“サラダバーに異変アリ”と気付いたのは、何気なく取ってきたパスタを口にしたときだった。
順序立てて説明しよう。アメリカにルーツを持つファミリーレストラン「ビッグボーイ」は、7月9日からサラダバーを夏メニューに切り替えた。ジメジメと暑い梅雨の時期、フレッシュなサラダで気分をリフレッシュさせようとする試みはとてもありがたい。
しかし、いざ利用してみると予想外の展開にビックリ。夏のサラダバーメニューのひとつ「ズッキーニのぺペロンパスタ」のレベルが、ちょっと高すぎたのである。
夏仕様のサラダバーが登場!
はじめに断っておくが筆者はサラダバーが大好きだし、下に見る気は毛頭ない。
サラダバーは、一度注文すればサラダバーにあるメニューを好きな量だけ食べられる。バラエティ豊かなうえにどれも美味しく、サラダバー単体で利用する人も増えている気がする。だが、あくまで単品メニューの副菜として利用する人のほうが多いだろうし、注文を受けてから調理するグランドメニューとは、分けて考える必要があるように思う。そう、この日までは少なくともそう思っていた。
さて、その日はハンバーグな気分だったので、ふらりと近場のビッグボーイに夕食を食べに出かけ、「3種のチーズハンバーグ」をオーダー。ライスはなしで、サラダバーをセットで注文した。
考えてみれば早くも夏バテ気味だった気もするし、野菜は意識して食べないとつい不足しがちになる。ここは存分に野菜を摂取し、体調を整えよう。そう思ってサラダバーに向かうと、何やら見慣れぬPOPを発見。
「Summer SALAD BAR」か。ふむふむ、サラダバーも夏仕様になった、と。POPによると、「長いもとひじきの枝豆サラダ」「オニオンピクルスをのせたざく切りトマト」「ちょっと厚めのポリポリきゅうり」「ズッキーニのペペロンパスタ」「マンゴーゼリー」が夏のおすすめメニューらしい。
この日も都内はとても蒸し暑く、微妙な雨が降り続いた梅雨らしい1日だった。夕食はサッパリしたサラダをガツンと食べて、身体の中からシャキッとしたいものである。
「ズッキーニのペペロンパスタ」が完全に神っている
まずピックアップしたのは、「オニオンピクルスをのせたざく切りトマト」「長いもとひじきの枝豆サラダ」、そして「オクラ」である。
オクラは季節限定メニューではないが、今が旬の夏野菜だし、そもそも野菜として美味すぎる。もっと言えば、「長いもとひじきの枝豆サラダ」に入っている長いもとの相性も抜群だろうとも睨んだ。ネバネバの共演に失敗などありえないのだ。
ということで、まずはこの枝豆サラダからいただきます。
おお〜、これは美味い。枝豆は噛めば噛むほど濃厚な旨みが際立ち、その奥には甘みも感じられる。枝豆は1年中食べられるから、旬がいつなのかわかりにくいかもしれないが、実は収穫時期は6~9月が適期。今がまさに食べごろの夏野菜なのだ。
シャキシャキ&ネバネバした長いもと枝豆の相性もいい。味全体を大きく方向づけているのは、タップリの食物繊維で知られるひじきである。ひじきの風味がこの枝豆サラダに“和”のテイストをもたらし、三者をまるく調和しているのだ。
と、ここでオクラも一口。相変わらず美味い。このパリッとした感、ネバネバ感、そして種のツブツブ感……ひとつでこんなに多くの食感が楽しめる野菜など、他にあるだろうか?
注目してほしいのは、このめちゃくちゃ綺麗な緑色である。オクラは時間が経つと、少しずつ黒ずんでくる。オクラに含まれる鉄分が空気に触れて酸化するからだ。こんなに綺麗な緑色だということは、それだけ新鮮という証拠だろう。「長いもとひじきの枝豆サラダ」と一緒に食べると、よりネバネバ感が追加されて、やはり美味である。
さて、トマトを食べる前に、ここで一度パスタを挟んでおくか……。
そう思って、何気なく「ズッキーニのペペロンパスタ」を口に含んだ瞬間だった。
ーー!!!!!!!?
ちょま、ちょっと待て! 今、何を食べた!? 美味すぎないかコレ!? なんだコレ!? うまぁー!!
本当に何の気なしに口にしたパスタが、美味すぎたのである。夏野菜でシャキッと食感が人気のズッキーニと玉ねぎ、強い旨みをもたらすツナ、そしてガツンとパンチの効いたガーリックに、ピリッとした大人向けの辛さを演出するトウガラシ。具材はシンプルだが、中毒性のある味付けと食感で実に美味しい。いや、美味すぎる。
グランドメニューにはいろんなパスタが単品で並んでいる。例えば「ごろごろミートボールパスタ」などはその肉々しさが最高だし、実際によく食べる。しかしこの「ズッキーニのペペロンパスタ」はどうか。「おぬし、なぜサラダバーにいる!?」と問い質したい気分だ。グランドメニューで単品として並んでいたほうが明らかに自然である。
本当に、これが何度でもおかわりできるのだろうか? 実は、しっかり二杯目、三杯目と追加料金を取られるのではないか? そう疑心暗鬼になるほど、完成度が高い。これはこの夏、バズる予感がプンプン匂ってくるではないか!
こちらの「オニオンピクルスをのせたざく切りトマト」もとても完成度が高かった。
大きめにカットされた国産のフレッシュトマトに、しなっとしながらもシャキシャキ食感が残ったオニオンピクルスがとてもよく合う。トマトとオニオンの酸味と甘味がうまく混じり合い、絶妙なハーモニーを奏でているのだ。
夏野菜の代表格とも言えるトマトだが、「トマトが赤くなると医者が青くなる」と言われるほど栄養豊富で、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、鉄分、クエン酸、そして抗酸化作用に優れるリコピンなど、さまざまな栄養を豊富に含んでいる。夏バテ対策という意味でも、今こそ積極的に摂りたい食材である。
この日、その他のサラダもたくさん食べたが、最後に驚いたのが、パイナップルの美味しさだった。
収穫の時期や食べるタイミングによっては、酸味が目立ってしまうこともあるパイナップルだが、ビッグボーイのサラダバーに並んでいたパイナップルは甘さが際立っており、とても柔らかくジューシー。結果、おかわりして10切れくらい爆食いしてしまったことは付け加えておきたい。
さすがトロピカルフルーツ、夏に食べることで、身体が弾むように喜んでいるような感覚である。ちなみに、パイナップルにも、ビタミンや食物繊維、ミネラルなど、美容や健康効果が期待される栄養分がたっぷりと含まれている。
この日のお目当てだったハンバーグもしっかり堪能したが、夏のサラダバーのメンツが頼もしすぎて、ついサラダバーの話で走りきってしまった。
特に「ズッキーニのペペロンパスタ」は完全なる大物。ぜひ、作りたてのものを食べてみたいし、グランドメニュー化も希望するが、サラダバーででおかわりし放題な今のうちに、思う存分堪能したい。