者も一人ひとりも奮い立つ。悲しいけれど、意義のある内容でした。昔の記憶ですが」(69歳女性)

日本軍の死闘が描かれた作品5選

続いては、戦争を望む・望まぬに関係なく、日本軍の兵士として戦争に関わることになった男性たちが主人公の作品をご紹介します。守るべきもののため懸命にたたかう様子に、心がふるえる作品ばかりです。

1.『ローレライ』(2005年公開)

役所広司主演、「亡国のイージス」などでも知られる福井晴敏の小説「終戦のローレライ」を原作とする海洋戦記。広島被爆後、極秘に入手した戦利潜水艦・伊507に乗艦した男たちは、アメリカへの反撃を試みて出発する。しかし彼らには、この任務に隠された真の目的は知らされていなかった……。

出演/役所広司、妻夫木聡、柳葉敏郎、香椎由宇、石黒賢
監督/樋口真嗣
公開年/2005年

・「戦争映画とは言え、日本では珍しい娯楽大作だと思う」(58歳男性)
・「役所広司さんの演技が印象的だったから」(57歳男性)
・「原作に忠実な内容で大変おもしろかった」(47歳男性)

2.『日輪の遺産』(2011年公開)

昭和20年8月、帝国陸軍・近衛第一師団の真柴少佐に“GHQ最高司令官マッカーサーから奪取した900億円の財宝を秘密裏に移送し、隠匿せよ”という命令がくだる。真柴少佐は勤労奉仕で駆り出された20人の少女たちを率いて、その財宝を隠し終えたが……。

出演/堺雅人、中村獅童、福士誠治、ユースケ・サンタマリア、土屋太鳳
監督/佐々部清
公開年/2011年

・「感動できるので、好きです」(41歳男性)
・「欧米諸国がアジアの国々を植民地化することを阻止するための戦争だった。軍部の暴走もありましたけど、肯定的に見ています」(52歳女性)

3.『野火』(2014年公開)

第二次世界大戦末期のフィリピン戦のさなか、結核をわずらった田村一等兵は野戦病院送りとなるも食料難を理由に強制退院させられ、さらには所属部隊への再入隊も断られてしまう。絶望的状況で島をさまよう田村は、やがてかつての仲間と再会を果たす。1959年以来の2度目の映画化となる本作では、塚本晋也が監督・主演を務めている。

出演/塚本晋也、リリー・フランキー、中村達也、森優作、中村優子
監督/塚本晋也
公開年/2014年

・「リアルな映像だった」(54歳男性)
・「印象に残る映画だったから」(64歳女性)

4.『俺は、君のためにこそ死ににいく』(2007年公開)

鹿児島県の特攻隊基地で、軍指定の食堂を営むトメ。彼女の店へやってくる客の多くは、特攻を控えた若者たちだった。彼らはトメを母のように慕い、そしてはかなく大空へと散っていく……。“特攻の母”として知られる実在の女性が語る“隊員たちの本当の姿”を描いた1作。石原慎太郎が脚本・製作総指揮を務めている。

出演/岸恵子、窪塚洋介、徳重聡、多部未華子、筒井道隆
監督/新城卓
公開年/2007年

・「おもしろい」(44歳男性)
・「特攻兵の葛藤や苦悩がよく描かれていてよかったからです」(48歳女性)

5.『私は貝になりたい』(2008年公開)

1958年放送の同名のテレビドラマを、1959年に続いて2度目の映画化。1944年、気弱な理髪師・清水豊松は召集され、戦地へと赴く。戦後、復員し理髪店主として平穏な日々を送っていた豊松だったが、ある日BC級戦犯として逮捕され、理不尽な裁判によって死刑を宣告されてしまう。

出演/中居正広、仲間由紀恵、西村雅彦、平田満、石坂浩二
監督/福澤克雄
公開年/2008年

・「感動しました」(45歳男性)
・「泣いた記憶がある」(40歳女性)
・「末端の兵士の悲哀・運命の描き方が切なかった」(47歳男性)

