フリーアナウンサーの有働由美子が、日本テレビ系特番『今だから話します キャスター大集合SP』(19日21:00~)で、柔道男子日本代表監督の井上康生氏と17年ぶりの再会を果たす。

  • 有働由美子(左)と井上康生氏=日本テレビ提供

有働はNHKのアナウンサーだった2004年、アテネ五輪で井上氏の試合を現地で取材。シドニー五輪に続き連覇が期待されていたが、4回戦でまさかの敗戦を喫した。試合後、涙する井上氏「なぜ、負けたのか?」「一体、何があったのか?」と真相を聞きたかったが、有働は聞くことができなかった。

インタビュー前、「最強だったがゆえに負けた理由を聞けずに、そのまま17年…。今だからこそ真相を聞きたい」と意気込んだ有働は、東京五輪に日本代表監督として臨む井上氏の元へ。

再会の場は柔道の聖地・講道館。そこで明かされたのは意外な真実だった。アテネ五輪までに5年間、国際大会負けなし。誰もが金メダルを期待していた井上氏が敗れた理由。それは、周囲には隠していた「直前のコンディショニング不良」が原因だった。

「敗因は私の中では結構ハッキリしていて、私自身の中で準備力不足っていうのがもう明確にあるんですよね。直前合宿で食中毒になってコンディショニングがバラバラになってしまった。あとは膝のケガがあったんですよね」(井上氏)

オリンピック直前の合宿で体調を壊し、さらに膝をけがしていたという井上氏。それでも、周囲にはその事実を隠し、激しいトレーニングで追い込んだ結果、調整不足で五輪に臨んでしまったという。

「ケガを完治させた上で次のステップに行けばよかったのを、追い込んでなんぼだというような精神状態になってしまった。理想とする柔道、一本を取るというあまりにも理想だけを求め、怪我をしている中でも気持ちで乗り越えるという気持ちになっていた。簡単に言えば弱さっていうものが出てしまった」(井上氏)

今年、東京五輪に日本代表監督として臨む井上氏。この時の経験から、選手たちには「準備する力」の大切さを伝えている。栄光も挫折も味わった最強の男がけん引する柔道日本代表。開会式翌日から始まる柔道は12年ロンドン大会から過去5大会で「金メダル1号」を獲得している。日本のお家芸として日本選手団を引っ張るために、井上監督は万全の体制を整えている。

井上氏は「五輪で勝つために、何が必要か?」聞かれると、こう答えた。

「どれだけ五輪に向けて準備できるかどうか。ただ準備しすぎてメンタル面が過剰に反応して、追い込みすぎてもいけない。本当に難しいですが、これも含めた万全な準備ができるか。これが勝つ確率を上げていく上では大事だと思います」