社会人になると急に増えるのが「会食」です。とはいえ、仕事での接待や上司との飲み会、恋人の両親との顔合わせなど、会食のシーンは様々。相手や状況に応じて最適なお店は変わります。いったい、どんな基準でお店を選べばいいのでしょうか。

そんな、"外せない日のお店の選び方"についてグルメエンターテイナーとして様々なメディアで活躍するフォーリンデブはっしーさんにお聞きしました。

フォーリンデブはっしーさん
お肉博士とお米ソムリエの資格を持ち、肉を中心にごはんのオカズを求めて全国を食べ歩く、グルメエンターテイナー。外食&お取り寄せグルメに特化したInstagramはフォロワー数27万人超えの人気。決めゼリフは、デブリシャス!

どうしたら相手が楽しんでくれるかを考える

―― いきなり結論をお聞きします。どうすれば"気の利いたお店選び"ができるようになるのでしょうか。

フォーリンデブはっしーさん : たとえば、仲の良い友達や恋人なら、失敗してもひとつの体験として楽しんでしまえばいいのですが、会食はそうではありません。仕事の接待にしろ、恋人の両親との顔合わせにしても、一発勝負ということが多いですよね。ですから、失敗は避けたいところです。

その上で、ぴったりのお店というのは、会食の目的や参加する方によって全く違ってきます。絶対に意識したいのは"どうしたら参加者が楽しんでくれるのか、喜んでくれるのか"を軸に考えることです。

―― 具体的にはどうすればいいでしょう?

フォーリンデブはっしーさん : 事前に相手のことを徹底的にリサーチすることですね。好きな料理はもちろん、落ち着いた雰囲気が好きなのか、にぎやかな雰囲気が好きなのか、年配の方なら霜降りのお肉よりも海鮮系のほうがいいかもしれないですよね。

そうやって相手のパーソナリティを想像して、「このお店のあの料理なら、喜んでくれるんじゃないかな」というふうに考え抜いて、いつも会食のお店を決めています。

―― 想像力が大事なのですね。

フォーリンデブはっしーさん : ただ、そのような会食では盛り上がれば成功というだけではないですよね。仕事の接待なら、ちゃんと自分のことも覚えてもらう必要があるでしょう。そのためには、相手のことも考えつつ、自分の土俵に引き込むのも有効かと思います。

たとえば僕なら焼き肉が大好きで、肉を焼くのが得意です。絶妙な焼き加減の肉を食べてもらいつつ、焼肉を中心に会話を広げていければ、自分のことをしっかり覚えてくれるはずです。

また、相手にお店の連絡をするときに、選定理由を伝えるのもポイントです。たとえば相手が以前、趣味の釣りで鯛を釣ったという話をしていたのなら、金目鯛のしゃぶしゃぶのお店を選んで、「あのとき、こういう話をしていたので選びました」ということを言い添えます。

仮にお店がそれほどよくなかったとしても、相手を思う気持ちを何かしらの形でしっかり伝えられれば、満足度はおのずと高まりますよね。

―― ありがとうございます! では、ここからは具体的にシーン別のおすすめのお店を教えていただきます。

婚約後、義家族と初めて食事へ行くときに予約するなら……

「日本料理 太月」

フォーリンデブはっしーさん : これこそ、相手のパーソナリティを把握したほうがいい案件ですよね。婚約者の父母なので、パーソナリティを知る手段があるわけですから。好きなもの、苦手なもの、お店の雰囲気など、徹底的に相談したほうがいいでしょう。

その上で迷ったなら、年配の方でしょうから重い食事は避けて和食のコースなどはどうでしょうか。おすすめは表参道の「日本料理 太月」。

フォーリンデブはっしーさん : 一流のお料理ですが、比較的予約が取りやすいのが嬉しいです。個室も完備で昼も営業しており、簡易的なコースが注文できます。少し高級ですが、個室を予約してお昼のコースを頼むと、かなりしっかりとした会食になると思います。

