ここ数年で、電動アシスト自転車のデザイン性は飛躍的に向上した。
もともと電動アシスト自転車は機能性にばかり目が向けられがちで、デザイン性は優先度が高くなかった。しかし、最近ではスポーツタイプなど、スタイリッシュなモデルも続々と登場。もはやノーマルの自転車と電動アシスト自転車の外見的な垣根はなくなりつつある。
中でも異彩を放つのは、パナソニックとビームスが共同開発した「BP02」だ。2016年の登場以降、品薄状態が続く人気自転車だが、今年も2021年モデルのリリースが決定。早くも注目が集まる中、さっそく試乗する機会を得たので詳報をお届けしよう。
発売から5年経っても断トツでハイセンス!
「BP02」は、今流行りのクロスバイクでもマウンテンバイクでもなく、大胆にもビーチクルーザーをデザインソースに採用した一台。
ビーチクルーザーはアメリカ西海岸のサーファーたちがビーチまでの移動用に使っていた「クルーザーバイシクル」にルーツを持つ自転車で、頑丈なフレームと太めのタイヤが特徴。高い安定感とタフさを兼ね備え、多少のオフロードでも難なく走ることができる。
そんなビーチクルーザーを日本ファッション界の雄であるビームスがさらに洗練させ、電動アシスト機能を搭載したのが「BP02」だ。
全長は187cmとかなり大きく、その存在感は他の自転車と比べても際立っている。実物を目の当たりにしてみて特に目を引くのが、フレームやハンドル、フォークに見られる、美しい曲線美を描いたフォルムである。
なめらかに流れるようなデザインは、まさにビームスの面目躍如。緻密に計算されたハイセンスな意匠が、電動アシスト自転車の重量感のあるイメージをきれいに払拭している。これならビーチなどのアウトドア環境はもちろん、お洒落な街にも抜群に映えるに違いない。
そのうえ、実用性までしっかり考慮されているようだ。
例えばこの「BEAMS」のロゴが入ったリヤキャリア、ただの飾りではなく、荷台ロープを引っ掛ける用のフックも付いており、最大積載量も18kgと高い耐久性が確保されている。
フロントキャリヤも同様で、こちらは最大積載量3kg。前後合わせて使えば、日常での使用はもちろん、キャンプやBBQなどのレジャーシーンでもかなりの活躍が見込めそうだ。
ちなみにLEDライトはリフレクター一体式で、夜道をワイドに照らしてくれる設計となってている。
乗り心地は軽やかで、安定感も抜群。坂道も問題なし
デザイン性に優れていることは改めてよくわかったが、乗り心地や機能性はどうか。
ギアは3段階に切り替えられ、アシスト機能は「パワーモード」「オートマチックモード」「ロングモード」の3タイプを使い分けることができる。フル充電状態での走行可能距離は、それぞれ約46km、約54km、約74km。バッテリーは12.0Ahの急速充電型で、ゼロから満タンまで約4時間で充電できるそうだ。
実際に漕いでみると踏み出しから軽やかで、25.8kgという車体の重量がウソに思えるほどスイスイと進んでいく。
男性であれば、およそ平坦な道ならロングモードで問題ないだろう。さすがに全長180cmオーバーとあって、小回りこそ利かないかもしれないが、普通に街乗りしている分には十分なクイックネスは持ち合わせている。
さて、坂道はどうか。
結論から言えば、かなり急な坂でもまったく問題なし。
こうもデザイン性に優れていると、外見の良さにばかり目を奪われがちだが、中身は安定のパナソニック製。オートマチックモードに設定しておけば、わざわざパワーモードにしなくても急勾配を自動で判別し、かなり強いアシスト力を発揮してくれる。
この日試したのは、普通の自転車なら漕いでのぼることを諦めるような激坂だったが、当然“立ち漕ぎ”することもなく、スイスイと進んでいった。良くも悪くも、一度電動アシスト自転車に乗ってしまったら、もうノーマルの自転車にはなかなか戻れないだろう……と余計な心配をしてしまうほどのパワーである。
思いのほか心強かったのは、約5cm幅の26インチタイヤだ。
街は意外にデコボコ道が多い。ちゃんと車道を走っていても、ふいに段差につまずきそうになることも少なくない。しかし、タイヤが太いことで走行時の安定性もキープでき、デコボコ道や段差もさほど気にせず走ることができた。
サドルはクッション性に富んだワイドタイプ。座り心地もよく、長時間乗ってもお尻が痛くなったり、疲れたりすることもなさそうだ。
価格面でも優秀で、スポーツタイプの電動アシスト自転車であれば20万〜30万円の価格帯であることもザラだが、「BP02」は148,000円というコストパフォーマンスの高さを誇る。これは一般的なママチャリタイプの電動アシスト自転車とほとんど変わらない価格設定である。「どうせ買うなら……」と考えてしまうのは、筆者だけではないはずだ。
実際に「BP02」に試乗してみると、見た目だけでなく、実用性にも優れていることがすぐにわかる。「こんな才色兼備な自転車なら、そりゃあたちまち売り切れるわけだ」と強く実感させられたこの一台、買うなら今年も迷っている暇はなさそうだ。