映画『ドライブ・マイ・カー』(8月20日公開)が、第74回カンヌ国際映画祭の独立賞のひとつである国際映画批評家連盟賞(FIPRESCI賞)とAFCAE賞をW受賞したことが17日、明らかになった。
同作は村上春樹の同名短編小説に惚れ込んだ濱口竜介監督の最新作。妻を失い、喪失感のなかで生きる舞台俳優・家福と、寡黙な専属ドライバー・みさきという孤独な2人が、愛車サーブを通して出会い、一筋の希望にたどり着くまでを描く。
国際映画批評家連盟賞は、FIPRESCI(国際映画批評家連盟)によって選ばれ、1946年から授与されている賞で、日本映画としてはこれまで小栗康平監督『死の棘』(90年)、諏訪敦彦監督『M/OTHER』(99年)、青山真治監督『EUREKA』(00年)、黒沢清監督『回路』(01年)が受賞。日本映画の受賞は、黒沢清監督『回路』以来20年ぶりの快挙となる。
また、AFCAE(アフカエ)賞はフランスの独立興行主たちの連合組織AFCAEにより選ばれ授与される賞で、2019年に設立された。これまで、パルムドール受賞作のポン・ジュノ監督『パラサイト 半地下の家族』(19年)などが受賞している。
日本映画としては唯一、最高賞を競うコンペティション部門への出品を果たしている同作だが、ワールドプレミアとなった公式上映後には「悲しみと再生について描いた、深い感動の物語」(Variety)、「濱口監督は、この映画で世界的な才能の持ち主であることを証明した」(Little White Lies)、「ラストシーンは、この映画祭で目にした中で最も美しいものの1つだ」(Videodromo)など海外メディアの絶賛レビューが相次ぎ、さらにはScreen International 誌が掲載する各国の批評家たちによる「星取表」では4点満点中3.5という『パラサイト 半地下の家族』 以来の断トツのハイスコアで、最後まで首位を独走している。主要賞受賞を期待する根強い声が各国の批評家やメディアであふれる中での、国際映画批評家連盟賞とAFCAE賞の受賞となった。
これまでに、国際映画批評家連盟賞やAFCAE賞に加えて、主要賞の受賞を果たしてきた作品も多いだけに、目前に迫った現地時間17日19時25分(日本時間:7月18日2:15)の授賞式で発表される主要賞の結果に、期待が高まる好発進となった。