上司3人と会食で行くなら……

「月肴(ゲッコウ)」

フォーリンデブはっしーさん : 上司がどんなお酒が好きかにもよりますが、もし日本酒が好きなら荒木町の「月肴」がおすすめです。知られざる日本酒をたくさん置いている居酒屋の名店で、何を食べてもおいしくコスパも良いです。女将さんも楽しい方なので、いろいろお酒などについて質問すれば、上司の方と一緒に会話が盛り上がると思います。

荒木町は飲兵衛の聖地ですから、その後のハシゴもしやすいですよ。

「ドライドック」

フォーリンデブはっしーさん : もし、上司がビール好きなら、新橋の「ドライドック」はいかがでしょう。"日本一おいしいスーパードライ"が飲めるのが売りで、僕も会社員時代はよく行っていました。ガード下のお店で、店内が船みたいになっていて楽しい雰囲気です。唐揚げもおいしいし、ビールに合うおつまみも充実。ビール好きにはたまらないお店です。

こちらもチェック! : 「ドライドック」(新橋/ビアダイニング)
@グルメエンターテイナー フォーリンデブはっしー オフィシャルブログ

若手社会人が同期を連れて行くなら……

「焼肉ZENIBA」

フォーリンデブはっしーさん : もし同期の方が生肉好きの女性であれば、ここは迷わず「生肉」がウリのお店を選んでみてはいかがでしょう。

今、女性で生肉が好きな人がすごく増えていて、好きな人にはめちゃくちゃ刺さります。自分のまわりでは、仕事をバリバリがんばっているビジネスウーマンの人に生肉好きが多い傾向があります。僕のおすすめは渋谷と田町にある「焼肉ZENIBA」。前菜のハラミ刺しにいくらをのせたユッケなど、いろいろな生肉料理が楽しめます。

フォーリンデブはっしーさん : また、締めにぴったりなのが、生粋丼という名前の生肉丼。お米粒が見えないほど生肉を敷きつめていて、さらにウニといくらをのせた丼です。食事の山場として盛り上がると思いますよ。

ぜひ、「生肉食べませんか?」と誘ってみてはいかがでしょう。

あとは、2軒目として「締めパフェ」もおすすめです。夜パフェ専門店のパフェテリア「イニシャル」は札幌に本店があるお店で、締めパフェのトレンドをつくったお店です。バーで飲むのもいいですが、締めパフェは意外性もあっていいと思います。

自分自身も楽しめる時間を過ごすこと

―― ありがとうございます! お店で相手に楽しんでもらうための極意があれば教えてください。

フォーリンデブはっしーさん : たとえば上司と部下の場合だったら、上司を持ち上げるだけじゃなくて、適度にいじってあげるのもいいと思います。上司も部下と飲みに行くからには、仲良くなりたいと思っているはずなので、実は適度にいじられたがっていたりするんです。様子を見ながら距離を縮めていきましょう。

それから、すべての場面において言えることですが、大事なのは相手だけじゃなく自分自身も楽しむことです。気を使いまくっているのがわかると逆に盛り下がることもありますし、そういう空気は伝わってしまうものです。

もし、参加者の中に誕生日が近い人がいるなら、バースデープレートを用意してみてはどうでしょう。バースデープレートくらいなら重くもないし、最後に皆で盛り上がれると、その会はただの飲み会ではなくイベントになります。

お店の名物料理が出たら、皆で記念に1枚写真を撮っておくのもいいですね。そうすることで、思い出に残ります。

―― 最後に、それでもお店選びに悩んでしまう人にアドバイスをお願いします。

フォーリンデブはっしーさん : 推しグルメインフルエンサーをおさえておくといいと思います。この人とは好みが合うから間違いないという方を見つけておくと、お店選びの拠り所になります。もちろん自分もその中の1人に入れたら、脂身に余る光栄です(笑)。

―― ありがとうございました!


若手社会人として身につけたいお店選びのスキル。ポイントは「徹底的に相手のことを考える」こと、そして「できれば自分の土俵で勝負する」ことです。また、会食では相手に気を使うだけでなく、自分自身も楽しむことが大事とのこと。今回、フォーリンデブはっしーさんから教えていただいたポイントやお店の情報をもとに、ぜひお店選びをしてみてください!