いよいよ東京オリンピックでにぎわう今夏。7月は関東のスイーツ店も熱気に包まれるようです。都内とその近郊のパティスリー・レストラン・ホテルのパティシエ52店が参加するスイーツの祭典「フランス パティスリーウィーク 2021」が7月2日~7月18日の約2週間、開催されるのです。
参加するのは「トシヨロイヅカ」(京橋と赤坂)の鎧塚俊彦氏、「パリ セヴェイユ」(自由が丘)の金子美明氏、「パティスリー イーズ」(日本橋)の大山恵介氏、「アンフィニ」(九品仏)の金井史章氏、「ル・ショコラ・アラン・デュカス 東京工房」(日本橋)のジュリアン・キンツラー氏、レストラン「ピエール・ガニェール」(溜池山王)のルーカス・デュマルスキ氏(下の写真、左から順番に)。
さらに「パティスリーカメリア銀座」(銀座)の遠藤泰介氏、「アディクト オ シュクル」(都立大学)の石井英美氏、「パティスリー サロン・ドゥ・テ アミティエ 神楽坂」(神楽坂)の三谷智恵氏、「ベージュ アラン・デュカス 東京」(銀座)のドゥグラス・オベルソン氏など。スイーツ好き垂涎のスターシェフや貴重な女性パティシエも参加する夢のイベントです。
これら52店がフランスの伝統菓子「パリ・ブレスト」を基本イメージに、十人十色、それぞれオリジナルを考案し、期間中に各店で一斉販売します(イートインやテイクアウトにて)。「パリ・ブレスト」とは一般的には、リング状のシュー生地を焼き上げ、水平に切り、間にプラリネ(砕いたナッツ類をキャラメリゼして固めたもの)を加えたアーモンド風味のバタークリームを挟んだお菓子のこと。
1891年に行われたパリとフランス西部の街・ブレストという街を往復する「パリ・ブレスト・パリ」という自転車レースの開催を記念して作られた伝統的なお菓子で、シューの丸い形は自転車の車輪をイメージしているそうです。
この自転車ロードレースはオリンピックの種目でもあり、オリンピックの次期開催都市はパリ。ということで、パリと東京、二つのオリンピック開催都市の架け橋になることを願いながら、「パリ・ブレスト」ならぬ「パリ・トーキョー」を本イベントの今年のテーマにしたのだとか。つまりオリンピック開催時期に、今年だけの「パリ・ブレスト」を堪能できるスイーツの祭典というわけですね。
先月メディア向けに開かれた発表会では、MCのフランス菓子・料理研究家の大森 由紀子さんの解説も交えながら、有名パティシエたちが自作をお披露目してくれました。ミシュランガイド東京に2016年から2つ星レストランとして掲載されている「ベージュ アラン・デュカス 東京」のドゥグラス・オベルソン氏は、パリで製造されている特別なウィスキーと、日本の落花生(千葉産)を使用した、まさに日仏融合のユニークな「パリ・トーキョー」を考案し、記者たちを驚かせました。
ドゥグラス氏が「カラメルに生クリームを加えていきますが、少しずつ様子をみながら、煮詰めていきます。そうするとテクスチャーが良くなります」と説明しながらかき混ぜると、鍋からふわりふわりと湯気が立ち上り、辺りには甘〜い香りが充満して、とても幸せな気持ちに。シュー生地に素早くクリームを絞る動きは驚くほど精巧で、思わず拍手したくなる見事な手さばき。一流職人の“神の技”を目の前で見ることができ、感動に浸ってしまいました。
試食もさせていただきましたが、ウィスキー風味のキャラメル味が大人の味わいで、ドゥグラス氏の説明通り、“ゲランドの塩”がいい働きをしているのだと良くわかりました。落花生の香ばしさもバッチリ。お店ではクリームの部分をアイスにして、テラスの「ル・ジャルダン・ドゥ・ツイード」にてイートインで味わえるそうです。ぜひスパークリングと味わってみたいですね!
一方、「パティスリーカメリア銀座」の遠藤泰介氏の「パリ・トーキョー」は、見た目がとても可愛らしく、インスタ映えしそう! 試食してみるとしっとりしたクリームや生地の中にも、カリカリとしたプラリネが楽しいアクセントになって、非常にバランスの良い美味しさでした。「プラリネがこんなに美味しいとは!」と初めて知りました。
遠藤氏いわく「前日の夜中まで、ギリギリまでレシピ考案に時間を費やしました」。美味しさを追求する、そのプロの姿勢にも脱帽でした。
このイベントでは開催期間中、SNSフォトコンテストも開催されます。参加店で提供販売されている「パリ・トーキョー」の商品を注文し、スイーツの画像を撮影して、インスタグラム公式アカウントをフォロー後、ハッシュタグ「#フランスパティスリーウィーク」をつけて、投稿すれば誰でも応募できます。
優秀6作品に選ばれた方には素敵な景品がプレゼントされる他に、7月下旬に開催されるスイーツの料理教室に無料ご招待されるそうです。スイーツ好きの方や、撮影に自信のある方など、ぜひこの機会に応募してみては? それぞれの発想で考案された「パリ・トーキョー」は、見栄えもかたちも多彩で、映えるものもたくさんあるようです。(詳しくは公式インスタグラムをチェック)
ちなみに「フランス パティスリーウィーク 2021」は、今年で10周年を迎える日本最大級のレストラン・イベント「フランス レストラン ウィーク」(2021年10月8日~31日開催予定)の姉妹イベント。夏はスイーツ、秋はフレンチと、この機会におしゃれなレストランやパティスリーを巡って、国内でフランスを旅した気分に浸ってみるのもいいかも。