戦争に揺れるさまざまな愛を描いた作品5選

邦画編ラストにご紹介するのは、愛がテーマの戦争映画です。真っすぐに家族を思う愛から、少し危険な男女愛まで、さまざまな視点で人間模様を描いた作品がそろいます。

1.『風立ちぬ』(2013年公開)

スタジオジブリ、宮崎駿監督によるアニメーション映画。零戦の設計者・堀越二郎の半生と、同時代の文学者・堀辰雄の小説「風立ちぬ」のエピソードを盛り込み、理想の飛行機の設計に情熱を傾ける青年の姿を、愛する人との出会いや忍び寄る戦争の足音などをまじえて描いている。

出演/庵野秀明、瀧本美織、西島秀俊、西村雅彦、スティーブン・アルパート
監督/宮崎駿
公開年/2013年

・「アニメーションだったので視聴しやすく、ストーリーもわかりやすかった」(47歳男性)
・「戦争中の人々が何を考えて生きてきたのか、リアリティがあってよかった」(52歳男性)
・「『零戦』という戦闘機を創ったものの、それが平和利用でなく『戦争』に使われ、創った主任製造者の苦悩が大きく出ていた」(50歳男性)

2.『キャタピラー』(2010年公開)

戦地で四肢を失い顔が焼けただれた男が帰郷する。村人からは“軍神”として扱われるその男を、妻は戸惑いながらも献身的に看護する。男はやがて戦地で犯した罪によるフラッシュバックに苦しみ始め……。寺島しのぶと大西信満による圧巻の演技が、戦争の裏に隠されたいびつな夫婦の形を浮かび上がらせている。

出演/寺島しのぶ、大西信満、吉澤健、粕谷佳五、篠原勝之
監督/若松孝二
公開年/2010年

・「残酷でした」(68歳女性)
・「すごく臨場感があり感動した」(34歳男性)

3.『この国の空』(2015年公開)

終戦間近の東京に暮らす19歳の里子が、妻子持ちの隣人・市毛と接するうちに“女”に目覚めていく様子を丹念に描く。芥川賞作家・高井有一による同名小説を原作として、戦争に翻弄され、許されざる恋に溺れていく男女を二階堂ふみと長谷川博己が演じる。

出演/二階堂ふみ、長谷川博己、工藤夕貴、富田靖子、利重剛
監督/荒井晴彦
公開年/2015年

・「興味深い」(44歳男性)
・「ストーリーがおもしろいです」(47歳男性)

4.『黒い雨』(1989年公開)

原爆投下後に降る放射性物質を含んだ“黒い雨”を浴びたことにより、偏見・差別に苦しみ人生を大きく狂わされた一人の女性。やがて彼女の髪の毛は徐々に抜け落ちていき……。原爆が残した影響と周囲の人との関わりについて書かれた井伏鱒二の同名小説を原作としている。被爆者となった主人公の矢須子を、田中好子が熱演している。

出演/田中好子、北村和夫、市原悦子、三木のり平、沢たまき
監督/今村昌平
公開年/1989年

・「リアルな感じで、本当に見ているだけで残虐さや怖さが伝わってきた」(39歳女性)
・「とても有名な作品だから」(34歳男性)
・「戦争を二度と起こしてはいけないと、頭に焼き付けられた映画です」(48歳男性)

5.『小さいおうち』(2013年公開)

中島京子の同名小説を、山田洋次監督が映画化。昭和11年の東京、郊外に建つ家で暮らす3人家族のもとへお手伝いさんとしてやってきた女性は、一見おだやかな暮らしのなかに隠されたこの家の秘密を知ることになる。複雑な心境で家族の物語を見届けた彼女が晩年につづったノートには、この家の知られざる秘密が書かれていた。

出演/松たか子、黒木華、片岡孝太郎、吉岡秀隆、妻夫木聡
監督/山田洋次
公開年/2013年

・「考えさせられた」(44歳女性)
・「山田洋次監督作品だからです。ハズレが、ありません」(63歳男性)

戦争映画のおすすめ作品ランキング(邦画)

