鉄道総合技術研究所は8日、縮尺1/20の列車模型を用い、車両走行時に生じる空気の流れや乱れを精緻に再現できる「低騒音列車模型走行試験装置」について発表した。列車模型を最高速度400km/hで走行させることが可能な世界トップクラスの性能を有しているとのこと。2020年7月10日に竣功し、10月29日から試験を開始している。

  • 「低騒音列車模型走行試験装置」の模型図と基本仕様

「低騒音列車模型走行試験装置」は、発射区間・測定区間・制御区間の3つの区間で構成される。発射区間では、縮尺1/20の列車模型が発射用転輪装置により最高速度400km/hに加速される。

測定区間では、列車模型が惰行で走行し、壁や天井による反射音を低減するため、床以外の壁に吸音材を取り付けた半無響室となっている。これにより、明かり区間圧力変動(車両から発生する低周波数域の空力音)などが測定可能に。トンネル模型を設置することで、トンネル坑口から放射される微気圧波やトンネル内の圧力や風速の変動を再現できる。制御区間では、長さ32mにわたって敷かれた発泡ビーズに突入させることで、列車模型を停止させる。

  • 「低騒音列車模型走行試験装置」の測定区間(半無響室)

今後の活用計画としては、高速鉄道の列車が走行したときに生じる空気の乱れによって騒音(空力音)が発生し、周囲の圧力が変化することで防音壁などの構造物やトンネル壁面などに荷重が作用することから、これらの現象解明やその低減対策の開発に活用していくという。