「はたらくクルマ」の世界でも電動化が進みつつあるが、日本にも電気で走るトラックの新顔が登場した。HW ELECTROという会社が製造・販売を手掛ける多用途小型商用EV(電気自動車)「ELEMO」(エレモ)だ。どんなトラックなのか。実物に乗って確認してきた。
フル充電で200キロの走行を想定
エレモは正面から見ると軽トラのようなサイズ感だが、横から見ると案外、前後に長いクルマだ。荷室の形状は基本的に「フラットベッド」「ピックアップ」「ボックス」の3種類から選択するのだが、業態によって幅広く荷室をカスタマイズできる。
グレードは「エレモ 120」と「エレモ 200」の2種類。違いは駆動用バッテリーの数で、120は1つ、200は2つを搭載する。フル充電での想定航続可能距離(空荷時)は120が120キロ、200が200キロ。価格は荷室の形状によって幅があり、120が218.9万円~273.9万円、200が275万円~330万円だ。7月24日にwebで注文の受け付けを開始する予定で、納車は11月のスタートを見込む。
エレモの充電方法は普通充電のみ。充電時間は200Vで120だと6~8時間、200だと10時間くらいかかる。
HW ELECTRO代表取締役社長の蕭偉城(ショウ ウェイチェン)さんは、エレモを「平常時にはトラック、非常時には動く蓄電池」としての役割を果たすクルマだと紹介する。エレモにはAC100V取り出し用コンセントが付いている(120はオプション装備)ので、蓄電池のように電気を取り出すことができるのだ。
実際に乗ってみると、さすがはEVというのか、エレモもアクセルペダルを強く踏むとなかなかの加速をしてみせてくれた。運転中は「ウィーン」という感じの音が聞こえてきたが、決してうるさくはなかった。広めの駐車場に設営されたコースを2周しただけだからはっきりとはいえないが、ブレーキに関しては、ちょっと心もとない感じもした。もっとも、少しスピードを出し過ぎたせいかもしれないのだが……。
蕭さんによると、今年の販売目標は約500台とのこと。年内にはエレモの軽自動車バージョンを発表する予定で、これがラインアップに加わったら年間1,500台くらいは目指したいとのことだった。日本での事業には軽自動車仕様の開発が急務というのが蕭さんの考えで、将来的には新開発の軽EVトラックを販売する計画もあるという。
EVであることを度外視して、単なる小型商用車だと考えるとエレモの値段はちょっと高い。それは蕭さんも認めるところだが、EVは高価なリチウムイオンバッテリーを搭載しているので、簡単には価格を下げられないそうだ。補助金なども含め、航続可能距離1キロ=1万円くらいのクルマづくりが可能になれば、軽自動車に比べても遜色のない競争力を獲得できるのではというのが蕭さんの見立てである。