1位『火垂るの墓』(1988年公開/29.4%)
2位『永遠の0』(2013年公開/7.3%)
3位『戦場のメリークリスマス』(1983年公開/7.1%)
4位『男たちの大和/YAMATO』(2005年公開/5.3%)
5位『はだしのゲン』(2007年公開/5.1%)
6位『ビルマの竪琴』(1985年公開/4.6%)
7位『私は貝になりたい』(2008年公開/4.2%)
8位『この世界の片隅に』(2016年公開/4.0%)
9位『日本のいちばん長い日』(1967年公開/3.3%)
9位『二十四の瞳』(1987年公開/3.3%)
11位『さとうきび畑の唄』(2003年公開/2.9%)
12位『黒い雨』(1989年公開/2.0%)
13位『風立ちぬ』(2013年公開/1.8%)
13位『ひめゆりの塔』(1982年公開/1.8%)
15位『ローレライ』(2005年公開/1.3%)
16位『東京裁判』(1983年公開/1.1%)
17位『俺は、君のためにこそ死ににいく』(2007年公開/0.7%)
17位『キャタピラー』(2010年公開/0.7%)
17位『地雷を踏んだらサヨウナラ』(1999年公開/0.7%)
17位『野火』(2014年公開/0.7%)
17位『小さいおうち』(2013年公開/0.7%)
22位『聯合艦隊司令長官 山本五十六 -太平洋戦争70年目の真実-』(2011年公開/0.2%)
22位『日輪の遺産』(2011年公開/0.2%)
22位『この国の空』(2015年公開/0.2%)

もっともよかった日本の戦争映画ランキングまとめ

マイナビニュース会員に、もっともよかった日本の戦争映画を聞いたところ、1位は29.4%と圧倒的支持を集めた『火垂るの墓』となりました。2位は『永遠の0』(7.3%)、3位『戦場のメリークリスマス』(7.1%)というラインアップとなっています。

1位に輝いた『火垂るの墓』は、スタジオジブリ、高畑勲監督によるアニメーション作品。原作者・野坂昭如の戦争体験をベースにした悲惨な兄妹の運命は大きな衝撃を与えました。特に劇場公開時は宮崎駿監督作品『となりのトトロ』と同時上映となっていて、幼い妹・節子の健気な姿に涙した子どもたちも多かったようです。アンケートでも「二度と見たくない」「涙なくしては観られない」など、子ども時代の鑑賞体験を回想するものが多く寄せられています。

2位『永遠の0』は、特攻によって死亡した祖父の実像をたどる姉弟の目線を通して、当時の日本が置かれた状況や、戦時下で生きた人々の心情に迫る物語。第38回日本アカデミー賞最優秀作品賞を受賞しています。作中での「神風特攻隊は単なるテロリストなのか」「命とは何か」といった問いに感銘を受けた人は多いようです。コメントでも、生きることの大切さを説きながらも、特攻で命を散らした主人公の生き方に共感を示すものが見られました。

3位『戦場のメリークリスマス』は、大島渚監督による日・英・豪・ニュージーランドの合作映画。ジャワ島の日本軍捕虜収容所を舞台に、「戦闘シーンが一切登場しない戦争映画」として異彩を放っています。デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしなど異色の配役や、坂本の作曲によるテーマ曲、エンディングでのたけしの名演なども話題となりました。アンケートでは本作を単なる戦争ものではなく、一種の「日本人論」としてとらえた回答がありました。

今回ランキング入りした作品には、日本にとって最大の戦争で、敗戦となった第二次世界大戦をテーマにした作品が目立ちます。派手な戦闘シーンよりも、戦争に翻弄される庶民の姿や、あるいは唯一の被爆国として原爆被害の惨状を切々と訴えかける作品が印象に残る結果となりました。

近年はNetflix、Amazonプライムなど、多くの映画を家で簡単に見られるようになりました。今回紹介した戦争映画のなかにも、これらのVODサイトで見ることができるものがあります。

皆さんも今回のアンケートで興味を持った作品があれば、ぜひ鑑賞してみてはいかがでしょうか。

調査時期: 2022年9月29日
調査対象: マイナビニュース会員
調査数: 男女合計512人(男性: 389人、女性: 123人)
調査方法: インターネットログイン式アンケート

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